第6話 想像と違う

「……神様は、わたくしの想像とはかなり異なるお方でした……」


 呟くように、ローランさんがそう言った。


「神様……なんかテンション高かったですよね……」


 いやそれ以外にも色々とツッコミどころはあったけど言い出したらキリがないからテンションの話だけしよう。


「そうですね。

 テンション以外も忙しい方ではありそうでしたが……。

 ……あぁ。それはそうと、予定外のことが重なり遅くなってしまいましたが、我が君主、つまりこの国の王に謁見していただけますか?」


 王様いるんだ! 

 ……あー、やっぱり「勇者よ! どうかこの世界をうんぬんかんぬん……!」みたいな話されるのかな。

 やだな。

 昔から集会の校長先生の話とか苦手なタイプだからなぁ……。


 まぁうだうだ考えてても多分これ強制だしとにかく会いに行くかなぁ……。


「会わせていただきます……」


 ……それにしても……。


「でも、私礼儀作法とかぐだぐだですけど大丈夫ですかね?」


 ナイフとフォークは外側からーとかそのくらいなら大丈夫なんだけどね、流石に王様に謁見するときのマナーなんて調べないからさ。


「はい。

 あなたが外の世界から来たことを除いて考えても、

 我が君主は心の狭い暴君では御座いませんのである程度のことならば気になさらないかと」


 おぉ、優しい王様なのかな? だったらちょっと安心かも。


「よかった……。

 じゃあ行きましょう!」


 ■


 そう安心して王様に会いに行ったのがついさっきのこと。


「……貴殿が……勇者か……?」


 そして、ゴリゴリの肉体を持った物凄く恐ろしい圧を放っている王様に謁見しているのが現在である。


 想像と! 違う!!!!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る