夏の夜の夢の秋の朝

夏は遠く後ろにってしまい、

秋が扉を叩いて、ずかずかと乗り込んで来た

「夜が明けるよ」

と口笛を吹くと

秋の朝霧が朝顔みたくパンデミック的に

花開き空間を満たした

窓の隙間から蛇となった朝霧あさぎり

舌を伸ばして足首を這う

多く、涼しい秋の空気は優しいけれど

朝の時分じぶんいまだ他人のよそおいで

冷たく接する

蛇は朝日に消えてしまう

太陽は顔を出さないまま

青い朝日が空を美しくして

街は海底のようになった

とても静かに音のない景色が流れる

清純せいじゅんな心臓を鳴らし

空気に頭を冷まして

遠くを夢みる雲を見る

とても閑静かんせいとし、窓が

背を水に光らした川魚かわうおが渡りそうである

砂糖をのぞ

それも鮮やかな甘さの

可笑しな白さの

幸せの砂糖を

枯木こぼくのそばをヘラクレスのような男が歩く

西の空の切れ端が

虹のように色をにじませる


私は色鉛筆でこの街を塗る

濃い画用紙は縮こまる

駅に最初の電車が走り出す

音がよみがえ

ひと気のない朝である


カーテンが風にふくらむ

そして逃げる、いらいらしたカーテンは

窓をぴしゃりと閉めた

ポットに入れた赤い紅茶から

熱熱のままカップにそそ

眠たそうなビスケットと一緒に口にする


多分、草原のオオバコやクローバーは

びしょ濡れであろう

つゆをその身に重たく背負い

こけ侮辱ぶじょくに耐えるのだ

彼らは森で唄ってる

今朝のテーマはそれにしよう

少した朝食をませると

私は絵筆をとる


新しい季節には絵が多い

私はそれを待ち望む

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