第19話 初めての1人城外

 母デイジーが頼んでくれた綿のオーソドックスなワンピースを着て、意気揚々と城外に出かけるタマ子。

 木々が風に揺れ心地よい青空だった。


 馬小屋にやって来た。


「ノアー!いるー?」


 外から小屋に向けて大声で叫んだ。するとノアは駆け足でタマ子の所にやって来た。


「タマ子王女様、お久しぶりです」


「ノア!お仕事中ゴメンね」


「いや、今からちょうど休憩しようと思ってたから大丈夫ですよ」


「ねぇ、ノア。私達は友達でしょ?」


「そうですよ」


「なんでそんな風に堅苦しく話すの?」


「なんでって…言われましても。王女様ですから……」


「王女様なんて関係ない!タマ子って呼んで。そして普通に話して!そうじゃないと友達の意味がない」


「ん~、わかった!タマ子の言う通りだな!タマ子は王女様扱いが嫌いなんだ」


「うん!そう!クッキー持って来たよ。食べる?」


 2人はワラを積み上げた場所に座りクッキーを分け合った。


「こんな美味しいクッキー食べたの初めてだよ」


「そうなの?」


「まぁ、クッキー自体を食べないけどさっ」


「嫌い?」


「そうじゃないよ!高級過ぎて買えないんだ」


「そうなんだ…」


 タマ子は毎日のようにクッキーやケーキを食べていた。高級という事も知らずにだ。服だけじゃ近づけないことを知った。

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