それでも主人公がいないと始まらない!

 男性の転移した世界が、女性しか魔法が使えず、しかも魔法が使えない事には戦闘力を持てない世界だった、と纏めてしまうと、かなり乱暴になってしまい、俺Yoeeeだけが特徴の物語ではないと感じました。

 確かに魔法が使えない事には戦闘力は持てないし、またサバイバルスキルを持たない主人公は弱いといえるのですが、読み進めていけば、弱い主人公だけど周りが勝手に世話を焼いてくれて何とかなってしまう物語でない事に気付きました。

 確かに女性陣は強いのですが、主人公にそれ以上の強靱さがあるように感じるのは、「人間関係」という何よりも強い絆の中心に存在するに相応しい心を持っている、と感じられるからです。

 物語に登場するもう一人の男性も、また魅力溢れる人物です。

 男性であるから魔法は使えず、自分が身に着けてきた技術、知識を操るのですが、主人公が師と仰ぐのはストーリー上の演出、必然性のない関係とは思えません。

 生きる力に関していえば、彼こそが最も強いのではないかと思わされる事が度々で、師という言葉から受ける印象の全てを身に着けています。

 確かに俺Yoeeeですが、ご都合主義的に上手く行く俺Yoeeeでない物語です。