第2話 高1 三月 先輩の裏話 その1

「友香、誕生日のプレゼント、なにがいいか思いつかないからリクエストない?」


 ランチをしたファミレスで啓くんに聞かれた。

 えっ、プレゼント?何がいいかな、今別に欲しいものはないし、合鍵は実家の鍵になっちゃうから絶対ないだろうし、高校はアクセサリー禁止だからペアのアクセサリーもなぁ…。ここはベタにお揃いのシャーペンかキーホルダー…うーん。


「特にないなあ。私、啓くんとこうしてデートできるだけで十分だから、強いて言えばあなたが欲しいってとこかしら。」


 ニヤリ、と姑息にふざけて言ったのに、啓くんは真っ赤になっている。

 どうしよう。マジに取られたら。


「えっと、僕、その、心の準備というか…。」


「待ってごめん、そういう意味じゃないから!私、啓くんが選んでくれたものなら、何でも嬉しいよ。」



 そんな会話をしていたとき、私の大好きな先輩カップルに声を掛けられた。


「まぁ、友香、デートなの?(私のかっこいいまもるに全く興味を示さなかったのはこういうことね)」


「一色の彼か?(やたら桃華にまとわりついて、百合なやつかと思ってたが気にし過ぎだったか、よかった)」


「はい、彼氏の金城君です。啓くん、いつも話してる水川先輩と桃華先輩。」


「こんにちは、金城です。」


「「こんにちは。」」


「そうだ、丁度いい!私、先輩たちに聞きたいことがありました!ここ座ってください。」


 私は啓くんの隣の席にランチプレートを持って移動して、テーブルの上をきれいにした。先輩たちが向かい側に座ってオーダーを済ませる。


「実は花火大会の後、どうなったのかずっと気になっていたんです。」

 (おい、プレゼントについてきいてくれるんじゃないのか 啓、心の声)


「ああ、あれか…。」


「計画を仕込んでくれたのは友香だし、話してもいいけど他の人には内緒よ。」

(友香が尊敬するこの素敵カップルから、なにか学べるかもしれない 啓、心の声)


 水川先輩が思い出しながら語ったところによると、去年の七月の花火大会の後…。

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