第6話 パレードのあとは!

 暫定とはいえ、1位と2位の太一達御一行。何の疑いもなく、『異世界ウオッチ』のあらすじに従い園内をまわった。次のフードコートでの合流では、太一は財布の紐を緩め、みんなにご馳走を並べることにした。優姫を連れて行ったのは、少しでも豪華にするためだ。その間、残った6人は、次の作戦会議をはじめる。


「すごいよ、アイリス! ずっと1位と2位だよ!」

「ま、原作知ってるなんて、チートっしょ!」


 アイリスの博識を皆が褒め称えた。だが、アイリス本人は浮かない顔。


「やはり、最後はアレをしないといけないんですね……。」

「アレ? 物語には一体どんな秘密が隠されているのかしら?」

「何よ。ここまできたら勿体振らずに言いなさいよ!」


 アレのことを言いたがらないアイリス。それもそのはずである。アレというのは、パレードのあとに繰り広げられる、ドッグファイトなのだから。アイリスはしばらく黙り込んだあと重い口を開く。


「ドッグファイト? なっ何よ、ソレ……。」

「犬の喧嘩。互いに相手のお尻に噛み付こうとする行為、ですか?」

「何て醜態なの。やるのもやられるのもイヤよ!」

「けど、まりえ達はもう喧嘩で闘ってるから安心だね!」

「いいえ。最後の喧嘩はチーム関係なしのバトルロイヤル!」

「チーム、関係なしの……。」

「……バトルロイヤル!」


 アイリスが言いたがらなかった理由が分かり、一堂に戦慄が走る。その空気を変えたくって、まことがいつも通りに毒を吐く。


「ま、売れないラノベ特有の盛り盛りな展開っしょ!」

「まさか、全員で全員のお尻を叩き合うとか?」

「いいえ。もっと一方的に蹂躙されます。僧侶とミノタウロスによって……。」

「僧侶……。」

「……ミノタウロス……。」

「……マ、マスターと……。」

「……アイリス!」

「ま、ありがちな展開っしょ!」


 だが、平穏を取り戻す前に、さらなる戦慄が駆け抜ける。


「そうなの。そして、そのあとは、もっと過激!」

「一体、何がはじまるの?」

「……。」


 一同、固唾を飲んでアイリスの発言を待つ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る