第4話 10連敗

『はじまりの森』を終えた太一達。平凡な記録しか出なかった。原因は、明らかなレベル不足。アトラクションの名前から、最初に利用する人が多いのだが、レベル1だと攻略は難しいようにできている。その結果を受けて、太一達にはある司令が出る。1時間以内に10回バトルをしろというものだ。このバトル司令は、複数のパーティーに伝達されている。彼らが向かうのは、『バトルフィールド』だ。


「バトルだね。楽しみだね!」

「けど勝たなきゃ、意味ないわよね……。」

「307位は素敵な順位です。勝てる確率の方が高いと思いますよ!」

「よぉーし! レッツバトル!」

「オーッ!」


 楽観的なまりえと太一、本能的に不安を覚えるあおい、冷静に勝利を信じる優姫。当たっていたのは、あおいだった。この時間に『バトルフィールド』に集まっていたホワイトチームのパーティーは、どこも100位以内の強豪。太一達に勝てるはずはなかった。バトルそのものは、IDの交換のみで終了する。結果は1分後に伝達されるが、その間はお互いに離れていなくてはならない。マナー上、互いに自分達の順位を晒すことは許されない。いくら交渉術に長けた優姫でも、それだけはできないのだ。


「あちゃー! これでまさかの7連敗……。」

「みんな強いんだね!」

「これほど運悪く強豪と当たってしまうだなんて……。」

「仕方ないよ。負けは負け。次に行こう!」


 楽観的な太一だが、このあとも勝ちは巡ってこなかった。結局10連敗となって、バトルフィールドをあとにした。


 ーー順位情報! おめでとうございます。10連敗によって、5位になりました。ーー


「おー! 5位だよ! すごいよ!」

「何なの一体。負けて順位が上がるだなんて、おかしなはなしね」

「『異世界ウオッチ』が売れなかった理由が、分かった気がします……。」

「ははは、結果オーライってことさ!」


 受け止め方は、人それぞれである。

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