第2話 さっか

 吾輩はネコである。

 名前はちび太。



「また一次落ちか……」


 吾輩のご主人様は「さっか」というものを目指している。

 なんでも多くの人に夢を届ける素晴らしい職業なのだそうだ。


 しかしその夢は、吾輩が来てからこのかたずっと夢のままだった。

 今日も吾輩は「さっか」になれなかったご主人様を、


 すりすりー、


 すりすりー、


 身体をこすりつけることで慰めにいく。


「おお……ちび太。おまえだけが俺の味方だよ」


 もふもふによってご主人様の傷ついた心を癒してあげる。


 これもまた同居人たる吾輩の大切な務めなのだった。

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