第4話  初めまして 1


 この場所に軟禁されているのを理解してから半年、ただぼーっと毎日を過ごしていた訳じゃ無い! 日々、いろいろと観察してきて分かった事がある。


 まずこの世界では魔法が一番、重要視されている。

 何故それが分かったかって?お母さんに聞いたんじゃないよ。


 だってここ三か月程お母さんがここに来なくなった。

 その代わりに、一人のメイドさんが来るようになった。リアルメイドさん。

  

 メイドさんはリアさんと言い年齢は大体、四十台後半と言ったところだろうか?


 勿論、女性に年齢を聞くなんて失礼な事はしませんよ。

 まぁ聞くも何も会話は最低限しかないけど・・・。


 リアさんが来た初日のお風呂に入る時に分かったのだが、リアさんは魔法が使えなかったのだ。

「何故、魔法を使って湯にしないの?」と聞いたら「大体の人間は魔法を使えません」と返答が返って来た。

 

 魔法が使えるのは大抵、貴族や神官など国を支える人間が使えるそうだ。

 平民が使えるのは稀で、そういった者は早々に教会に仕える様になるそうだ。


 なので、私が居る此処は貴族の屋敷の一部分なのだと分かった。

 そこから考えると・・・私がこの場所から外に自力でないと出られない気が・・・。

 私が貴族の子供でよそ様に見せられない子供なら、よっぽどの事が無い限り外には出さないだろう。

  

 と、そこまで考えて一人落ち込んだのが三か月前。


 そこから“もし、外に出れたら身一つだろうから、何か手に職を!”と前向きになってみた。


 自分の今までの人生の中で、何とかなるさ~ではなく、次に!と言うポジティブ思考が身についてて、本当に良かったと思う。普通なら、諦めるもんね・・・。

 

 次の日からは、取り敢えず知識は必要だから・・・とこの世界の知識に関する本を読み漁った。


 勿論本はリアさんにお願いして持って来てもらってのだが・・・異世界、舐めてた。

 持って来て貰った本が読めなかったのだ。

 異世界転生なら自動翻訳はついてるものじゃないのかー!!と言ってても読めないのは仕方がない。


 この子自身は教育と言うものを全く受けていないのだろう。

 話すだけなら教育も何も無いし、ましてや軟禁してるんだから必要がない。

 

 だがしかし!私は本が読める様になりたい。

 リアさんに訴えたら、リアさんがあっさり教えてくれた。


 基本的な文字(日本で言う、あいうえお表なる物)を作成して貰い、日々苦戦した毎日を送っていた。

 リアさんも最初は、あんまり話をしなかったが今では質問したりすると教えてくれて、さん付けをする事がなくなる様になった。


 ただし、教えて貰うにあたって一つだけ“リアさんから教えて貰った事を屋敷内では隠すこと”と約束をした。

 リアは私の世話を屋敷の主人からは命じられているが、教育をしろとは言われて無い。


 余計な知識が身についていたら、真っ先にリアが疑われるしね。

 その前にここから出られるのかも不明だが・・・。


 それからは、リアの時間が許す限りいろいろな事を学んだ。

  

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