第3話 ドラゴン呼んだら大惨事

 装飾品のある屋敷は村の北端にあった。立派な屋敷ではあるが荒れ果てている。

「あれがその屋敷だな」

ミルが白い目で見る

「あれやそので片付けないでください。分かりません」

「別にこの場合は良いだろ!伝わるでしょ?」

そんな喧嘩をよそにリクは屋敷に突っ込んでいった。

そんな様子を見てレナは

「元気ですね~私、いらないですかね?」

と、感心している。

だがリクはすぐに血相を変えて駆けって来た

「なんだよ、リク。それでも戦士か」

「いや、違うんだよ」

ミルが目を丸くする

「えっ戦士じゃないんですか」

「その違うでは無くて!あの屋敷の中、トラップだらけだ」

「なに⁉」

半信半疑で屋敷の中に入ると本当だった。入ってすぐにやりが飛んでくるし、それを避けたら床が開く。ようやっと進んでも天井から爆竹が降ってくるわで中はお祭り騒ぎ。うん、無理だ。

レナが白旗をあげた

「さっきのおじいさんの所へ戻りましょう」

全員賛成でおじいさんに抗議することになった

「おーい、村長いる」

とうの本人はお茶をすすりながら出て来た

「ん?おお、勇者か。仲間たちも。取ってきてくれたのか」

「冗談じゃねえ!あの屋敷、トラップだらけじゃないか」

だが村長は平然としている

「そうだったかな?なにしろ最後に使ったのはだいぶ前でな。盗賊でも来たのかな」

リクが身を乗り出した

「盗賊が来るのか?」

「ああ、来るぞ。猫人間の盗賊団がな」

「猫人間の?それってもしかして。レオ、あれを出してみろ」

「うん」

ポケットから城で拾ったバッチを出す

「この盗賊団?」

「おお、そうだ。仲間か?」

「わけあるか!拾っただけだよ」

村長はつまらなそうな顔をした。

こんなことをしていてもらちが明かない。俺たちは作戦会議をすることにした。

ミルが出番とばかりに主張する

「だから、私の案がいいと思います」

俺たちにとってその案はデメリットもあり乗り気にならないのだが・・

「まあ、仕方ないか。他に案はないからな」

結局、ミルの案を採用することになりミルはとても喜んでいる

「それでは、さっそく始めます」

ミルは木の棒で地面に手際よく魔方陣を描くと呪文を唱え始めた

「百熱の炎より生まれしドラゴンよ、ここに!」

魔方陣が輝きドラゴンが現われた。目をキラキラと輝かせるミル。

「やったー!ドゴ、久しぶり~」

ドゴことドラゴン。名前で呼んでいるので予想できる人もいるかと思うが、この子はミルのペットだ

「いや~会いたかったよ。うん、うん」

ちなみに。喜んでいるのはミルだけでドゴは凛としている。

俺は次に起きる事態を予測して注意してあげた

「ミル、あんまりさわるなよ」

だがミルは聞き流している。

「いや~かわいいねえ・・ぐはっ」

ミルはドラゴンに尻尾で吹き飛ばされた

「だから言っただろ」

このドラゴンの逆鱗は白い羽毛のようでもふもふのふっかふかなのだ。だからミルは逆鱗に触れては吹き飛ばされている。まあ、毎度の光景です。

リクは不満そうだ

「いい加減にペガサスを飼おうぜ。食費がかかってしょうがない」

そう。これがデメリット。ドラゴンは呼び出す見返りとして大量の食糧を与えなければならない。ペガサスならそんなことは無いが。

起き上がったミルがドラゴンに指示を出す

「さあ、ドゴ!あの屋敷にハッピーバースデーだ」

謎の命令と共にドラゴンが勢いよく炎を吐く!って、あれ?

俺は今更ながらにミスに気付いた

「これ、まずくないか」

盛大に燃え上がる屋敷。たしかにこれならトラップは消えるだろうけど・・

レナが泣き顔になる

「大変です!装飾品まで燃えてしまいました」

手に持っている装飾品の金の指輪は炭みたいに真っ黒こげ

「それはそうなるよな・・」

リクが指示を出す

「仕方ない。レナ、修復して」

「修復?ああ、そうでした」

思い出したように回復呪文を唱える

「私たちのミスを消し去りたまえ!」

見る間に装飾品が元通りになる。これもこの世界の回復呪文の効果の一つです。

 かくして無事に装飾品を手にした俺たちは村長の所へ戻る

「はい、これ。装飾品」

「おお、よくぞ持ってきてくれた。礼をするぞ」

レナが遠慮がちに口を開いた

「あの~、もうひとつ装飾品があったのですが」

それはやはり金でできた杖だった

「ん?ああ、それは隣国からの借りものだ。すまんが返しておいてくれないか」

俺は流石に抗議した

「それは流石に無責任だろ」

「そういわれてもなあ・・継承式の準備もあるし」

いや、さっきまでさぼる気だったでしょ。

「隣国は大国だ。人探しの情報も得られるかもしれんぞ」

ぐっ、この交渉上手め。頼まれてあげようじゃないか

「分かった、この杖は責任を持って俺たちが届ける」

「うむ、頼んだぞ」

こうして俺たちは村を後にした

 隣国へ向かう道中、こんな話を耳にした

「分かっているな、クマ一匹入れるんじゃないぞ」

「分かっている。でも、クマって大きすぎだ。ネズミだろ」

「いや、アリだな」

「いや、ミジンコ・・」

話しているのは鎧を着てやりを持った兵士二人組。おそらくは隣国の兵士か。

リクが疑問を口にした

「なんであんなに警戒しているんだ?」

それもそうだ。魔王は倒れたのに。

ミルが呆れたように言った

「倒れたって知らないからでしょ。王様にも信じてもらえていないもの」

「ああ、なるほどね」

確かに今現在魔王がいなくなったことを知っているのは俺たちだけだ。

でもなあ、やっぱりハムスターが魔王だとは思わないよね。事実なんだけど。

張本人は絶賛お休み中なんだけど。

そんな話をしながら隣国へ到着

「ふう、着いた」

このナノ王国は傑物の王が治めることで知られている。

俺は門に向かって勢いよく駆けだした

「よし、入れてもらおうか」

2人の門番に槍を向けられて止められる

「え?」

「すみませんが、お引き取り願います。今は部外者を入れるわけにはいきません。

どうしても入りたいとおっしゃるのであれば一度捕まってもらいますね」

そんなわけで俺たちは捕まりました。どうしてこうなるの?

続く















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