アイスクリーム

赤谷レイナ

アイスクリーム(1)

強い光が差し込んできたせいか目が覚めてしまった 。重い体をむくりと起こし、壁にかかった掛け時計に目をやると2時13分だった。どちらの2時なのだろうかと寝ぼけていたせいかそんな馬鹿馬鹿しいことを考えた。

ピチョン。

液体が流れる音がした。それと同時に上体を支えていた腕を動かした時に枕が濡れているのが指先から伝わってきて気持ち悪く感じ、そちらに目を向けた。変に甘い匂いがした。カップに入ったアイスクリームが横たわり血液が体内に流れるように弱々しく流れていた。

「ああ。おかしい。おかしい。これはいけない。」

思い出したくない嫌なことを思い出させたこれを捨てるためにベッドから出て、空腹であることを感じ、冷蔵庫を開けた。しかし冷蔵庫は虚ろな目をしてこちらを見るので仕方なく冷凍庫を開けた。そこにはポツンとカップアイスがうっすらと氷をつけて片隅に自信なさげに座っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る