[ドール] まっさらな私の行き先 <短>
イマジナリーフレンドって知ってます?
ヒトが小さい頃に出会う架空のお友達。ちょっとそれとは違いますが確かに私も居たんです。自分に近しく、でも今は居ないそんな存在。
さて、たいちょーさんこっちです!!
私 "ドール" がお呼びしましたっ
来てくれてありがとございます。お願いですが、ちょっと聞いて頂きたいことがありまして。
あっ その前にですが──
私の "たんけんたい日誌" をご覧になりました? (確か9章まで書いたかな...) まだでしたら、呼んでおいて申し訳ないのですが・・・そののちにお話できればと思いますっ!
・・・・・・もし
もし全部ご覧になったのでしたら......
"ちょっと" ではなく、今度こそどうしても聞いて欲しいのです。
ほんとに、ご覧になりましたね?
ならばお話しさせてください。
あの時の事を覚えております?私が原種へ戻っちゃって──あっ 急に失礼しました。
嫌な事を思い出させたい訳では無いんです・・・。
けれど私も怖かったですよ
自分の得体が知れないと言うか...。
これは聞いたお話ですが──
原種へ戻る(=パークを離れすぎる)前に輝きを奪われてたから、再フレンズ化した後でも取り返せた、と言われてるそうですよ。
つまり消える前に一度巨大セルリアンへ預け、また引き出す形になってたのかも。皮肉ですよね・・・ふふ。
今なら "こんな事もあった" と笑ってできるお話ですっ。でももし輝きを持ったまま、原種へと戻ってたら──
──っとと...そうじゃない。私が本当に聞いて欲しいのは、そんな内容でもないんです。
ここからは真面目な話ですが......
・・・私がまたフレンズ化した時って、まず "真っ新な私" が居ましたよね。今の私とは、ちょっと別の生まれ直ったドール
あれから、ふと思ったんです。
真っ新だった私は何処行ったんだろう
そのドールだって、あのままで居れば今の私と別のことを知り、きっと違うことを覚え、そして出来るようになる。性格とかも多少違うくなる
また言いますが "今の私" とその "真っ新な私" は何処か別の存在だったと思ってます。
そう考えると何だか──
恐ろしく感じてきたんです・・・。
私が輝きを取り戻したことでその生まれた真っ新なドールを、何処かへ消し飛ばしたんじゃないかって。
そんな証明は一切できないし、説明も限界があります。でも確かにその時は別の私が居たんです、架空なんかじゃなく。
多分このお話を、ミーア先生やマイルカちゃんに話しても「そんなこと無い」とか「どれも貴方だから」って言ってくれる──
けどそうではないんです。
たいちょーさん・・・私は否定とか元気づけて欲しいわけではない。正直言うとそのドールに謝りたいのと、お礼が言いたかったんです。
でも面と向かって言えない、一つの自分ですし、もういないし。最初言った架空の友達みたく出てきてもくれない。
だからこのもどかしい気持ちを、どうか聞いて欲しかったのです。
何でたいちょーさんにこんなお話をしたのか正直、自分でも分かりません。やはり本当は否定して欲しいのか、それとも許してほしいのか。
そのドールは生まれてすぐ皆さんと作戦を立て、巨大セルリアンと対面してそのお陰で取り戻せた。
考えも行動も一緒だなぁって
ただ聞いて欲しかったんです。
でも出来ればその自分に会いたいな
なんて・・・・・・ごめんなさい、こんな事でお呼びしてしまって。聞いてくれて、ありがとうございました。
┈
┈┈─
────
本当ならこれでお話は終わりですが、あれから大体2ヶ月経ちました・・・。
たいちょーさんごめんなさい、やはり私は悪いコでした。日誌、そちらでも書いてたのですね・・・見ちゃいました
┈ ┈ ┈ ┈.*˚
隊長日誌:・・・・・・
今日のお話で、ドールには気の利いた言葉すら言えませんでした。
彼女は本当にお利口、副隊長ですから。
でも "真っ新なドール" を消し飛ばした、と言うのは間違っています。輝きを取り返さないと今の彼女も帰ってこれなかった。
当事者であるドール自身に思うところがあるのでしょう。私の至らないその境地に。
あの後も話をしました。けど途中で懺悔を聞いてるような感覚になり、しかも自分はまともな返事もできず、とても心苦しく思いました。
話は変わりますが──
あれから調べたことで・・・人は生まれて約七日間、魂は別次元にいるらしいです。
前のドールも、生まれてまだ一日程度...ならばその場所に帰れたものと願いたい。ただ上の話はフレンズではなく人での事・・・。
だけどこの件、意外にも子供の頃そこへ迷い込んだかもって
正直、フレンズに "子供の頃"ってあるか怪しい。それにかなり前の事だと思う。でも別次元って、時間軸は曖昧そう。
・子供は小さく、道に迷いやすい
・だから波長が合ったりくぐりやすい
・フレンズでも子供なら同様に??
その娘の話、聞きに行こうと思います。
.*˚ ┈ ┈ ┈ ┈
たいちょーさん、この件お願いですから私も連れてってください。何か胸騒ぎがして、絶対に聞かないとならない気がするんです。
私たちは、お話を聞きに行くことにしました。これで私からのお話は終わりになります。
どうもありがとうございました。
余談ですが──
もしたいちょーさんも架空の友達がいたのなら、別次元から貴方を心配し、見に来てくれたのかもしれませんね。
真っ新な私 ありがとう、ごめんね
そして さよなら。
ドールより
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