[トキ] クローゼットと糸でんわ ─後編─ <中>






 あら、よく来たわね。

また聞いてくれて嬉しい、続けるわね・・・。





 ──ジジッ┈ヂ...チ..ブ...ブ...ちゃ...ん




 今までとは違った様子と匂い、音が聞こえる。

閉じたクローゼットの中に鏡を置き、向こうの受け口を鏡に貼り付け、"あっち" と繋ぐための物を入れた糸でんわ。


 普通、怖いって思うはずよね。

  でも──



 今の状況にゾクゾクしている・・・。

あ、イけない・・・コップを耳に当てないと向こうの音が聞こえない。ヒトのでんわなら声を聞きながら話せるらしいけど、これだと少し不便に思うわね・・・。



『ト─..ぃ...ちゃんだ─..ねぇ・・・?』



 変な音もするけどすぐ分かった。



『アルパカね!?あっ・・・できた聞ける、やっと上手く行った・・・!』


 受け口を持ち替え忘れて話してしまったわ・・・。



『バイバイしたの..ぃ─、ま..ぁ声が聴ける─..思わな─..たよぉ...どうやっ..ぁのぉ・・・?』


 どうやったの って聞いてるようね。失敗ばかりしたけど、今までの手順を説明する。長生きしちゃったことも。


「うぅ...ぐっ、もう周りに誰もいない・・・。耐えられなかったの・・・。」


 少し置いて向こうからも声がする。



『私も..ぇ、トキち─..ん一人にして、寂しい思いさせ.._心残り─..ぁんだぁ・・・。

本当にごめんねぇ...』



 アルパカは謝ってる、彼女は何も悪くない・・・。

それから、コップを耳に当てたり口に当て変えたりして、たくさん話しをして声を聴いた。


 この世代が寿命を迎えて・・・

 次世代が生まれなくて──


 紅茶の作り方、上手になったこと──

 茶葉の見分け方も知れたこと──



 ・・・・・・

 ・・・


 まだお昼が少し過ぎたくらい。

あまり時間はなかったけど久しぶりに話ができて満たされていった。



┈─『ジz...そろそろ─な..ぁ、まだ取っ..─おいてる─ぉ?』


 音がする中、アルパカが "繋げる" ための物がまだあるのか聞いてくる。


 実はまだたくさんあるの・・・。フフ♪


 髪束、もみあげ、尻尾の毛、首元のモコモコ、リボン、靴と靴下、前髪 他にも色々。お話しにはまだまだ困らないくらい。


 アルパカが消えちゃう前に取っておいた。嬉しくて、勢いでアルパカに説明しちゃった...。



『そ、そ..ぉ~・・・すご─..願ってた..だねぇ、嬉しzいなぁ~...』


 アルパカ、少し言葉がどもっているよう。

執念が伝わっているようで嬉しいわね・・・。



 ──でも、彼女は意味深なことを言った。




『ごめ──ねぇ・・・私に繋ぐ─z、次で最後に...──ジ...バジ...ヂ─』



 彼女が話している途中で燃えるような?擦れるような音が出てきてとうとう声が消えた。次で最後・・・?

 次あるならいいけど・・・。


──


 少し休もう、今度はショウジョウトキとお話したい。もちろん、あの娘の一部も取ってあるの。


 髪束はもちろん、朱くてかわいい翼とか髪留めやスカートの切れ端とか・・・─あ、内容がそれちゃうのはダメね・・・。


 終わったし、一度クローゼットを開けてもう片方の受け口を取り出すことに。


 取っ手に指を掛けたんだけど──




  ──あれ?




 ・・・何故かクローゼットが開かない。それにぬるぬるする、何もついてないのに。

 しかも、無理をすれば開く感じでもない。


 何ていうか・・・空間に固定された感じ。

力を入れても扉は揺れもしないし音も立たない。


 ・・・さらに気づいてしまった。

このクローゼット、炭のように黒ずんでいる。木造りなのに。燃えないとは思うけど──


 もしかしたら、まだ別の方へ繋がっているのかも。今はどうしようもないか、行きたいけど。



 後でまた出来ると勝手に思った。その間に寿命が来れば、もうそれでイイし。

 怖さより、完全に浮かれていたの。


 ふふ......。下の階へ降り、あることをした。

彼女たちが愛おしくなって。それと、少し寂しくなったから。


 急に感覚がコレをしたいと思った。けど何でこの行動なのかは分からない、自分でも。



 ──はむっ...むしゃむちゃ......

  むふゃむちゃ......まふフフ・・・ゥ♪



 部屋のカーテンを閉めきり、彼女らの髪束を口に含みだす。

飲み込まないように気を付け、暗くした中で延々とソレをする。



 ──むふぁ~...ァ

 ──ッぶは!げほっ・・・けほっ......



 でも髪って、スルスル流れるのよ意外と。飲み込みそうになっては、むせて吐き出す。


 ──ケホッ...けぇ・・・くふ.ふ.ふ..♪



 でも彼女らの匂いを感じ、笑っていた。



 ┈

 ┈┈



 暗い部屋。

あのクローゼットの中から


 ── "カリカリ"


と引っ掻くような音がする。

 それを何故か私は──



  "逆さまに飛んで"



 ただボーっと眺めていたの。

あの中には何がいたのか・・・何故、私は逆さまに飛んでいたのかしら。


 ┈┈

  ──ぅ......ん~ん・・・。


 あの娘たちを愛でてたら、いつの間にか朝になっていた。カウンター席で突っ伏して眠っちゃったみたい。刺すような白い光が窓から入ってくる。

 夢の内容、起きてもよく覚えていた。 



 けど、すぐにどうでも良くなる。

ショウジョウトキと話すことを考えていたから。

 上へ行き確認すると、クローゼットは木の色に戻っていた。うん、扉も開く。

どうやら1日くらいでまた使えるよう。


 クローゼットを開いて下に置いた鏡、それに固定したコップとテープを剥がして取り外すが・・・


  ・・・?



 ──鏡を見て違和感を覚えた。

   写り方が少し、おかしい。



 真ん中へ細まる形で姿が写っている。

よく見ると少しだけ、ほんの少し全体が真ん中へと窪んでいる。スプーンみたいな、とは行かないけどそんな感じに。



 ここでも気にしなかった。

外したコップの中身はススが溜まっていて、 "おせんこう" の・・・いや違う。

アルパカの香りでいっぱいだった。


 取っておく、イイコトに使えそうで。

 くふふ......。



 昨日の手順で、今度は赤い娘の髪束を使う。手の傷口は引っ掻くとすぐ開き、そこから血をいっぱい含ませる。少し痛い・・・!

 とっても濃い朱色になった。"ワインレッド" って言うそうね、綺麗...。



 クローゼットの中にまた鏡を置く。

コレ、面が窪んだ形になって糸でんわをテープでも固定しにくかった。

 面倒、面倒面倒ね・・・!


  ──ベリベリッ...

    ──ベリベリ...ペタペタ......



 扉を閉じ、心の中でお話したいとまた願う。


 程なくして、あの煙ったい匂い。

 成功したと思った。・・・けど。



 ふと、何も持ってない左手を見たの。



  ──・・・あ。


 思わず声が出た。

サクランボの実が視界に入る。・・・やってしまった。あっちの受け口にコレを入れ忘れてしまった。


 つまり、手順を間違えた。



『──う、う~ん・・・・・・!?』


 ・・・!でも、こっちの受け口から声が聞こえる。

間違えたのに繋がったの!?時間はない、意を決して声を掛ける。


「聞こえるかしら・・・だれ?ショウジョウトキ・・・かしら?」


 素早く受け口を耳に当て変える。



『んえ、わぁ!?びっくりしたんですけど!!どうして私の名前が分かったの!?』


 アルパカの時よりはっきり声が聞こえる。

言葉遣いからしても赤いあの娘で間違いない・・・ただ、向こうは状況を分かっていないよう。


 私の名前を伝える。

──貴方の仲間。って言葉を添えて。



 けど痛感することになる、間違えたことを。



『・・・だれ!?

私と似た名前のようだけど、貴方を知らないし会ったことないですけど!?』


 記憶が・・・?

せっかく呼び出せたと思ったのに、忘れられた?


 おかしな感覚だわ・・・孤独?まさかここでも感じるなんて。

 目が潤む、泣きそう・・・。



 ──けど、彼女の言葉に別の意味で驚く。




『ここでもフレンズに会えるなんて~!うん、痛くないこれは夢の中!

貴方どんな格好しているの?早寝した甲斐あったんですけど~!!』


 ・・・?

寿命を迎えたことも忘れている?それに、あの娘にしては無邪気な感じがする。



 ふと、彼女と初めて会った時のことを思い出した。 「ここを通ってと、夢で──」



 ──まさか!

受け口を持ち替え彼女に質問する。


「貴方・・・もしかして博士と助手は分かる!?しんりんの、としょかんに居る白い博士と茶色の助手──」


 ある予感を感じて彼女に質問をする。



『うん会った、3日前に私の種族名を教えてもらったの!偉そうで、私も負けじと張り合っちゃいましたけどっ!』



 やっぱり・・・確信した!

博士たち、3日前なんて居ない。

この娘は生まれて間もないショウジョウトキだ・・・。でも次世代の娘ではない。


けど "寿命を迎えたショウジョウトキ" でもない。



 これは多分・・・。

昔のあの娘だ、つまり糸でんわが過去に繋がっている!


 その娘らの一部分が "誰" へ繋ぐのなら、サクランボの実は "場所"へ繋ぐ。

場所指定を入れなかったから、別の時間へ繋がってしまったんだ!


 ただ、興奮しつつもこの娘とは詳しく話すべきではないと思った。これから経験する娘だから。

これからのことを教えてもいけない。


 ただ──


「貴方、起きて行く当てはあるのかしら?」



 何かの縁だから、せめて道標を出そう。



『ううん、まだ決めてないんですけど・・・』



 恩着せがましいけどね・・・。


「それなら、 "こうざん" ってところを目指して。地面にマークが見えるから、そこで降り立つの。そこには貴方を探している娘がいるから──」


 これでいい、これでまた出会える。

 私ではないけど。

 

 それと通話が切れる前に、彼女にはこの"儀式" を教えた。

もし孤独でどうしようもなくなった時のため。できれば使って欲しくないけど・・・。


 ┈┈┈

 ┈┈


 あの・・・かばんやサーバルと別れた後すぐ、ショウジョウトキが降り立った。

 そこで、彼女は言ったの。



「夢の中で、この場所こうざんを通って欲しいって言われたんですけど!

誰かは覚えてないけど、貴方の声によく似てたかも!」



 この時は、私もアルパカも訳が分からなかったけど・・・。今なら良く分かる。


 ┈┈


 程なくして彼女とは途切れた。でも朱い娘は言ってた、 "ありがとう" って・・・。



 なんだか涙があふれる。

何ていうんだろう、嬉しいでもなく悲しいでもない変な気持ち。帰りたいって気持ち・・・?

 多分、これを考えてたんだと思う。



  "一人に、しないで・・・!"



 ──・・・はっ!

そうだ、一人・・・?私はまだ一人じゃない。

  


 同世代のツチノコがいる。

まだ彼女がいるなら一人じゃない。それに、この方法を教えれば彼女も気分が楽になるはず。


 アルパカとお話したいという気持ちもあったけど、本当に一人になる前に何とか話しておきたいと思った。

 糸でんわを繋いだのは朝、そんなに時間は経っていなかった。暗くなる前にはとしょかんと、さばくちほーは少し回れるはず・・・!


 ─

 ──


 ツチノコに会えないかと、またとしょかんへやってきた。博士達はやはりまだいない。

 あの時から少し経っている。さばくちほーへ帰ってるかもしれないけど・・・予感していた、いるんじゃないかって・・・。

先が長くないからか変な勘が冴えてるわね。

でも、そうだとすると彼女は・・・──



──元のちほーまでの体力はなかったのかもしれない。


 としょかん内の幹の影、向こう。

何かが背中から光を漏らしつつ、身体を引きずるような体制で地下の部屋へ入っていくのが見えた。けど、何だろう・・・?



 私に見つからないよう遠ざかってる・・・?

 急いでその部屋へ追いかける・・・!



 待って、貴方は──



 部屋の奥で、後ろ向きだけどフード姿のシルエット。それが物陰に隠れるようにしてて光って散らばり、消えた・・・。


 ・・・


すぐに分かった、今のはツチノコ・・・。

彼女はちょうど寿命を迎えたんだ。

声も出さず、私に見せないように──・・・。



  ──あっ・・・ぁぁぅ......



でも、また目の前で終える娘を見てしまった。彼女には教えたいことがあったのに。



 彼女のいた所に本があった。

七色のリボンを結んである、彼女のね・・・。なんの意味があったのか・・・。


  でも──


 ぐふふ.ウ...──あ゛ぁうぁぁァぁーー!!



  ──ガガッ ──バギギィ!!

    ──バサササッ! バササ......

  ──バキキッ...ボフンッ......


  ──うぁぁぁぁーぁぁぁ!!



 泣き喚き、周りの椅子とか布団をぶん投げて棚の本を散らばす。

めちゃくちゃに癇癪かんしゃくを起こして。


 ┈┈

 ┈┈┈┈

 ...ふぅ...はぁ...ぁぁ......


 きっとカラスみたいって言われても仕方なかったわね・・・。そのうち、だらし無く座り込む。



 あぁでも、そうか。

 あの方法を使えばイイ・・・!



 危なくてもいい、もうイイ。

知ったことでないわ・・・。とうとう私は独りぼっち。

 もう怖い物すら怖くない。



 ツチノコの一部は残念ながら七色のリボンしかなかった。でも1度だけ、短時間でイイ。お話する・・・。



 目も羽も ぐっしゃぐしゃにしながら "こうざん" に帰った。帰る途中のことは覚えてない。もう空も暗くなり、普段なら寝静まるくらいの時間かしら・・・。


 1階の容器を見る、サクランボはあと1つだけ。あの二人と話すにはまた探すべきだったけど・・・もう今はどうでもよかった。

過去のツチノコでもいいけど、今と話したい。



 何か分からないけど・・・

 この先が無いような感覚がした。


 最初で取ったアルパカのスス・・・。

このままおいてても彼女を寂しくしちゃう。

外の風に乗せてあげることにした。



  ──バイバイ・・・。



 ずぅっと向こうへと飛んでいった。

戻ってサクランボを持ち、再度2階へ上りクローゼットを開こうとする。

当然(?)クローゼットは固く閉ざされて開かない。

 私は苛立ち──


「イイから開きなさいい゛ィィーー!!」


 ──ガギギッ ギリリリ...!!

  ──ガンッ ガンッ ガィン!!


 せっかく手に入れたツチノコのリボンにカジりつき、クローゼットを何度も蹴飛ばす。


・・・カラスよりひどい声と動きをしていたと思う。



 ──ガゴッ!!



 何度か蹴るうち、何故か扉が開いた。

・・・枠から外れた音がしたような。

 

 ──ハァ...はぁ...ぁっはぁ...


 息が上がった私は少し冷静になっていた。

電気は付くけど、夜だったのもあって血の気が引いたのかも。


 でも、もうやるしかない。

3回目ともなると手慣れたもの、サクランボも忘れず準備を終えた。

 相変わらず鏡に貼りつけづらかったけど・・・。


 ──パタンッ


 クローゼットの扉を閉じ、受け口を耳に当てて待つ。



  ──・・・!? 気持ちが悪い。なにこれ



 異様な臭い、魚と卵が腐って混じったような・・・! 生臭いなんてものじゃない!!



 ──ゲホッ...ゴホッ!!


 咽てしまうくらいひどい・・・。

けども、受け口から音が聞こえてきた・・・!



『な─..ぁこれ・・・どうなって..ぅんだ!?』



 声だ、ツチノコの声が聞こえる!

臭さから目が滲みる感覚を我慢しつつ受け口を持ち替える。


「ゴホッ・・・ツチノコね!貴方とまたお話がしたかったの!!」


 嬉しかったんだけど、異臭のせいで感情が削られた気がする。



『やっぱ..─オレの...見ちまった─だな・・・謝るが─マズいぞ!


お前、まさか..同じヤツと3回話..してないか?それか3人目と..話してないか!?』



 私の話を抑え、彼女は切羽詰まったように言いだす。持ち替えてこちらも言葉を返すが──


「アルパカとショウジョウトキとは1回ずつお話したわよ!?貴方が3人目──」


『な・・・何てことだ!

この "お呪いおまじない" で話せるのは2で、1人につき2しか許されない方法らしいんだ!!』


 ──・・・え?そんなこと知らなかった。

それに何故ツチノコが詳しく知っているの・・・?



『オレもよく分からないんだが、パークを去るときに "ショウジョウトキに教えられた" 記憶が出てきたんだ!!』



 ・・・ワケが分からない。

けど、息もつかず彼女は言う。



『いいか!?すぐそこを離れろ!


 そして絶対振り向くな!!』



 一方的に向こうから捲し立てる彼女にどういう訳か私もムキになって──


「ここを離れる・・・!?私だって・・・もう怖いものは──」

『オレらと違う場所へ連れてかれるぞ!はやっ──うぐぁ!?』


「ツチノコ!?」


 口にコップを当てているのに、それでも聞こえるくらいの音で彼女は訴える。

けど、途中で何かに驚いたように彼女は遮られる。



『やべぇ、オレも燃──・・・

いや大丈夫・・・いいから早くそこを出──』


 ・・・


 ツチノコと途切れた。

何か、彼女自身も危ない状況に聞こえ・・・?

急な緊迫感から一気に空気が静まり、私も放心状態になってしまった。ふらふらする。



  ┈┈早く離れないといけないのに。




    ──ゾガッ!


「──ッ!?」



   ──ガガガガガ!!!

    ── ガガガガ! ガリガリッ



 急にクローゼットの裏扉から強い力で引っ掻くような音がする!


 だいぶおかしくなってた私でも分かった。


  ヤバい。


 だけど、音がしてまだクローゼットを見ていた地点で・・・もう遅かったんだと思う。



 ──ガッ! ギィィィィー...



  開いてしまった。

 


 ・・・!?

クローゼットから目が離せない!!真っ暗だ・・・

さらに、私の眼は中の鏡の方へと無理やり向いてしまった。



  ──鏡の面が



 スプーンみたく窪んだ形になっている

 私が上下反対に映っていた

 額にあたる部分に受け口が貼りついている


  さらに



 鏡の私は赤い部分が "紫色" になってる

 私じゃない私が映っている


  ──あっ...あ゛っ・・・ぐっぇ゛...


 ・・・鏡の私が何かを言っている。


いや、私が口を動かしている、止まらない!!

 何かを言って・・・いや



  ──言わされている!



 "あなたはだぁれ...? "

    "あなたは、だぁれ...?"



 コレ、本で見覚えがある・・・。


 別の自分に会うと、どっちかが消えて・・・

 鏡の自分に話し続けると 

 何とかタルトが壊れ──



 自分で声を上げられないまま、視界が床に近づく。意識を失ったみたい。



 ┈┈┈┈┈┈┈



 ・・・むふふ。どうだった?私の体験。

安心して・・・あれから私、目を覚ましたの。アルパカさんもいるしPPPのオーディションにも前出たのよ。多分怖い夢を見たのよね・・・。


 ただ、紅いあの娘にはまだ会ってないの。

ツチノコはすぐ会えるところにはいないけど、何だかまた会いたいわね・・・。



 そういえば、ツチノコが紅いあの娘におまじないを教えて貰ったって言ってたわよね?

 過去の紅い娘が何かをしたのかも。だとしたら、そういうのも面白いわよね?



 最近、空に向かって歌うようにしたの。この方が "あっち" にもよく聞こえそうだから。


 さて、アルパカさんのお手伝いしようかしら。

 聞いてくれてありがとう、またね・・・。





    ──あれ?

 



 私 アルパカさん て 呼んでたかしら?

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