第22話 僕のチートは蛍の光


勝手に唇から言葉が紡がれ、勝手に体が動き出す。


操られるってこういう感じなのかっ!?


うわ、キモチ悪ッ!!!

僕の思考回路は葛藤と混乱で大パニックだ。

しかし、体の方はそんなそぶりも無く、所在無さ気に俯いたままだ。


表情筋の動きからおそらく、悲しげに眉を寄せているんだろう。

肩のレイニーさんもちょっと心配そうに「ピィ…」と鳴いている。


「…ふふ。心配しなくていいよ。

オレ、困ってる可愛い子には優しいんだ。だから君もずっとここに居ると良いよ。」


猫なで声で僕に語りかける男。


「『そうじゃな。コリカンは何でも出来るからな!』」


「『コリカン様のお力を持ってすれば、貴殿程度一人が庇護下に入る事に何の問題も無いぞ。

良かったな。』」


のじゃロリ姫とリリィレナさんの言葉を聞いて、周りのメイドさん達が口々に男を褒めたたえ始める。


「『流石コリカン様』」「『なんて慈悲深いお方…』」「『それを鼻にかける様子も無いなんて素敵』」


えーと、そんなに褒められるような事…言ったかな…?


「『あ、ありがとうございます!』」


それを聞いて、ぱっと、顔を上げる僕。


ぞわわわわっ…!


男とバッチリ視線が合う。その顔に浮かぶ表情を見て背筋に寒いものが走る。


ゲヘヘ…ハァハァって顔してるんですけどぉ!?

おいコラ10代後半!!

お前、魂は絶対10代じゃないだろ!?

何でそんな顔になるんだよ!!


「『良かったな。』」


「『は、はい!ありがとうございます…!』」


全ッ然、良かないけど、リリィレナさんの言葉に勝手に頷く僕。


「『ふむ、ナーノとやら、見るに…ワシよりも年下のようじゃな?

ワシの事はお姉さま、と呼んでもよいのじゃよ?』」


のじゃロリ姫が何故かお姉さまアピールをしてくる。


いや、たいして君と見た目変わらないだろ…つーか、この少女も…まさか【俺の嫁】なの?!


うわぁ!おまわりさーん!!

犯罪者が居るよーー!!!


「『…歓迎。』」


無表情ラバースーツさんはナポリタンをほおばる事を止めずにそれだけ呟く。


「『わ~い、よろしくね!ティキね、ティキって言うの~~!』」


わきゃわきゃ喜ぶ美少女達。

すごくほっこりするシーンのはずなのに、背中の芯に氷を差し込まれたような気分。


心に鳥肌が湧く。


そこには僕の…そして、多分、この歓迎してくれている女の子たちの意思が全く反映されていないからだろう。


…なにこれ?

新ジャンルのホラーかよ…!


「『えーと、ナーノちゃんだっけ?』」


「『は、はい!』」


清楚セーラーさんに呼ばれて僕の身体は返事をする。


「『じゃあ、あなたもコー君の仲間にしてあげるわね…来て。』」


うっ…清楚セーラーさん、見つめられると目が怖い。

うわぁ…行きたくないなぁ…と言うか、いつもの僕なら多分、逃げている。


しかし、体の方は自然に彼女に近づいてゆく。


「『あの?仲間って…?』」


「『コー君のキスで私たち…【家族】になるのよ?』」


「『!家族に…僕も…僕も、家族にしてくれるの?…うれしい!』」


嬉しくないよ!?

「家族」って響きがこんなに禍々しく感じたのは生まれて初めてだよ!?

だいたい、この野郎からのキッスなんて、断固拒否したい!!


前の世界でも守るつもりは無かったけど、結果的に守り通してしまったこのクチビル…!

やすやす渡してなるものかッ!!!


身体を操られたあげく、ファーストキッスがこんな野郎と…なんて、全僕が泣く。


「さ…おいで、怖くないよ。」


「『あっ…』」


頬に血が集まってくるのが分かった。


何赤くなってるの!?

僕の身体ァ!!


ぎゅっと目を閉じる僕の身体。

おい!?顎くいっとするんじゃねーよ!!


うおおおおおおおお!!

これは異常だ!!

明らかに不可解だッ!!!

断固拒否以外ありえないッッ!!!


僕は、無意識に状態異常の回復魔法を自分自身に対して全力で、

フルパワーで、発動するように念じていた。


魔法はどこからでも発動できる!!!

この際、ワキからでも股間からでも尻からでも鼻からでも良い!!

とりあえず発動しろゴルァ!!!!


カッ!


何処が光ったのか分からなかったけど、瞳が僕の意思で開かれた事によって、一応回復魔法が発動した事がわかった。


だが、その時すでに男の顔が間近に迫る。


「ふんぬぁッ!!」


ゴキャッ!!!


「ぐあッ!!」


僕は、全身のばねと重力を乗せ、思いっきり男の口元めがけて頭突きを喰らわせる。

わずかに額を切ったかもしれないけど、この程度は怪我の内には入らない。


鼻と口元を押さえた男が悶絶する。


…ケッ!当然の報いですよ。

他人の同意も無くキスしようと言うなら、その心、折れるまで頭突きを繰り返してやる、と僕が心に誓っていると、口が勝手に動いた。


「『きゃぁ!お、お兄ちゃ…あっ、ご、ごめんなさい、コリカン様!僕…緊張してッ…!!』」


おーっと?もう状態異常回復の効果が切れたのか?


僕の身体は大慌てで頭突きを喰らわせた男を助け起こす。


「『だ、大丈夫!?コリカン!!【ライブヒール】!!』」


清楚セーラーさんが、大急ぎで回復魔法(?)を唱える。


あれ?僕の回復魔法とちょっと違うぞ?

でも、この清楚セーラーさんも回復系の技能持ちらしい。

彼女の掛け声と共に、手のひらサイズの魔法陣が描き出され、男の口元の傷が消えて行く。


「あ、あいたたたた…い、いや、コリカン様、じゃなくて『お兄ちゃん』で良いよ。」


キスを躱され頭突きを貰っているのだが、懲りた様子無く微笑むハーレム野郎。


「『まァ…ナーノったら、豪快なコねぇ…』」


R指定セクシーさんがあらあら、と言った様子でハーレム野郎に近寄ると、ヤツの唇を細い薬指でスッと撫で上げる。

そして、触れるように己のクチビルを重ね合わせると、いたずらっぽい視線を僕に投げかけて


「『うふふ、…ごちそうさ・ま。』」


と、呟いた。


わ~お、仕草が艶っぽいお姉さんだなァ…

その様子に、僕の身体は、自分の顔の流血量を上げる。


ハーレム野郎の方も突然の口づけに頬を染め、きまり悪そうに自分の耳を弄る。

ただし、その目は明らかに何かしらのご褒美を待っていたようにも見えた。


「『ふふふ…コリカン、嫁はアタシたちだけで満足しろって事じゃないかしら?』」


「『えー!?フルルちゃ~ん、ティキは、家族イッパイの方がうれしい~!ぶーぶー!』」


きゃらきゃらじゃれ合うハイレグエルフさんと属性特盛妖狐ちゃん。

そんな彼女達とハーレム野郎を見つめながら、ラバースーツクールビューティさんがボソリと呟く。


「『…損傷軽微。…自業自得。』」


「あはは、まぁ、大丈夫、これで家族には成れたから。安心して。」


頭突きのダメージから完全回復した男は、ようやくにっこりと微笑むと、僕の頭を撫でた。

……僕の身体が、とても心配そうに…今にも泣きだしそうな感じで男を見つめていたからでしょうね。


「『えっと、あ…お、お兄…ちゃん…あ、りがとう。』」


そう言って微笑みの形に表情筋が動いたのがわかった。


「『うむ、ではおぬしはワシの妹も同然じゃ!

さ、お姉さまが夕餉を食べさせてやるのじゃ。ほれ、あーん、じゃ!』」


「『は、はい!…い、いただきます!』」


いつの間にか、のじゃロリ姫が唐揚げを僕に進めてくるので、僕の身体はそのまま素直にその唐揚げを口にする。


もぐもぐ…うん。

悪くないよ。

唐揚げの味は…まぁ、普通。

あの、コンビニとかで良く売っている揚げ置きのヤツって感じだ。


「『!?お、おいしい…!こんなに美味しいお肉…僕、生まれてはじめて食べました…!』」


かなりオーバーに驚く僕の身体だけど「揚げたて」でもないコンビニレベルの唐揚げに、そこまでの感動は無いよ?


「いや~、この程度…そんなに感動する事かな?」


うん。僕もそう思う。

ぶっちゃけ、味はちょっと濃すぎるし、肉がパサパサしてるし。


すると、ヤツの言葉を遮るように少女たちがここぞとばかりに、ハーレム野郎をフォローする。


「『あらァ…コリカン様からお伝えいただいたこの調理技法は最高よォ?』」


「『そうじゃな。例え、アルストーアの宮廷料理人でもここまでの調理法を習得してはおらぬ。』」


「『そーだよ!ティキも、この異世界風のカラアゲ、だーい好き!』」


「『そ、そうね…ぷりんに関しては、アタシも認めてあげても良いわ…!』」


「『…なぽりたん…超絶美味。』」


その割に褒め言葉が薄っぺらいなー!!

と、思ったら、僕自身もその称賛の輪からは逃れられなかったらしい。


「『えっ!?こ、このお料理…お兄ちゃんが考えたんですか!?』」


カラアゲとハーレム野郎を交互に見ながら驚きの声を上げる僕の身体。


「あー…うん、まぁね。作って貰ったのはミカティアだから、作り方を教えただけだけどね。」


「『ふふっ…これもみんな、コー君のお陰よ。』」


「『お兄ちゃん、凄いです…!』」


自分の身体が言ってるんだけど…何か、うすら寒くなってくるなぁ…


しかし、僕自身が勝手に行動する事を止める事はできない。

勝手に称賛の輪に加わり、進められるままに、ごはんを食べる。


肩のレイニーさんにもステーキの付け合わせに付いていたトウモロコシみたいな豆っぽい穀類を勧める。

レイニーさんも極力不自然ではないように、本物の小鳥のフリをしつつ、ちょいちょいとそれをつついてくれた。


自分が思ってもいない事を自分の口が勝手にしゃべるのって、

すごく…もにゃっとした不快感があるんだけど…

…他の女の子達もみんな内心はこんな感じなのかな?


なんか、レイニーさんが【悲観】とか【憤怒】の状態異常…が表に出ていない、とかって言ってたなー。

この感じがひたすら続くと考えると、そんな心境になるのも分からんでもない。


ふと、微笑む清楚セーラーさんと目が合う。

…この清楚セーラーさんの目…よく見るとめっちゃ怖いのも、この状態のせい…なんだろうなぁ…


「『良かったわね、ナーノちゃん。

これで、貴女にもコー君から新たな【祝福】が付いたと思うんだけど…』」


「『えっ…【祝福】ですか…?』」


へー?そんな事出来るんだ?

でも、何が出来るようになってるんだろう?


「チ、ピピピ…(なるほど、触れるのが発動条件デスね…)」


「『えっ?』」


「『どうしたの?』」


「『い、いえ…あの、この子が…今、しゃべったような…』」


確かに、今、レイニーさんが小鳥のさえずりをしていたにも関わらず、人の言葉が聞こえた。


どうやら、新たな【祝福】に関する疑問については、僕の思考回路と僕の身体の動きに差異が少ないみたいだ。


僕の身体がレイニーさんを肩から、指先へ留まるように誘導すると、レイニーさんは何かわかっているのか、大人しく指先に移動してくれた。


「『ピヨちゃん、もう一回…お話、して?』」


…ピヨちゃんだと?


僕、こっちに来てから操られる前はレイニーさんの事を普通に呼んでいたような気がするんだけど…

何故か、僕の口はそんな事を無視したまま、指先の小鳥に話しかける。


「…チ、チィ、ピルルルル(…あぁ、なるほど…ワタシの言葉が分かるんデスね。)」


「『!!わ、分かります…この子の言いたい事が!』」


「『なるほど、君には【獣使い】の素養があったのだな。

コリカン様のキスでそれが目覚めたんだ。』」


リリィレナさんが、納得した様に頷く。

…あれ?そうだよ、リリィレナさんと二人だけで会話してた時にレイニーさんの事を呼んだのに…

リリィレナさんは、そんな事実、全く無かったような口ぶりだ。


「『へ~?だからぴよちゃんと一緒なの?

いいな~、いいな~、ティキもペット欲しいな~!』」


「『ティ…ティキ殿が…ペット!?』」


それを聞いて、姫騎士然としていたリリィレナさんさんが引き攣った声を上げる。


「『…ティキ、小動物取扱…危険性大。』」


「『あぁん!リルちゃんまでぇぇ~~!ティキだってやればできるもん!ぷーッ!!』」


「『ティキさんは、まずモーニングスターをリリィレナさんにぶつけないようになるのが先ですね。』」


「『くッ…私とした事が…あの程度の攻撃を避けられないとは…!不覚ッ!!』」


…何か、こー言う美少女達のやり取りが2000年代初頭のゆるキャラアニメっぽいんだよねー。

微妙に古臭いんだけど…気のせいかな?


「『ふむ…して、その小鳥は何と言っておるのじゃ?』」


「…ピっ!?(ひっ!?)」


のじゃロリ姫の一言で、急に女性陣から一斉に注目を浴びたレイニーさんは、相当驚いたらしく、指先で飛びあがる。

複数の瞳がじっとレイニーさんを見つめた。


「……!?」


レイニーさんの動き…明らかに挙動不審だ。

わたわたと落ち着かない様子で、ちょこちょこ指の上で右往左往。

そして怯えたように僕に向かって一声鳴いた。


「…ピピィ!(ね、眠いデス!)」


おぉい、レイニーさん!?


満を持して言うセリフがそれかい!?

さっき、何か、重要そうな事を言ってなかった!?


「『あ、あの、ピヨちゃんはもう眠いって…』」


僕の身体がその言葉を読み取って美少女達に伝える。

すると、ほっこりした和みを模したような空気が流れた。


あ…そーか。

僕は今、自由意志で発言が出来ないから…下手に情報を貰う訳にもいかなかったのか…

レイニーさん、ナイス…!


「ははは…そっか。そりゃ、もう夜だもんな~。よし、皆、ごはん食べ終わったら今日は休むか?」


「『ちょっと、ごはんの次は皆でお風呂でしょ!?アンタ、本当にだらしないんだから!』」


「『…補給完了。…入浴移行。』」


「『おふろ…?』」


「『そうか、ナーノ。おぬしは知らぬか。ふふふ、ワシの屋敷の風呂は素晴らしいぞ?

フォルスの温泉は世界一じゃ!』」


どうやら、この後「皆でお風呂」と言う強制イベントが発動したらしい。

おお、温泉!

しかも、美少女達と一緒!?


え??

それって良いの!?


僕の心の中のおっさんな部分が、美少女とのお風呂と言う単語にテンションをあげ、

僕の心の中のオバタリアンな部分がこんな野郎と一緒かよ、とテンションを下げる。

そして、僕の冷静な部分が、自分の意志で身体が動かないのに、全裸になる事に不安感を訴える。


僕の頭の中も大忙しだな。


「『入浴の前におぬしの部屋を教えておこう。ナーノ、こっちじゃ!』」


「『は、はい!』」


のじゃロリ姫に促され、僕らは部屋から先に退席する。


「『ワシらは先に行くぞ?コリカン。』」


「わかったよ、ラフィーラ、ナーノ、後でね。」


その声の向こうでは、今夜、これからあの男と誰がよろしくしようか、女の子達の密かな

…だが、ガチというより微笑ましい感じのバトルが、繰り広げられている。


そんな彼女たちの言葉を後ろで聞きながら、僕とレイニーさんは、のじゃロリ姫の後を追った。



楽し気に廊下を歩く少女。

身分が高い女性らしく、一応、先導に2名のメイドさんが光る杖の様な物を掲げている。


廊下にも、同様の光のたいまつのようなものが一定間隔で設置されてはいるのだが、現代の感覚からすると、大分暗い。


メイドさん達は一言も発することなく、しずしずと己の業務を果たしている。


まるで、ロボットのようだ。

それよりも…目の前を歩く少女である。

僕が普通の状態なら、この子にその服…冷えないか尋ねるのに…!


「『あの…ラフィーラ姫…?』」


「『ワシの事はお姉さまと呼ぶのじゃ。』」


「『えっと、ラフィーラお姉さま…ですか?』」


「『うむ!それでよいのじゃ!』」


そう言うと、またずんずんと進み始める、ラフィーラ姫。


「『あの…そのお洋服…』」


お?自由が利かないとはいえ、一応、それなりに僕の意思を反映した事を喋れるのか?

新たな祝福内容を知ろうとした時のように、たまには僕の思考回路と身体の動きが重なる時は有るみたいだし。


「『うむ、可愛いであろう?』」


寒くないの?


「『はい、とてもお似合いです。』」


…いや、今回はダメっぽいな。


「『これはのぅ、コリカンのヤツが、でざいん、とやらをしてくれたのだ、全く妙な才を持った男じゃ。』」


あの男の趣味かよ!?


「『お兄ちゃんの…でざいん?』」


「『そうじゃ。あ奴が作ったと言っても良いかもしれんな。

…なんじゃ?おぬしもコリカンに惚れたか?』」


「『…いえ、そんな…僕なんかが…』」


「『そのように赤く茹で上がっておっては答えなぞ聞かぬとも分かると言うものじゃ。

ま、ワシは心の広い女じゃ。

良い男には女が群がるのは当然。

妾なぞ、何人おっても問題にせぬわ。』」


中々、剛毅な事を言うお嬢ちゃんだが、これが操られて「言わされている」と考えると、闇が深いなァ…


つまり、アレじゃろ?

嫁さんはいっぱい欲しいけど、女の子同士でガチで喧嘩とか嫉妬とか新しい女の加入妨害をされると対処に困るから、そう言う事はするなって事だろ?


「『さ、ここじゃ』」


そんな話をしていると、部屋に付いたのか、メイドさんが扉を開いてくれる。

そして、部屋のたいまつに灯りをともして行く。


室内はヨーロッパのお城風のかなりしゃれた部屋だ。


壁の一角には、ウロコ型に加工されたようなガラス(?)の窓がはまっている。

そして、目を少し横にずらせば…おお、天蓋付きベッド!?

しかも大理石製!?


…ね、寝心地は微妙かもしれないけど…見た目はガチでお姫様のお部屋じゃん。


家具や調度品などは最低限…なので、生活感こそ無いものの相当にハイクラスな部屋だ。


さらに、後ろから来たメイドさんが大きくオシャレな鳥かごを部屋に運び入れてくれた。


これ、リアルな鳥かごと言うより、花屋さんとかおしゃれ雑貨のお店に置かれているような感じの

飼育のしやすさではなく、見た目だけを重視した代物だ。


「『えっ…あの、こんなに立派なお部屋…僕なんかには申し訳ないです!』」


「『何を言う。コリカンと【家族】となった今、おぬしはワシの妹も同然。

この程度の部屋はあり余っておるぞ?気にするでない。』」


「『…ラフィーラ様…あ、えーとラフィーラお姉さま…ありがとうございます!』」


「『さて、ワシらは風呂にでも行くか。…その、小鳥はどうする?』」


「『ピヨちゃん…お風呂、一緒に行く?』」


「…ピピピィ(やめてくだサイ…)」


何か、レイニーさんがげっそりした感じで、ぱたた、と僕の肩から、部屋に置かれた鳥かごの上に移動する。


まぁ、新婚の成人男性に他の野郎のハーレム風呂に混ざれって言うのも酷な話だろう。


そんな事言ったら、僕だってどちらかと言うと行きたくは、ない。

美少女と一緒にお風呂と言う誘惑より、あの野郎と一緒と言う忌避感の方が上回る。


そうだ!


一瞬だけでも自分に回復魔法をかければ、自由に喋れるから…入浴を断るくらいは出来るかも…


あ、でも頭の上に魔法が出られても自分にはかからないから、どっちかと言うと下半身に集中した方が良いかな?


そうすれば、勝手に僕の身体に回復魔法が触れるだろうし…


状態異常回復!

…でろ、でろ、出ろ~~!!

むぎぎぎぎぎぎ…


「フンっ!!」


おっ!?

尻が光った!?


…あ、マジで魔法は尻からも出るわ…

だがこれ、見た目的には発光するおならじゃね?


光る屁をこく少女かぁ…


だが、最高峰の美少女フェイスを誇るこのボディなら、きっとシリアスムードをぶち壊さずカバーしてくれているはずだ…!


……カバーしきれてるかなぁ?


でも、他にいい方法も思い浮かばないし、折角出たし

…蛍だって尻が光るんだから、ま、大丈夫でしょう!

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