第6話 遺跡都市ダリス

おはようございます。異世界2日目です。

いやー、昨日はやっぱり異世界初日と言う事もあって疲れていたのかなぁ?

あの後、ぐっすりでしたよ。


「おはようございます〜。」


空は青々…というより、朝焼けに近いが、すでに太陽は山の縁から顔をだしており、非常にいい天気で気持ちがいい。


あ、今日の空の模様は市松模様なんですね。

…これ、日によって柄が違うのかな…?


ピルルル…チチチチ…と言う鳥の歌声に混じって、ギャースギャースと言うような明らかに異世界情緒を醸し出している鳴き声が遠くから響いている。


ちなみに、僕の身体、お日様が顔を出すと男に戻るみたいで、夜の女の子のリラックスモードと比べると、シャキっとして行動的になった気がする。


見た目はそれほど変化無いみたいだけど、多分ジャンプ力とか、パワーとか、その辺も僅かに上がってるんじゃないかな?


最初は性別変わるって聞いて、マジかよ!?と思ったし、

ホルモンバランスが崩れて頭痛とかイライラとか更年期障害的な不調があるのか!?と

少し心配していたんだけど、そのへんは、全然ない。


いや、むしろ10代の若い身体…超快調です。

一晩眠るとめっちゃ疲れが取れてて…スゲェ!と思いましたよ。


と、言うか…これは自分でもびっくりなんだけど、別に自分の身体が女の子になっても特段嫌じゃないんだよね。


僕は、可愛い女の子とかつい目で追っちゃうし、自分のメンタルは割とおっさんだと思ってたんだけど…

もしかすると、案外女性っぽい一面もあったのかな?


まぁ…女の人もオバタリアンを極めるとおっちゃんと区別付かなくなってくるもんな…

僕もおっさんを極めてオバタリアンの境地に達したのだろうか…?


そう考えると微妙だけど、この身体である事…性別が昼夜で逆転する…に対して、心の違和感とか不快感とか葛藤とか…そう言うものがありがたい事に全く無い。


これについては、もう「こういう不思議な生態の種族」として受け入れるべきな気もする。

そんなことを考えつつハンモックから起きだすと、すでにオズヌさんが朝ごはんを作り終わっていた。


メニューは昨日とほぼ同じギィラピ汁。


「おう、起きたか。これ食ったら出るぞ。」


「はーい、ありがとうございます。それでは、いただきます。あ、今回は塩味だ。」


塩味もあっさりしていて美味しいけど、個人的には味噌味の方が好きだな。

こちらのほうが素材の味が引き立つ分、逆を言えば肉の臭み…までは行かないけど、独特の風味が鼻に残る。


「オミーソは入れないんですか?」


「おいおい、オミーソは高級食材なんだぞ?」


「えっ?そうなんですか?」


「あれは、お宝を見つけた日や特に疲れた日に食べるとっておきなんだ。魔力回復効果も高いし、東方国家からの交易品だしな。」


そっか、この近くの品じゃないんだ…ちょっと残念。

よし、東方国家…今後行ってみたい国にピックアップしておこう。

そんな会話を交わしつつ、食事を終えると僕たちは町に向かって出発した。



「ひわぁぁぁぁぁぁっ!」


「どうぉおおおおおおっ!?」


「…おふっ、…おふっ、…おふッ!」


「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」


「…ナガノ…お前さん、もう少しおとなしく乗っていられないのか?」


ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ…


「ず…ずびばぜん…でも…あの、せめて、ジャンプする時に…一言…」


「わかった、わかった。飛ぶ時な。」


そ、想定外…ッ!!

想定外ですよオズヌさん!!!


まともな靴のない僕は今、オズヌさんの背中の上にちょこん、と乗せてもらって移動しているんだけど…

まさか…キーウィがこんなに…こんなにアグレッシブに動き回るとは誰が想像ついたであろうか!?


いや、地球のキーウィとは全然別だってわかってるんだけど…

飛ぶわ、跳ねるわ、飛び降りるわ、走るわ…


背中に時空袋と水用時空袋、そして僕という子供サイズの人間一人を括り付けて、5メートルの崖を躊躇無く飛び降りやがるんですよ!?この男!


着地の衝撃で振り落とされ死ぬかと思ったわ!!

でも、着地寸前には何か魔法陣っぽいものが出てふわっと胃袋がひっくり返るような浮遊感を味わうハメに。


先に教えて!?


それ、すっごく酔うやつだから、せめて先に教えてくれないかな!?


そして走る速度は時速ン十キロ超え。

バイクにでも乗った事が有ればよかったかもしれないけど、残念ながら18歳で自動車免許をとってからは車一辺倒だったので、あんな強風に全身なぶられたのは初体験です。


座っていた、というより、風と荷物に挟まれて身動き取れなくなっていた…が正しい表現だったと思う。

あんなの、目だってまともに開いていられないですよ。


そのうえ、命綱はカバンとオズヌさんの胴体に括り付けられた縄1本…

外の景色を味わう余裕なんてさらさら無いでゲヴォアー…


「…おい、吐くなら羽にかけるなよ。」


そして、昨日から着用しているこのポンチョ…布がごわごわちくちくしていて、ケツの下が擦れて痛い。

このままではケツが6つに割れてしまう…!!


うぅ…異世界に来てから僕の下半身は危機にさらされてばっかりだ。


もうね、ゲキダサの木綿パンツでも文句言わない…!

だって、馬や四足動物と違って、オズヌさんの背中ってまるくてもふもふだから、足をかなり広げて座らないと安定感が無いんですよね。


昼間は男でホント良かっ…おっうぷ。


…だからジャンプは事前に一言ぉぉぉぉ!!


「うぼぁぁぁぁ…」


「あ、ワリぃ、飛んだぞ。」


過去形なんて嫌いだぁぁぁ!





「おし、何とか昼前には着いたな。」


「ヴェ~~ィ」


「…おい、大丈夫か?」


「ヴェ~ィィ…」


「一応、レイニーのところに行くか。…登録が終わるまではきちんとフード被っとけよ?」


「ヴェェ~~ィ…」


あー…空が青いなぁ…市松模様が目に染みるぜ…

ようやく到着した町…

アルティスには複数有る『冒険者の町』のなかでも、周りに遺跡等が多いことで有名な町『ダリス』。


オズヌさんが拠点にしているのもこの街らしい。

いつの間にか道が『岩場上等・小川の上を丸太が転がっていれば十分橋だよね』と言わんばかりの「獣道」から、舗装こそされていないものの『まぁ、よく整備された林道ですこと、をほほ』と認識できる程度に変わっている。


上下動が減るだけでもかなり乗りやすいっス…。

そして、空が目に染みるように、辺りの風景も一変。


大木が生い茂る森を抜けると、いつの間にやら牧草地帯・畑地帯が広がっており、点々と民家らしき丸いパオみたいな建物が目に入ってくる。


畑では農作業に精を出す人が居たり、のんびりと牛…とは違うな。

…だって、角が頭の横じゃなくてサイみたいに縦に生えていて…頭の上からフィギアスケートの刃が生えてるみたいに見えるんだもん。


そんな草食の動物を放牧している人が居たりしている。

この辺りは『のどか』が具現化してごろ寝してるみたいな風景だ。


続く道の先には堀と石造りの城壁みたいなものが飛び込んでくる。

なお、堀は先の川につながっているらしく、これが水運の機能も果たしているんだろうな~、と

浮かぶ船を見てなんとなくそう思う。


ちょっと驚きなのは、船を漕いでいる人がカエルっぽい事と都市部みたいな雰囲気が出てきているにもかかわらず、堀の水がめちゃくちゃキレイな事だ。


堀を越える橋には、町に入るために多くの人が行き交っている。

木造の橋は大型車でも通れるくらいに広い。


一応、橋の向こう側に兵士っぽい格好の人たちが3,4人居るけど、簡単な木の椅子に座って仲間内でカードゲームをしていたり、通行人と明るく世間話に花を咲かせていたり…実に平和だ。


そんな中に軽自動車サイズのキーウィなんて実に目立つ…かと思いきや、

兵士さんの一人は防具を纏ったでかいカモノハシそっくりの人だったり、

カードゲームに熱を上げてる人の中に、腕が6本で額から角を生やし、どう見ても鬼みたいな人が混ざっていたり、

下半身が乗用車くらいの大きさのある蜘蛛で上半身が美少女の人を口説く背の高い青い肌の青年がいたり…


もちろん、普通の人間…と、言っていいのか…地球で見かけるようなタイプの人間の方が数は多いんだけど、割合でいうと、三分の一くらいは、いわゆる「亜人」みたいだ。


「あれっ?…もしかして兄貴?」


「よぅ、リーリス!」


お?オズヌさんのお知り合いなのかな?


「いつの間にその姿に戻れるようになったんスか?」


出入り口の門を警備していた兵士さんの一人が声をかけてきた。

ちょっとタレ目で耳がエルフみたいに尖っている茶髪のお兄さんだ。

社交的なタイプなのか、オズヌさんに声を掛ける前は別の男性と楽しげに会話をしていた人だ。


そして、流石のエルフ属性。

ちょっと無精髭とか、雑に後ろで括った長い髪とか、だらしない感じはあるものの、それが逆にちょっとワイルド感を演出しているように見える結構なイケメンさんだ。


人懐こそうにニコニコしているせいか、妙に憎めない。

わんこ属性ってこういう人の事を言うんだろうな。


「あぁ、ちょっと今回…イイモンを見つけてな。」


「へー、ハイ・ポーションでも見つけたんスか?

売れるようなら、レイニーの坊やが絶対欲しがると思うっスよ。」


「ああ。もちろん、これから顔を出すさ。

…お前の傷も治せれば良いんだが…」


へっ?キズ?

ぱっと見た感じでは怪我は無さそうなんだけど…?


「にゃははっ、オレのは古傷っスから…どうっスかねぇ?」


エルフ兵士のお兄さんはそう言いながら左手で右腕を撫でる。

よく見ると…右半身、特に腕にちょっと違和感がある…のか?

だが、本人はあっけらかんとしており、たいして痛み等は感じていないご様子。


「ま、今は仕事中なんでダメっスけど…久しぶりに飲みましょうよ!

夜はいつもの酒場っスか?」


「そうだな。…そこか…いや、多分レイニーの所だ。」


「了解っス…しっかし、兄貴もホントに子供好きっスね…」


そう言うと、エルフ兵士のお兄さんは、オズヌさんと僕を交互に見比べて苦笑する。

「コレで何人目だっけ?」と呟いている辺り、どうやらオズヌさんが僕みたいな子供を連れて来るのは珍しいことでは無いみたいだ。

無言でオズヌさんのクチバシで頭を突かれ「へへへ…」と苦笑している。


「ところで…ガルダス達はどうしたっスか?」


「…あぁ、アイツ等裏切りやがった…」


「えっ!?」


「罠にかかって死んだよ。」


「あー…そいつは自業自得っスね。」


肩をすくめるエルフ兵士さん。

ガルダスさんと言うのは、多分あのモザイク三人衆の内の一人だろう。


「…じゃ、またな。」


「了解っス!」


そう言いつつ、エルフ兵士さんのところを後にする。

なお、エルフ兵士さんは、その後すぐに別の黒い肌の猫耳女性に声をかけ楽しげに会話を交わしていた。

本当にコミュ力高いなぁ…。




エルフ兵士さんと別れ、僕達は先に進む。


城壁の中はレンガ造り建物が立ち並び、確かに中世ヨーロッパ風の雰囲気を醸し出している。

とは言え、窓にはガラスが無く、木の板を押し上げたりする形が主流なのか…風通しが凄く良さそうだ。


また、やはり亜人が多いせいなのか…所々、妙に縮尺がおかしい…と言うか、

普通の1,5倍くらいの大きさの(扉や窓も含めてデカイ)建物があったり、

逆に子供専用?と思えるような小さな扉が立ち並ぶ一角があったり(もちろん、家そのものも小さい)と

サイズ感にかなりバリエーションがある。


これは、元の世界には無い特徴だ。


今はちょうど昼時のためか、ちょっとした広場には屋台のような簡易食事スペースが展開され、裕福そうな町人や冒険者っぽい人たちが料理に舌鼓を打っている。


その奥には噴水…と言うか、人工の滝みたいな施設?が滔々ときれいな水を流しているのでかなり灌漑技術等の文化力も高そうだ。


…うん、ここなら…おパンツ様が売っていそう…!


その賑やかな一角を通り過ぎ、ちょっと町の外れ…

表の商店街からは少し奥に入っているので、周りには普通の民家が多いが、ちらほらと食堂っぽいお店が軒を連ねていたりする一角。

城壁の割とすぐ近くにある一軒の扉の前でオズヌさんは停止した。


建物の奥は庭なのか、割と大きめな木が家の後ろに立っている。

扉の前にも複数の鉢植えが並び…日本の街角で見かけたら、おしゃれな花屋さんにも見える外観だ。


「よし、着いたぞ。」


看板にはローマ字とキリル文字を足して割ったような見慣れない文字が並ぶ。

その横に何故か漢字で『薬屋・鑑定屋』と書かれている。


…な、何で日本語?


えーと、女神のお姉さんが言っていたおまけの『自動通訳』って文字にも及ぶの?

それだとすると、嬉しい誤算だ。


オズヌさんは人型に戻ると、手慣た様子で扉をくぐる。


「レイニー!居るか。」


「……はーい!」


扉の向こうは、カウンターになっていて…荷物を置くスペースが広がっており、

カウンターの奥の方には薬棚と思しき棚と何やら不思議な壺が大量に保管されている。


声はその更に奥から響いている。

…と、ぱたぱた、と小走りに走ってくる音が聞こえてきた。


「いらっしゃいマセ~、鑑定にしマスか?お薬にしマスか~?」


奥から出てきたのは年の頃なら20歳くらいの…白衣のようなマントを付け、メガネをかけた割と小柄な青年だった。


おお…メガネが存在している文化圏…!


オズヌさんが野性的なイケメンだとすると、こちらの方は、イケメンなんだけど、声がもう少し高かったら女性に見えるくらい中性的な容姿をしている。

柔和そうな表情と透き通るようなヒスイ色の瞳が眼鏡の奥で輝いている。


こいつぁ、バラエティー番組で女装写真を撮ったら下手な女優さんより奇麗でビックリされるアイドルタイプだ。


服装は研究者なんだけど、研究者にありがちな外見の無頓着さとは無縁。

この清潔感はやはり客商売の為せる技なのか。


『清潔感のあるイケメン』とか…すでにそれだけで人生の勝者ですよ。


見た目はさっきのエルフ兵士さんより普通の人間寄りなんだけど…エルフより線が細く感じる…。

発音が少し異国情緒を思わせるところもあり、もしかするとこの人も「亜人」なのかもしれない。


…モフキウイ族のオズヌさんの息子だか弟みたいな人だもんな…


「…おや?…オズヌさんのご親戚さんデスか?」


レイニーさんはオズヌさんの顔をまじまじと見つめて首をかしげる。


「何言ってるんだ?俺がオズヌだぞ?」


「えええええええッ!?」


「今日は鑑定してもらいたい物が多いから…って、何をそんなに驚いてるんだよ?」


驚きすぎてずり落ちたメガネを直してオズヌさんの全身を舐めるように見まわすレイニーさん。


「ほ、ホントにオズヌさんデスか?【鑑定】しても構わないデスか?」


「本当も何も、この辺りでモフキウイ族のモフゾウ:オズヌと言えば俺だけだろ?」


「ホントだ…【鑑定】してもオズヌさんデス…

何で、若返っているんデスかッ!?」


だん!


「…はぁ?」


両手をカウンターに叩きつけるようにして身を乗り出すレイニーさん。

あ、やっぱり…そうだよね?

回復魔法をかける前のオズヌさんはもっと『おっさん』って感じだった気がするもん。


「肌のハリとか全然ちがいマスよ!?今のオズヌさん、ワタシと同じくらいの年に見えマスよ!!」


「ははははは。俺の息子みたいな年の坊主が何を言ってやがる。」


あ、この男、信じてない。そう言えば、オズヌさんって何歳なんだろう?。


「本当デスよ!!そんなに若返っていれば体の不調も無いんじゃないデスか!?」


「あぁ、変身もできるようになったしな。」


「ちょ!?それ、詳しく!!どうして!?あの傷が直ったんデスか??あの傷はハイ・ポーションの中でも特に高品質でないと治るようなモノではないデスよ!?」


「まぁ詳しくは後で話すが、今回は鑑定してもらいたいお宝が多いんだ。…その後でコイツの住民登録と冒険者登録を済ませたい。」


オズヌさんはぐりぐりと、フードの上から僕の頭を撫でる。


「ちょ、痛い!痛いです!」


このフード、ゴワゴワだから、上から撫でられると頭皮にまでダメージが!!将来ハゲたらどうしてくれる!?


「おや?その子は…?」


「あ、はじめまして。マリクル族のナカジマ・ナガノです。」


オズヌさんが手をどかしたスキにさっさとフードを脱ぐ。ま、ココなら良いでしょう。


「…っ!?」


レイニーさんが唖然とした様子で僕を見つめる。

その色を無くした驚き方から、多分、ギャグ漫画だったら、感情表現としてメガネがパァンと割れてるんだろうな…と、妙にリアルに想像できてしまった。


ぎぎぎぎぎ…と、音がしそうな様子で顔を僕からオズヌさんに向けるレイニーさん。


「……オズヌ…さん?…まさか…?」


「おい、妙な事考えるなよ?俺が子供に手出しする訳無いだろ。」


「もちろん、それはワタシが一番よく知ってマスよ!ワタシがオズヌさんに助けてもらったのもこの子くらいの時でしたし…」


へー、この二人、そんな関係だったんだ。

あ、そう言えばあの門番のエルフさんも『レイニーの坊や』って呼んでたっけ。


「…デモ、流石に50過ぎの独身男が…」


オズヌさん、あんた50歳過ぎてたの!?


「性奴隷の首輪をしたマリクル族を連れている姿を見たら…普通、そっちの趣味だと取りマスよ!?」


えっ!?あ、この首についてたヤツ、よりにもよって性奴隷の首輪!?


「いや、これは元々つけてて…ああ、そうだ…レイニー、お前なら外せないか?この首輪。」


「…ちょっと待ってくだサイ…」


レイニーさんはカウンターの向こうから僕の直ぐ側まで来て何やら首輪をまじまじと見つめる。


「大丈夫デスね。【鑑定】したら、すでに主の登録は抹消されてマス。

外せマスけど、このまま壊してしまって良いデスか?」


「ああ。」


「お願いします!」


速攻ぶち壊してやってください。


「では…」


ごそごそと隣の棚からやたらデカイ枝切り鋏のような器具を持ち出すレイニーさん。

壊すのは魔法じゃなくて物理!?


「痛くないデスよ、動かないでくだサイね。」


確かに痛みは無いけど頸動脈付近で刃物が動くの怖ぇよ!!

しかし、的確なレイニーさんのハサミ捌きで、ばつん、ばつん、と大きな音が響き、僕の首に巻き付いていた縁起でもない首輪はその姿を失ったのだった。


ふぅ。やれやれ。


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