甦れ風林火山!冷泉堂大学剣道部改め剣道サークル

Karasumaru

アメリカ人の友人がサムライになりたいと言い出しました。

第0話 風林火山

僕は見渡す限りの大草原にポツンと佇んでいた。


初めて来た場所にもかかわらず、なぜか懐かしさを感じる。


そのとき、興奮と恐怖が同時に身体中を駆け巡った。


僕はただならぬ気配を感じ、周りを見渡した。

僕は一人ではなかった。


僕の左右には数百、いや数千もの騎馬兵が並んでいた。兵は赤い甲冑を身にまとっている。その顔は自信に満ちあふれていた。

僕も馬にまたがっていた。そして、なぜか右手には真剣が握られている。

右腕で真剣の重みを実感し、文字通り武者震いした。


騎馬兵の後方には、同じく赤甲冑の歩兵が控えている。歩兵が掲げる大きな軍旗に記力強く記されていた文字は「風林火山」。


すると、栗毛の立派な体躯を誇る軍馬にまたがった男が現れ、野原に轟く大声で兵たちに呼び掛けた。

「皆の衆、久しぶりじゃのう!今日は、この武田信玄の願いをきいてもらいたい」

そう言うと、武田信玄と名乗った男は、僕の肩に腕を回し、

「ここにおる、出来損ないはわしの遠い子孫でな、おぬしらの力を貸してもらいたいのじゃ」

と再び大声を上げる。すると、赤い軍勢から割れんばかりの太い歓声が大地に響いたのであった。




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