第25話 地球の女神モスティレア
「まぁよい。
ヴィアンテ様の怒りのボルテージがようやく落ち着き、そのままの流れで俺の部屋で作戦会議のような状況となった。
ラマニアは元々俺の部屋に夕食の時間である事を知らせに来ていたのだが、ヴィアンテ様の興奮が一段落するまでの間に一旦食堂へ行き、食事を俺の部屋まで運んでくれていた。
ヴィアンテ様も「食べながらでよい」と言ってくれたので、お言葉に甘えて食事を摂りながらの作戦会議となった。
「さて。思い出しても忌々しい、地球の女神との交信であったが、ひとつ収穫もあった」
「収穫……でございますか?」
「うむ。問題となっている、勇者が見つからん原因についてだ」
「原因がわかったんですか!?」
「まだ確証は無いがな。おそらくモスティレアが言っていた事があながち間違いでは無いのだと思う」
「モスティレア様が言っていた事?」
「あやつの世界、つまり地球が私を拒絶しておるのだ」
「ええっ!?」
「って事は、原因は俺の世界の女神様の嫌がらせって事ですか?」
「いや、モスティレア自身にその自覚は無い。さすがに女神という立場上、本気で他世界の滅亡に関わる事はできぬ。だが、女神の管理する世界は、その世界を
「ええっと、つまり?」
「ひらたく言えば、お前の世界はモスティレアの性格、嗜好の影響を受けているという事だ。モスティレアが嫌う私の力を地球側が無意識の防衛本能で排除している……と言ったところか」
「そ、そんな……」
まさか俺の故郷である地球そのものが妨害していたって言うのか。
別に俺に責任があるわけじゃないのはわかってるんだけど、どうしようもない罪悪感のような感情が沸き上がってくる。
「そんな顔をするな、リンよ」
俺の気持ちを即座に読み取ったのか、ヴィアンテ様は優しく微笑みかけてくれた。
「原因は絞り込めたのだ。ならば対策が無いわけでは無い」
「ほ、本当ですか!?」
「うむ。要するに地球側の防衛本能で私の探知能力が妨害されておるだけなのだ。ならば少々面倒ではあるが、私が直接地球へ行って勇者を探してくる」
「ええっ!?」
「くっくっく………、なぁに、勇者の素質のある者を見つけたら自由に
「拉致って……」
ヴィアンテ様がまるで悪役のような笑みを浮かべて言う。
でも本人の言う通り、自分の世界の滅亡がかかっていたら仕方ないのかもしれない。
「さて、方針が決まったなら、まずはやれる事からやっておくとしよう。私は準備が出来しだい地球へ行くが、お主らにはエルフの聖地へ行ってもらうとしよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます