第17話 第三の『炎』は片道三時間
ヴィアンテ様とカフェを出て、王城へ戻る頃には空が紅く染まる夕暮れ時だった。
城に入るとすぐにラマニアが慌てた様子で俺の所へ駆け寄ってきた。
「リン様!お待ちしておりました!!」
「どうしたの?そんな慌てて……まさか!?」
「はい、『炎』の気配です!!」
ラマニアに言われ、急いでスペルマップを出すが、どこにも『炎』の痕跡は見当たらない。
「だいぶ遠く……もっと北の方角です」
スペルマップをもっと広域にし、北の方角を探る。
するとラマニアの言う通り、かなり北の地域に『炎』の痕跡を発見した。
「この地域は……ブルウッド領ですね」
「うわぁ、パッと見でもかなり遠そうだね。ここまで行くのにどのくらいかかる?」
「そうですね……高速鉄道で約四時間、航空機なら二時間といったところでしょうか」
「航空機?この世界には飛行機まであるのか」
「はい。ですが、ここから最寄りの空港まで行き、搭乗手続きをする時間も含めると、三時間くらいはかかるかもしれません」
「それでも仕方ない、できるだけ早く到着できる手段で急いで向かおう!」
「はいっ!!」
ラマニアは既に執事に車を用意させていたようで、俺達は急いで車に乗り込み空港を目指した。
それから三十分ほどで空港に到着し、そして王室専用の航空機に乗り換えた。
とにかく一刻も早く現場に到着したいが、一度機内に入ってしまえば後はもう何もできる事は無い。
俺達は焦る気持ちを落ち着け、シートに座って窓からサンブルク王国の夜景を眺める事しかできなかった。
すると、飛行機が安定高度に到達した頃、ヴィアンテ様が姿を現した。
「さて、リン、ヴィアンテ。『炎』の所へ到着するのはまだ二時間ほどかかるのであろう?ならば、今のうちに言っておきたい事がある」
「なんですか?」
「今回の『炎』の規模はわからぬが、今から二時間後となると、『炎』がだいぶ大きくなっている事も考えられる。となると、相当な熱量である可能性も覚悟しておかねばならん」
「それって、なかなか『炎』が消えないって事ですか?」
「うむ、それもあるし、何よりもっと直接的にお主ら二人の身が危険かもしれんという話だ」
ヴィアンテ様の話では、『炎』の威力があまりにも増している場合、ラマニアが『
そしてその
それらの可能性を考慮し、ヴィアンテ様は俺達に作戦を伝授してくれた。
それでも気休め程度かもしれないとのことだったが、何も対策しないよりはマシなはずだ。
あとはぶっつけ本番と覚悟を決め、到着までの機内の残りの時間は気合いを高めるのに使うのだった。
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