第15話 女神様のチュートリアルその②

 ヴィアンテ様は「コホン」と一つ咳払いをすると、学校の先生のような調子で説明を始めた。



「まず、今のラマニアの状態について説明しよう。この状態は『聖天昇せいてんしょう』、この世界の言葉では『聖天昇イーク』とも言う。お主の世界で例えるならば………スポーツ選手が肉体を限界まで鍛えた後の状態に近い」


「練習後の、筋肉疲労みたいな事ですか?」


「左様。この『聖天昇イーク』をるごとに、門の乙女おとめは強くなってゆくのだ」


「そ、そうだったのか!」


「それはラマニアだけでは無いぞ。お主、鎮火の勇者も同様だ。門の乙女おとめとの挿入を繰り返すたび、その『聖塔ミティック』は強く、太く、硬く、たくましく成長してゆく。先ほども見たであろう?あの濃くてドロッとした濃厚な聖力せいりょくを。ちなみにあの聖力せいりょくの事を正しくは『鎮聖滓ザメイン』という。初めての時とは比較にならんほどの『鎮聖滓ザメイン』だったぞ」



 そこは俺も思っていた。


 あんなにたくさん出た事もそうだが、そのわりに俺は意識を失うまではならなかった。



「お主の場合はさっきので三回目の『聖天昇イーク』だったからな、それなりに強くなってきておるのだ。対してラマニアは実質これが初めての『聖天昇イーク』だったのだ」



 そうか、今の俺とラマニアの違いはその差だったのか。



「今回のような、勇者の塔と聖女の門のまじわりの事を聖交渉せいこうしょう、『聖交渉セクルス』と呼び、それを訓練として行うのが『御鎮法おちんぽう』なのだ」


「なるほど。一つ質問なんですけど、さっきの『聖交渉セクルス』の時、激しく『聖塔ミティック』を『聖門ミリオルド』の穴に出し入れしてましたよね?あれはどんな意味が?」


「うむ、良い質問だ。あの激しいピストン運動こそ、『聖塔ミティック』の射聖力しゃせいりょくを何倍にも高めるのだ」


「そ、そんな効果が………」


「そして門の乙女おとめを『聖天昇イーク』へと導く効果もある………。ここまで言えばもうわかるな?」



 一瞬、頭の中に「?」マークが浮かんだが、すぐに理解できた。



「そうか!門内なかで俺だけが聖天昇イッて『鎮聖滓ザメイン』を射聖しゃせいしても、俺だけしか強くなれない!だけどラマニアも聖天昇イかせる事ができれば、二人とも強くなれる!!」


「その通り。鎮火の勇者と門の乙女おとめが二人で一緒に聖天昇イーク。それこそが理想的な正しい『聖交渉セクルス』なのだ!」



 今まで俺は『聖塔ミティック』の挿入をただの鎮火行為のための手段としか思っていなかった。


 けど、その裏にはそんな深い意味があったのか。


 今の話を聞き、ようやく俺はこの世界でやるべき事を正しく理解できたと思う。


 そう、言うなればこれは『経験値稼レベルアップぎ』だ。


 よくある異世界モノの話の場合は、RPGゲームのように魔物モンスターを倒して経験値を稼ぎ、レベルを上げる。


 対してこの世界では、鎮火の勇者である俺が、門の乙女おとめであるラマニアと鎮火活動ちんかつをはじめとする『聖交渉セクルス』を繰り返し、お互いに聖天昇イークする事でレベルアップしていくというわけだ。


 この世界へ召喚されて約四日、俺は自分のすべき事をしっかりと認識し、改めて決意を胸に刻みつけるのだった。

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