　そのWEB小説を読んだ瞬間、椎葉流紀は笑ってしまった。

　家出少女な転校生/シロン

「家族の暖かさを知らない一人の少女と、とある少年の愛の形」という美しいキャッチコピーが気になり、読んでみた物語は、流紀にとって自然と共感できるものだった。

　主人公は読書好きな男子学生。学校の屋上で一人静かに本を読むタイプ。ヒロインは、転校生で名前を椎葉心愛という。作中で主人公は彼女のことを椎葉と呼ぶ。中盤から椎葉という文字が多くなり、読めば読むほど、

　自分のことを言っているのではないかと錯覚してしまう。もちろん、ここでいう椎葉は椎葉心愛のことであることは分かっているのだが……

　さて、この物語は、学校の屋上で本を読んでいる主人公に、転校生の椎葉心愛になにかを頼むところから始まるのだが、まだ第一話しか投稿されていない。いいところで邪魔が入るというラブコメストッパーの登場で、何を頼もうとしているのか、流紀には分からなかった。

　主人公の隣に座ろうとする彼女の姿に、自分を重ねて赤面した流紀は、第二話以降の展開に期待しようと思った。

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