私的 ベスト・ワースト病院食

 私的 ベスト・ワースト病院食!(拍手)


 入院生活での最大の楽しみは、何と言っても三度の食事!

 ということで、思い出のベスト・ワースト入院食の発表です。

 ステロイドの副作用により血糖値が上がっており、私の病院食は糖尿病患者用のものでした。そのため、味気なさに磨きがかかっており、なんともひもじい思いをしたものです。

 ちなみに私の糖尿病食は、下記の設定になっていました。

 (40歳成人女性、身長160㎝、体重約50kg)

  カロリー:1600 kcal(一日)

  朝食:ごはん OR パン、ヨーグルト OR 牛乳、野菜小鉢、たんぱく質

  昼食:ごはん、野菜小鉢、たんぱく質、フルーツ、汁物(あったりなかったり)

  夕食:昼と同じ(内容は異なる)


 ごはんは、毎食180g。食パンは8枚切りのものが1枚と5/6。

 これ、食パンがカロリー調整のために、端っこの耳の部分だけ切り落とされているのですね。そのサイズが、食パン一枚に対し、端っこの1/6くらいでした。毎度ご苦労なこって、と思いましたが、何故そんな面倒なことになっていたかというと、私の個人的な好みで、パック牛乳ではなくヨーグルトを出してもらっていたからなのですね。小さなパック牛乳一個よりも、ヨーグルト1個の方が若干カロリーが高いため、総カロリーを調整するためには、食パンの端っこを切るしかなかった、ということです。

 毎度毎度お手間をかけて申し訳なかったのですが、好きではない牛乳をただ飲むより、好きなヨーグルトを食べたいという願望をかなえてもらった結果でした。

 第6話で記述した通り、入院中はステロイドの副作用で食欲マックスxマックスの異常事態でした。かつやることもないので、余計にお腹が減っています。そんな中、一食一食をいかに充実させるかは、長い入院生活の死活問題でした。

 パンは貴重でした。

 出される頻度は週に2回、朝食のみ。私はパンの“みみ”の部分が大好きだという嗜好なのですが、毎度毎度、パンのみみが切られているのは悔しいものがありました。どうせ切るなら、食パンの中央部の白くて柔らかいところを切ってくれれば、などと思ったり。耳の中でも、焼いた時に上にくる部分が一番好きなのですが、そこをピンポイントで切られていると、ものすごい憤りを感じました。

 そんな食パンですが、味はというと、大手メーカーがスーパーで売っている8枚切り百数十円で売っているものの、6割減くらいです。つまり、美味しくありません。

 ぱさぱさで、しっとり感はゼロ。バターの風味などもちろんなしです。つけるものは、低カロリーのジャム13gのみ。おおさじ一杯が15gなので、それより少ない量のジャムを約2枚の食パンに分散させなければいけません。これはかなり難しいです。

 そこで私が考えだしたのは、ヨーグルトをディップする、というもの。ヨーグルトの水分でパサパサ食パンがしっとり(びちゃっ)となり、格段に食べやすくなりました。

 ただこの食べ方もそんなには美味しくないので、最終的にはチートです。

 家族に頼んで、6ピーチーズや裂けるチーズなどを差し入れてもらい、こっそりパンにはさんでいました。パンとチーズ。これが普通に一番おいしいです。意外とイケたのが、カッテージチーズxジャムの組み合わせです。ちょっと菓子パンチックになり、美味でした。

 結局、出された献立内で美味しく食パンを食すことは出来ないのか?!となりますが、一度だけ夢のようなサンドイッチを、規定内(献立内)で作ることができたのです。それは後程ベスト病院食で紹介します。

 ところで、ごはん一膳180gというのは、多いでしょうか、少ないでしょうか?

 白米も食パン同様パサパサだったのですが、水分量が少ないせいか、180gとなると、毎度茶碗には、大盛りの白米がつがれていました。このパサパサ白米を、薄味の少量のおかずで食べきるのがとても大変でした。そもそも糖尿病対策中なので、ふりかけなどで塩分を足すことははばかれ、ピュアな白米だけを食べなければいけません。ちなみに、漬物やのりなどは糖尿食では一切出ませんでした。

 盛大に食欲がアップしていた時期にも関わらず、毎食毎食迫りくる、この大盛りの白米を食べきることができなくなり、一度、白米食からパン食へ変更してもらったことがありました。

 私の入院していた病院では、ごはん食なら白米。パン食ならば食パンと、完全にどちらか選ばなければならず、朝食のみパンという調整はNGでした。

 よって、いったんパン食にすると、朝、昼、晩と食パンになります。

 煎り豆腐にも食パン。魚の煮つけにも食パン。おまけに、食パンは白米よりカロリーが高いためか、献立表に書いてある味噌汁が、食パンの登場によりカットされるという始末。味噌汁は、糖尿病食の中でも最も美味しいものの一つだったので、これがカットされるのは涙物です。

 ということで、パン食は二日でギブアップしました。


 話を戻して、私的ベスト・ワースト病院(糖尿)食、トップ3の発表です!


<ベスト>

1位:プレーンオムレツ、レタスのサラダ、サラダ用マヨネーズ(これがポイント)、食パン

→ 食パンに、オムレツ、レタス、マヨを挟みがぶりといただく。外食したような錯覚に陥り、同じ組み合わせが再来することを何度も夢に見ましたが(比喩ではない)。一度きりのドリームコンビネーションでした……。

2位:味噌汁

→ 出汁と塩味が効いていて美味しかったです。2、3日に一度くらいしか出なかったのが残念でした。

3位:キンメダイの煮つけ

→ 薄味の上品な仕上がりで、白米とも相性抜群!


<ワースト>

1位:はんぺん(1/2カット)のチーズのせ(チーズは蓋にこびりき干からびて、食するのは不可能)、白米、冷凍のなぞ野菜のおひたし、ヨーグルト

→ この味気なさと、組み合わせの悪さ。ひどすぎです。前日の夜から、朝食を楽しみに眠りについた結果の朝ごはんがコレでした。別の回でもお話したのですが、物理的に泣きました。1時間の号泣です。

2位:小松菜のおひたし

→ 基本野菜は大好きなのです。が、冷凍の小松菜らしきものを、細かく切ったニンジンとあえて、なんとなく塩気を効かせて……。すがすがしい緑は茶色く色褪せ、さわやかな風味は壊滅し、几帳面に1㎝の長さに切りそろえられた菜っ葉には、センスを疑いました。これは、出没頻度の高い、メジャーなおかずでした。

3位:ウズラの卵入りお吸い物

→ 味噌汁は美味しかったのですが、お吸い物は完全にNGです。出汁を全く感じることのない、完全に塩味のお湯でした。あと、個人的にウズラの卵がとても苦手なので、2つも投入されるとかなり厳しかったです。ただ食欲全盛期なので、小学校の給食以来、約30年ぶりくらいに食べました。やはりあの黄身のぬちゃっとした感じと、卵自体が小さいということが苦手要因なのだと、再確認しました。



 色々ネガティブなことも書きましたが、限られた予算と栄養バランスを考えた上で、あの食事は素晴らしいと思います。フルーツは、昼と夜、毎回フレッシュなものが添えられていましたし、味付けも美味しい薄味でした。

 糖尿食にはなりましたが、点滴で栄養補給という事態にはならず良かったです。

 一日三度食事が出来るというのは、本当に幸せですね。

 ありがたや、ありがたや。



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