第16話二人

透と梨花が帰って僕は、ボロ部屋で勉強を始めた。


高校生になって成績が悪くなるのは嫌だった。


深夜まで予習していると知恵が


「お夜食です。」


と丸いおにぎりと味噌汁を持って来てくれた。

知恵の手を見ると真っ赤になっていた。


「初めて?おにぎり作るの?」

「はい。初めてです。好きな人が出来たら料理の勉強しようと思ってました。」


知恵は、真っ赤になった手を隠した。


自分でもおかしいと思ったが僕は、知恵の手を取って舌で舐めてありがとうと言った。


「‥‥。」


知恵は、顔を真っ赤にして自分の手のひらを見つめて僕を見た。


「そういえば、知恵で良いんだよな?知恵は勉強しなくて大丈夫なのかよ?」


「わたしは、授業を受けて記憶しますので勉強をした事がありません。」


容姿端麗にして才色兼備かよ‥‥。


「今日は、楽しかったです。透さんに梨花さんが来てくれて。久しぶりです。お友達が家に来てくれたのは。」


少し寂しげに知恵は言った。

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