プレゼン その2

デミウルゴスのプレゼンが終わると、アルベドの頭の中は服装の事で頭がいっぱいだった。


(アインズ様直々の授業が受けられるから、仕方なく婚活を始める事になったけれど・・・人間に対してだとやる気が出ない!どうしようかしら・・・はあ・・)


続いて、アルベドのプレゼンである。


「アインズ様、私の提案の番ですわね。

まず捕縛後に、多額の金銭を渡す事、

とびっきりの素敵な異性と出会えるという・・・

捕縛後に、その人間の1番の願いを叶えると提示するのです。


もちろん実際にはそんな事は致しませんが、

幻術やパンドラズアクターご協力のもと、

惑わし捕縛され続けている方が幸せだと錯覚をさせます。

人間というものは、希望のものが手に入りそうで

手に入らない時が、1番支配しやすいのです。

アインズ様いかがでしょうか?」




「うむ。そうだな。賢くない人間や欲深い人間ならそれで簡単に支配出来そうだな。

それでも反抗するようだったら、人体実験にそやつは回しても良いだろう。

弱いくせに話のテーブルに着かないようでは、話にならんからな。


金の話をして惑わされない人間がいたら、

賢く優秀な人間の可能性があるので、

人体実験よりも戦力として採用の流れに回しても良いだろう・・・。

アルベドよ!その案はデミウルゴスと話をすり合わせの上、実行せよ!」


アインズはこんなに簡単に人間は支配されるのかと、

人間時代を思い出し納得していた。

 

(はああ、ガチャであと数回回せば限定アイテムが

手に入りそうな時こそ課金してたなあ〜。よく分かるわあ〜、うんうん)



「は!承知致しました。アインズ様♡」



続いて、コキュートスの番。


「私ノ番ダナ。私ガ考エル案ハ、捕縛後ニ強者ヲ

ナザリックノ競技場ニ連レテ行キ、トーナメント制デ闘ワセル。

最後マデ勝チ残ッタ者ダケ、ナザリック地下大墳墓デ、雇用スルト提示スル。

スマナイガ、ジャクシャハ闘ワセルト死ヌ可能性ガアルノデ、

良イ案ガ思イツカナカッタ」


話終わると、プシューと冷気を口から吐き出すコキュートス。



アインズはトーナメント制の話にワクワクして、体を乗り出した。

「おお!街中に強者を探しに行くより、

そのトーナメントなら戦力アップのスピードアップには良いな。

将来的にもしも人間だけの軍を作る際には、役に立つだろう。

その案を実行前にリザードマンの村で、プレトーナメントを開催して、

改善点を見つけよ!」


「カシコマリマシタ。アインズ様、

ヨリ良イシステムニ出来ルヨウ、頑張ル所存デス」 



進行役のデミウルゴスが、ニヤリと笑いながら進める。

「そして、続いてはセバスかな?下等生物ばかりを助けるのは、ごめん被りたいね」


そう言われたセバスはギロリと鋭い眼差しを向けた。

そして、デミウルゴスの薄く開いた目がバチバチと火花を散らした。 

 

「アインズ様、私、セバスの計画はメイド達それぞれに案を募集致しました。まず最初にペストーニャの案をご報告致します」


「ほう、ペストーニャか珍しいな。どんな案だ?」

(ふう、ペストーニャならきっと1番平和な案を出してくれるだろう。人間に優しく出来るナザリックの存在は貴重だからな)


実は、アインズは今回はペストーニャの案を聞くのが1番楽しみだったりするのだが、表面上には出さないようにした。



「は、ペストーニャの案ですが・・・捕縛した人間に美味しいデザートや食料を与えてるようにしてはどうか?と申しております」

セバスは至極真面目に話した。


するとシャルティア、デミウルゴス、アルベドが笑い出した。


「あはは!何でありんすか!その案!あはは!」

「ふふっ!セバスさすがだよ!あはは!」

「うふふ、使えない人間に美味しいものを与えるなんて、無駄でしかないわ!あはは!」



セバスは怒りを押し出すように深く息を吐いた。それから3人を見る。


(はあ、笑いですか・・・こんな状態では、戦えないけれど有能な人間探しはまだまだ難航しそうですね・・・)




コキュートスが手に持っていた、メイスを床にガチン!と叩きつける。

「アインズ様ノ御前ダゾ。静粛ニ!」


「は!失礼したでありんす」

「笑い過ぎました。失礼いたしました」

「アインズ様、申し訳ございません」


 

「お前達の全てを私は許そう。人間に対して優しくするのはこれからの交渉事には使えるだろう」

(やっぱりペストーニャとセバス以外じゃ、そりゃ〜笑うような〜。俺は人間に対しては小動物並みの愛おしさぐらいしかないから、使えない人間に対してはどっちでも良いけど・・・)



「そしてセバスよ、以前からナザリック地下大墳墓で働く人間が増える事を見通して、料理長に人間向けの料理を作り、食堂全体の質を上げよ!とは言ったが、牢屋に入れた人間にも美味しい食べ物を与えるという事で間違いはないな?」


アインズはセバスをギロリと見つめる。


「そうでございます。すぐに美味しい食べ物を与えるか、少し時間を置くかはこれから皆様と相談の上、決めていきたいと存じます」


「では、その話はまだブラッシュアップしていく方向性で進めていこう」


「ありがとうございます。アインズ様」



「セバスよ、その他のプレアデス達の案は無いのか?」


「案はまとめてはあるのですが、人間に危害を加えるものばかりなので、こちらは書面にてアインズ様にご提出したいと考えております」


「そうだな。さすがだ、セバス。今回のプレゼンで求める内容とは違うから、発言をしないで後日検討に回すのは良い事だと思うぞ」



その言葉を受けて、ひざまずくセバス。

「はっ!私たちの間違いに対して、アインズ様の寛大な判断を頂き、至極光栄でございます。ありがとうございます」



デミウルゴスがメガネをキラリと光らせる。

「では、今回のプレゼンはこれで終わりといたします。皆、参加ありがとう。次回も楽しみだよ」


プレゼンが終わり、ぞろぞろと玉座の間から出て行く。



玉座の間に残ったのは、アインズとアルベド。

黒い羽根をパタパタさせながら、アインズに近づいて尋ねるアルベド。


「アインズ様?何故アインズ様は人間にお優しくするのですか?(訳:私も、もっとアインズ様に優しくされたい)

そして、個人の授業はいつから始まるのですか♡」

と質問しながら、自分の胸をグイグイアインズに当てるアルベド。



「アルベドよ、もう少し離れてくれないか?話しにくいぞ」

(胸当てられて、冷静に話せる訳ないだろう!)


「あ♡申し訳ございません♡ アインズ様のお近くで御声をお聴きしたかったから、近づき過ぎてしまいましたわ、うふ♡」


「ふう、私が人間に優しくするのは、今後の交渉を有利に進める為なのだ。

私達の力を見せつけるだけで、今は従ってくれたり逃げてくれる勢力が多いが、これから自分達より更に強大な勢力に出会うかもしれない。

その時は我々も話すか逃げるしかないかもしれないだろ?アルベドよ」


「はい♡」


「だから、そのような勢力に会う前に沢山の人間と話をして、どんな人間がこの世界にいるのか知りたいのだ。まあ、武力に頼らない人間への説得の練習だと思ってくれ」


「かしこまりましたわ♡」


「アルベドに人間の婚活に参加するように頼んだのも、本当は使いたくはないがアルベドの美貌を持ってさえすれば、一国の王や貴族を操る事も容易いかもしれない。だから、人間と話してどのくらいの人間をたぶらかせるか見たいのだ。人間が嫌いなのにすまんな。アルベドよ、授業は来週から始めるぞ」



「良いのです。私はアインズ様、いいえ、モモンガ様にお仕えするのが至上の喜び。モモンガ様の為なら私の身体をどうぞご自由にお使いください。いつでもお誘いお待ちしてますわ♡個人授業は来週からですね、ふふ♡」 


顔を赤らめ鼻息荒く、羽根をパタパタさせるアルベド。




「あ、はは・・。承知したぞ、アルベド・・」

(ちょっとアルベドの目が怖いんですけどー!目がすごいケモノの目なんですけど!)







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