第2話

 聞こえる?

「あぁ。」

 どうやら、記録書は忍に奪われたみたい。

「そうだろうな。通信機の電源が入ったままで全部聞こえた。」

 そう。

 なら、そのことについてはもう話す必要はないようね。

 貴方には、まず忍を捜し出してその記録書を取り戻して欲しい。

 出来るなら、忍に情報を吐かせて。

 忍と言っても、人と変わらない。

「そうなのか?」

 元はと言えば親のいない幼い子供を拾ったり、そもそも親が忍だったりしただけの中身は人間。

 厳しい修行をして、忍になるの。

「逃げ出す奴もいそうだな。」

 どうかな。

 忍については詳しいことはわからない。

「記録を覚えている奴は?」

 読破した人は、去年事故で即死。

 生きていない。

 それに、全員が目を通したわけじゃないし、あとはサイトを見た一般人の記憶に残っているかいないか…。

 でも、それを虱潰しに捜してる暇はない。

「そうか、わかった。」

 忍術がアニメや漫画の通りなら、厄介だけれど。

 中身は人間だから、大した異能力は持っていないと思う。

 けれど、金さえあれば大抵のモノが手に入る時代…異能力は無くても十分ね。

 気を付けてね。

「了解だ。」

 無線機で、何かあれば連絡を入れるから、貴方も何か聞きたいことがあったら連絡を頂戴。

「捜すと言っても、日本中を虱潰しに回るわけじゃないだろう?」

 当たり前。

 そんなことをしている内に、核がどうなるかもわからないし、また多くの人が死ぬことになる。

 本拠地はわかっていないけれど、拠点はいくつかわかっているの。

 それに向かって頂戴。

 場所については送るから、確認して。

 忍は任務を達成する為なら、手段を問わないし、人を平気で殺せる残酷なもの。

 何があっても、同情したり油断したら駄目。

 その隙を突いて、何か仕掛けてくる可能性が高いわ。

「イメージで判断するな、と言われたんだが?」

 これが本当か嘘かなんてどうでもいい。

 警戒しておいて、と言っているの。

 それじゃ、情報を確認次第、向かって。

「……。」

 ブツッ―――。

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