《 第四の射殺事件 》 4

               4


 八月三日 午後九時


 神奈川県警相模原中央署刑事第一課の池辺正晴警部補は、課長の目黒裕二警部とその部下たちと現場に到着した。


 池辺警部補は、西島さんに状況を聞こうとしていた

「私は、相模原中央警察署の池辺と言います。西島さんですか?」

「・・・」


「大丈夫ですか?」

「・・・」


「ここにお住まいですか?」

「・・・」


「お仕事の帰りですか?」

「・・・」


 放心状態の西島さんは、池辺警部補の質問に答えられなかった


 目黒警部は、部下の山下美香巡査部長と伊藤雄介巡査に、病院に行くことを指示し、女の子の身元を確認して、ご家族に連絡を取るのと、救急隊員から当時の状況を聞くように指示をした。

 池辺警部補は、西島さんを地域課の警察官に託して、斉田浩志巡査部長と一緒に、目撃をした人を探しはじめた。



 そんな中、目撃をしたという女性が現れた

「まずは、お名前を教えて貰えますか?」

「はい。関根めぐみと言います。」


「お仕事の帰りですか?」

「そうです。」


「早速ですが、関根さんはどんな状況をご覧になられたのですか?」

「う~ん。女性の人が倒れていて、男性の人が、駆け寄って行く姿をみました。」


「女性の人が、倒れた後の姿を見られたということですか?」

「そうです。そうなります。」

 と、ちょっと肩をすぼめて返事をした。


 池辺警部補は、つづけて

「その時に、他に近寄ってきたとか。見ていた人は、いましたか?」

「いたかもしれませんが、わかりません。」


「そうですか。そうかもしれませんね。いまでもあまり、歩いている人はいませんからね。」

 と、関根さんのことを、かばった。


 現に野次馬の姿を見ると、サイレンを聞いて出てきた

 近所に住む住民の姿ばかりだった


 つづけて、こう聞いてみた

「いつもこの時間が仕事の帰りですか?」

「いえ、たまたまです。今日は、仕事が少し早く終わったので、この時間です。いつもは九時頃に、この辺を歩いて帰っています。」


「そうですか。ありがとうございました。」

「もういいんですか?」


「大丈夫です。問題ありません。でも何かを思い出したら、是非ご連絡をください。」

 と、言って、池辺警部補は、関根さんに名刺を渡した。




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