《 第一回合同捜査会議 》 1

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 七月二十八日 午後二時


 第一回合同捜査会議がはじまった。

 捜査会議の統括を任されたのは、神奈川県警捜査第一課10係係長の田辺警部だった。


 統括としてこう挨拶をした

「神奈川県下において、連続して銃を使った殺人事件がはじめて起きた。そして日本ではそう簡単に入手できるものではない武器を持って事件が起きた。全国が、固唾を飲んでこの事件を見ていることになる。いっそう気合をいれて、職務に励んでもらいたい。」

 つづけて

「現在起きている、三件の共通項と不明な点をまとめてみた。また、皆が捜査で感じた違和感等があったら、忌憚のない意見を言ってくれれば助かる。この事件は、神奈川県警の警察官として犯人を逮捕する。皆の協力が必要だ。よろしく頼みます。」

 と言って、田辺警部は、頭をさげた。




 【共通項】


 一、銃が使用されている

 二、弾の線条痕が同じ 22口径 5.56mm

 三、弾には、指紋等の遺留物はない

 四、犯行現場に薬きょうが落ちていない

 五、どの位置から、発砲されたかが不明

 六、犯行前後の、犯人の行動が不明

 七、一週間に一度、起きている




 【不明な点】


 一、三件の事件の共通点が銃以外にあるのか

 二、三人の被害者に共通する点はあるのか

 三、被害者と犯人は、顔見知りなのか

 四、犯行時間前の被害者の足取りは、どうなっているのか

 五、犯人は、犯行前後でどうのように行動をしていたのか




 さっそく、箱根署の木下警部補から最初の被害者である、佐藤勝盛さんの足取りについて、報告があった

「佐藤勝盛さんの箱根登山ケーブルカー公園上駅からの足取りの確認が取れました。事件が起きた、午後三時四十分までの足取りを報告します。」

 七月十三日に起きた内容を、すこし説明をしてから、次の通り新しい報告をした。



 十二時五十九分に、公園上駅に到着


 十三時十分  強羅温泉「強羅箱根雅荘」チェックイン

 日帰り温泉と食事を楽しむプランを予約していた。

予約時間を予約時に設定すれば、最大3時間まで滞在ができるプランだった。


 十五時十分  強羅温泉「強羅箱根雅荘」チェックアウト


 十五時二十二分 箱根登山ケーブルカー  公園上駅出発

 十五時二十七分 箱根登山ケーブルカー  強羅駅到着



 そして、午後三時四十分。事件に巻き込まれた



「以上です。佐藤さんが事件に巻き込まれるまでの動向が、防犯カメラの映像をもとに判りました。また、防犯カメラの映像と強羅箱根雅荘の従業員の聞き込みの結果。誰かに会ったということはないと考えられます。」

 と、木下警部補は、報告した。


 報告を受けて、田辺警部は、こう質問した

「断定できない理由は、なんですか?」

「途中で立ち寄ったと思われる、箱根神社と大涌谷の散策では、すべての防犯カメラに映っていなく。そこでの詳細が不明なので、断定はできませんでした。」


「そこの場所の聞き込みは、どうでしたか?」

「はい。聞き込みは行いましたが、観光客の多さから、神社の巫女さんや従業員の方々からは、一人一人まで覚えていないという返事が戻ってきました。」


 田辺警部は

「わかりました。これで、箱根の事件と瀬谷で起きた事件の足取りが確認とれたということですね。あとは、大和で起きた事件の足取りの確認ですね。星野警部、いかがですか?」


 星野警部は、こう答えた

「現在、防犯カメラの回収作業を行っています。すべてが回収できておりません、よって、いまのところ不明とさせてください。詳細がでましたら、また報告いたします。」



 次に瀬谷区で起きた、高橋聡君の事件について、捜査第一課11係の立花久司警部補が報告をはじめた

「報告書の続きで、高橋君の交友関係について報告します。」

 つづけて

「母親から借りておいた携帯電話から、交友関係を確認しましたが。これといった情報はありませんでした。学校でも普通に友人と交流があり、特に問題を抱えていた様子もないと、友人からの証言も受けています。また、登下校時に誰かと会ったとか、何か問題があったという話も聞いたことはないそうです。」


 田辺警部は

「SNS等の、ネット上の交友関係はどうですか?」

「それも、携帯電話から検索履歴や使用履歴を確認しましたが、いかがわしいサイトへのアクセスや、学校以外の友人とのやりとりを示すものはありませんでした。」

 と、立花警部補は、報告した。




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