第11話

【これからは、お風呂入れる♪】

ペンギンさんは、ご機嫌です。

この為に苦労してトカゲさんを探してたんだね。

僕としては、変身のレパートリーが1つ増えたから、充分過ぎる程にメリットあったからいいんだけど。


【それで、こんな湿気た町に住み着くのか?

ココで、面白い事があんのか?】

トカゲさんが失礼な事を言い出した。


【う~ん。そうねぇ。

確かに地味ね。】

ペンギンさんも充分失礼だった。

この時ほど、コイツら人語を話せなくてよかったと思ったよ。


「トカゲさんとかペンギンさんは、何が宛てがあるの?行きたい場所とか?」

この世界初心者の僕は、何も知らないからね。

鳥類と爬虫類にさえ、ガイドを頼んじゃうよ。便りになるとは思えないけど。


【まず、トカゲさんとかヤメロ!

弱そうだ。】

トカゲさんが、怒りだした。


「じゃあ、火トカゲさんで。普通ではないし、カッコいいでしょ?」

名前って難しいし、シンプルな方が覚えやすくていいんだよ。


【カッコいい?ん?まぁ、俺様にピッタリだな。唯一無二だ。】

何だか、簡単に丸め込み成功です。


【私、アルカディアの大瀑布行きたい。

間近で見た事ないのよね。】


【おぉ、あれか?

確か近くには、巨獣がいたな。よしっ、それで行こう。】

ペンギンさんと火トカゲさんは、あっという間に意見を終わらせちゃった。

どうやら物知りですな。

でも


「無理ですから。行かないよ。」

何ですか?巨獣って。

怪獣みたいなのが出てくるんでしょ?

無理です。流石に僕ではゲームオーバーだよ。


【チッ。何だよ。ビビってんのかよ?

楽しませてくれる様なヤツらが、他にいんのか?】

火トカゲさんは、バトルマニアなんだね。

某少年誌の主人公みたいな台詞だよ。


「他にないです?景色の綺麗なところとか。」

こういう時は、話を反らすに限るよ。


【そうねぇ。この辺りだと温泉街があった筈なんだけど。】

ペンギンさんは、お風呂が異様に気に入ったんだね。

近くに温泉あるなら、火トカゲさん探した意味なくない?

僕的なメリットしかなくなったよ。


【そこには、歯応えのあるヤツがいんのか?

何が居る?】

ほらっ、戦う事しか考えてない火トカゲさん。


【普通の魔物しかいないわよ。

でも、温泉卵ってのが美味しいらしいわよ。】

おぉっ、こっちにも日本と同じ名物があるとは。

考える事は、国や世界が変わっても同じ様なもんなんだね。



【おぉっ、卵は俺様の好物だ。

さっさと行くぞ!】

アッサリと食べ物に釣られる火トカゲさんって、割りと扱いやすいのかも。




そして、町に戻るとすぐにチェックアウトさせられた。先払いしといた宿代は返してもらえなかったよ。

僕の勝手で出ていくんだから仕方ないんだけど。

火トカゲさんとか、思い立ったら、すぐじゃなきゃダメとか、本当に気が短い。

他の町に行くにしても、この町で少しノンビリしてからでもよさそうなのに。

そして、テクテクと歩く今に至るって感じです。

火トカゲさんは頭の上だし、ペンギンさんは僕が抱っこしてる。

小さな2人?に歩みを合わせてたら、目的地に着くのが何時になるのか分からないから、いいと言えばいいんだけど。


【おせ~な。しかも魔物も出て来ねぇから、つまんねぇし。】

とか


【う~ん。早く大きなお風呂入りた~い。】

みたいな事しか言わないし。

もう少し、僕を敬ってもばちは当たらないと思うんだけど。

完全に僕は乗り物扱いだと思うんです。

不服を申し立てて、いや~な空気になったから、もう諦めて言う事を聞いてるんだけどね。

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