第6話

『はいっ、出来ましたよ。』

そう言って渡されたのは、ドッグタグみたいなモノだった。

カードって言うから、トレカみたいな物だと思ってたけどコンパクトだし、身に付けられるから便利だな。


「ありがと。」

渡されたドッグタグは、鈍い色をしていた。

銅メダルみたいな感じ?


『ランクが上がれば、星を刻みますからね。

早くシルバーランクに上がれる様に頑張って下さい。』

ほぅほぅ。よくある金属がランクと結び付いてるみたいだけど、星の数を貯めるとランクアップするんだ。

チラッと見た感じだとブロンズ、シルバー、ゴールドの3ランクみたい。

星が何個でランクアップかは分からないけど。

まぁ、ボチボチやるよ。


早速、稼がなきゃね。

お腹減りまくりだし。

幸いにも、カード登録したココは、冒険者ギルドってやつみたいだし。

異世界モノのラノベとか、よく出来てるな。

その知識で、理解出切るのが早くて助かるよ。


よしっ、じゃあコレにするか。


目を付けたのは一枚の貼り紙

《畑を荒らす暴れ猪の退治

群れなので複数匹、多分5頭?

報酬は銅貨25枚》

蛇がニョロニョロしてるみたいな文字だけど読めるのは、便利だな。

当然、報酬が高くなればなる程、難しい依頼になってるはず。

色々と見た結果、この猪退治の報酬が下から数えて5番目とお手軽な感じだったので、受けてみるつもり。

ご飯食べるお金と泊まる為のお金を稼がなくちゃね。


さっさと受付へ貼り紙を出して、ドッグタグになってるカードに依頼を登録してもらう。

機械みたいなのを操作してる辺り、何か近代的な感じもするし。


依頼書に書かれていた場所へ向かうと畑の横に家が見付かる。

これが依頼者の家みたい。

トントン拍子だな。

まぁ、迷う要素もないし、さっさとやるか。


コンコン。。。。


「ごめんくださ~い。」

ノックしてから、声を掛ける。

畑仕事とかで出掛けてると、会えるまで時間掛かりそうだな。

そう思ったけど


『はい。は~い。』

奥から声が聞こえてきて、すぐにドアが開いた。

特に、なんの変哲もない農夫って感じのオジサン。

今から、猪を待ち伏せして撃退する事を伝える。

お腹減ったから、さっさと依頼を終わらせて、何か食べなきゃ。

そう思っていたら、オジサンと話してる間にお腹がなって、可哀想に思ったのか、オジサンが何か分からない肉を挟んだ大きなパンをくれた。


ペコペコだったし、硬いパンにクセの強い肉のサンドイッチだったけどメチャ美味しかった。

しっかり働かなくちゃ。

ちなみにペンギンさんは、何も食べなくてもいいらしい。

便利な身体してるな。

ずっと僕に抱っこされて、上機嫌にしてる。


パンをモグモグしながら着いた畑は、よく見ると所々が荒らされていた。

猪が荒らしたんだな。畑の一角が荒れてて見るも無惨だよ。せっかく育てた野菜なのに。


畑の近くに隠れて見張ってたけど、待てど暮らせど猪は来ない。

まぁ、そうだよね。まだ日が高いし。


ぼけ~っと待つ事、6時間。

途中で差し入れとして、またサンドイッチもらったし。

畑に来た時は昼過ぎだったのに、既に真っ暗で夜中に近い。

そろそろだろうね。

でも、この暗さ。。。。見えねぇ。闘えんのかね。

そこまで考えてなかった。


『ぶもぉぉぉぉぉぉ。』

おぉっ、来たきた。すげぇ鳴き声。

一人前に威嚇してきてる。来たら襲うとでも言いたいみたい。

岩陰に隠れてるのに見付かってるのかな?

ちゃちゃっと、ヤッちゃいますか。


「いくよ。ペンギンさん。」

抱っこしたペンギンさんを下ろす。


【眠いのよ。美容に悪いし、見えないし。もぅ。】

機嫌悪いな。。。


「へんっ。。。しん!」

得意のポーズを決めて叫ぶと、お馴染みの風に包まれ、あっという間に変身完了。


「よしっよしっ!きたぞぉぉぉ!」

無闇矢鱈と叫びたくなる。

だって、嬉しいんだもの。

さぁ、猪たちよ。僕の糧となるがいい。








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