第18話 探り合い


カチッ


「ん?」

ニンジンの頭から音がした



ピッピッピッ


ニンジンの首の切断面を見ると

タイマーのようなものが埋め込まれている

秒数は26秒からカウントダウンしていってる


間違いない爆弾だ


ニンジンの頭を置き

バイクに駆け寄り

急いで走り出した

螺旋状になっているスロープを急いで降りていく

なんつー最低なことしやがる

本当にイカれてる


スロープを抜け工場の門の前で爆発した

さっき俺がいた階から煙が上がり

瓦礫が下に落ちていくのが見えた

爆発範囲はあまり広くはないが

近くにいたら間違いなく死んでいるレベルだ


そして俺は現場を後にし

会社へ戻った





俺が出発してから

社長も動いていたみたいで

司の車にニンジンが仕掛けたGPSはまだバレていなかったらしく

位置情報は社長も共有していて

他の調査班のメンバーに追わせていた

そして

車が止まった場所は

新宿にある古いビルだった

人通りの少ない路地にあるような場所で

司はリチャードを下ろして

車を走らせたらしい

調査班の追跡していた「パプリカ」というメンバーにはできる限り離れた場所からビルに出入りする人間がいるかどうか張らせている


俺は戻ってすぐにその話を聞かされ

司を追うよう指示され出発した


社長の狙いはまず能力の低い人物から潰して

最終的に残った人物に総攻撃を仕掛ける考えだ


チャイニーズマフィアとの殺し合いの時

リチャードに頼んだ司の戦闘力はそこまで高くない筈だ

おそらく組織内の役割的には体ではなく頭


なによりも頭は少ない方がいい

俺は司の元へ向かった




司の車につけているGPSが止まったという指示をうけ

少し離れた場所にバイクを止め

徒歩で近づいて行った


日はとっくに沈んでいてあたりは街灯もあまりなく

暗い場所だった

司の車は人気のない線路脇に止まっていて

車から少し離れた正面には月極め駐車場がある


誰かを待っているようで運転席で携帯をいじっている






バイクを止め

俺は刀を抜き

全力で司の車に駆け寄っていった

その瞬間

月極め駐車場に横一列に止まっている5台の車のヘッドライトが一斉につき

俺を照らし

一台のワンボックスカーが

こっちに突っ込んでくる

俺は横に飛び車を交わした

完全に轢き殺すつもりだったらしい

15mくらい先の所で車が止まり

目出し帽を被った男が5人降りてきた

手にはバットや木刀、ツルハシ等の凶器を持って歩いて近づいてくる

月極め駐車場に止めてある4台のワンボックスカーからもゾロゾロ目出し帽に凶器を持った男達が降りてきて近づいてくる

合計で30人近い人数だ

そして

司も車から降りてきた


「あらかた想像はついていましたよ。リチャードが廃工場で殺した奴は組織で動いてると考えてね、必ず追ってくると思いましたよ。あえてリチャードと別れてここまで誘い込んだんですよ。そしたら驚きましたよ。ひとりですかあなたは?」


司は車に寄りかかり腕を組みながら俺に話しかけた


そして俺はすっかり囲まれてしまった


「ああ、ひとりだ。お前の実力はしらねぇが俺は強いからな」


それを聞いた司は吹き出し声を出しながら笑った


「たいした自信ですね。廃工場であった君の仲間も相当根性はいってましたよ。リチャードが体を少しずつ切断していっても一切君たちの話はでてきませんでしたね。彼は素晴らしい男ですよ。尊敬の念を込めて爆弾をプレゼントしたのですが気に入ってくれましたか?」


「そうか。ニンジンは最後の最後まで戦ってくれたんだな」


「ははははっ!ニンジンってなんですか!!!あの彼の名前ですか!!??あなた達は農協の方ですか!!馬鹿ですか!!馬鹿ですよね!!こんな子供のごっこ遊びをしているようなあなた達が私達を追ってきた目的はなんですか!?」


「たしかに馬鹿かもな。目的?そんなもんねぇよ。まぁでも俺は自分が正しいと思うことをやるだけだ」


「意味が分かりませんね。話もはぐらかして、自己紹介もしてくれないなんて冷たいですねー」


「あー。そうだな。俺はえーっとそー、、闇狩り」


司が一瞬止まり

真顔になった


「これは、これは。あなたが闇狩りさんでしたか。ひとりの理由も納得できましたよ。相当強いらしいですね〜」


「まぁやるなら早く来いよ。おしゃべりしにきた訳じゃねぇんだよ」


「まったく。元気ですね闇狩りさん。それでは皆さん、聞きたいこともこの方には沢山ありますのでギリギリ話せるくらいまでやっちゃってください」


一斉に俺を取り囲む目出し帽の男達が襲いかかってきた




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る