おとなり

三つ隣は薄野すすきのでした

涼しくなるとさわさわと

黄色い尾花のさざ波を

赤蜻蛉あかねが渡っておりました


二つ隣は枝垂れの萩で

細いあまたの枝いっぱいに

紅紫の花をつけ

静かに立っておりました


夕焼けが薄紅にやわらいで

淡紫に変わる頃

真っ赤な自転車 補助輪を

がらがらがらと響かせて

遊びにいったものでした


気づけばどちらも幻のように

四角いお家になりました

以前はこうであったねと

思い出話を語っても

そんな様子であったかしらと

大人は首を傾げるので


たしかにそうであったよと

わたしは笑って目を瞑るのです



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