一話完結物語

夜内揶揄

第1話 彼は死んだ

生温い記憶に錘を付け、深海へ投げた。

あっという間に沈んでいくのと同時に、頭痛がした。

頭だけではない、体全体が冷めていくのを感じた。

僕は、呼吸の仕方を忘れてしまった。

心臓のBPMは低くなっていく。

モノクロームの世界が見えた頃には、僕も深海に投げ出されていた。

彼は水飛沫を上げることなく、静かに沈んでいった。

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