告白‥‥‥後。

俺と彼女は、この日、新学年初日の日から付き合うことになった。

定番の場所、体育館の裏で俺が告白をして。

ただ、後先考えずに俺は彼女に告白したから



『あいつらになんて言えば‥‥‥』



なんて腕を組んで不安そうに考えていたから、彼女がそんな俺を心配そうに見つめると




「どうしたの?」


「あ、うん。あいつらに俺達の事どう説明したらいいかと思って」


「あいつら?‥‥‥あっ!貴方の妹さんたち」


「うん。まあ、宗吉は俺の友達だからいいとして、妹の明美は何とか説得はできるけど‥」


「けど‥?」


「問題は恵美なんだよなぁ〜。あいつ昔から往生際が悪いというか、頑固というか、ちょっと難有りなんだよ」


「そんなに?」


「うん。あいつの性格からだと『貴女には負けません!先輩は必ず私の彼氏にしてみせます!』なんて言ってきそうな気がするよ」




そう俺が言うと、彼女は一瞬考えて何かに気づくと、俺をジト目で見てきた。

で、



「な〜に〜か、貴方の心の隅で嬉しいて気持ちがあるような感じがするわ」


「えっ?俺が?ない、ない!」


「う〜ん‥‥‥何か怪しいわね。とりあえず言っておきますけど、貴方と私は同じ自分自身よ。つまりは心の奥の事も分かるのよ!」


「つまりは隠し事は出来ないと」


「そう言う事!」



なんか彼女を見ていたら、嫉妬心みたいなオーラが出ている気がします。

俺が女性になったらこんなにも嫉妬深くなるのか?と思ちゃいました。

てか、もしかして、彼女が一番厄介なのでは、なんて考えていたら彼女が、ギロリと横目で俺を睨みますよ〜(焦)



で、俺思いました。彼女はもしかして嫉妬しやすいタイプなのではないかと。

そしたら彼女が寂しいような顔をして



「あの日から‥‥‥一年も前から私はずっと貴方を想っていた。貴方だけを‥‥‥」



彼女のその言葉を聞いて、俺は胸を打たれたような気持ちになりましたよ。確かに俺の心の隅でよこしまな考えがあった。だから彼女が心配するのは当たり前だ。心が通じ合えばなおさらだ!

彼女の心、俺を思う心が俺の心に流れ込んでくる感じがした俺は、



「俺もあの日‥‥‥一年前のあの日から君を想っていた。ずっと、ずっと」



俺は彼女の肩に手をかけると、そっと彼女を自分に引き寄せ、そして抱きしめた。

彼女も抵抗はしないで、自ら俺に身を寄せてきた。



「やっぱり、暖かいや」


「えっ?何が?」


「君の心。こうしていると余計に伝わってくるよ。俺を想っている気持ちが。だから‥‥‥さっきはゴメン。俺、邪な考えがあったかも」


「ううん、いいの。わかってもらえれば‥‥‥」



俺に抱かれた彼女は、更に俺に抱きついてきた。ギュッと‥‥‥。

俺はそんな彼女と離れたくない気持ちで心がいっぱいになり、彼女が上目遣いで俺を見てきた。俺と彼女の瞳が重なり合う。


そして‥‥‥そして‥‥‥そして‥‥‥

俺と彼女は‥‥‥




「ヒロー!漸く見つけた!‥‥‥て、えっー!(驚)」


「お、お、お、お兄ちゃん‥‥‥な、な、な、何してるのよ!(怒)」



「えっ!‥‥‥お姉ちゃん‥‥‥(驚?)」




見つかってしまいました!皆んなに、妹たちに見つかりました。

で、俺と彼女抱き合ったまま硬直。

まあ、こんなとこ見られたらびっくりしますよね。普通は。

そう、普通はです。

1人いたんですよ普通ではない人が!




「せ、せ、せ、先輩!(驚)」


「え、恵美!」


「あ、あ、あのね、こ、これは」



俺と彼女が恵美に言うとですね、恵美の奴、体をフルフルと震え出して、いきなり彼女に人差し指を向けるとですね、



「貴女には先輩を渡しません!先輩を先に好きになったのは私なんですから!絶対に先輩を渡しません!」



あー、やはりというか何というか、言ってきましたよ、恵美の奴。

てか、いつ俺は恵美の物になったんだ?

で、勝負?まあ、恋の勝負ですか、挑まれた彼女、朝日 ヒロミは



「‥‥‥いいですよ。受けます」


「えっ?ちょ、ちょっと待ってて。俺は‥」


「先輩は黙って!」

「そうです!黙っていて!」


「えっ?あ、はい(怖い)」



なんか凄く睨みあってますよ。この二人。

いつの間にか俺、蚊帳の外です。



「あ〜あっ。お姉ちゃん、火がついたか」


「はあ?火?」


「お姉ちゃん、一見大人しく見えるけど、怒らすと周りが見えなくなるから」



ようはキレたと言う事では?

俺、この後どうなるんだ?

彼女と普通の(て、あの出会いの日から普通ではないが)交際ができるのか?





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