第9話 決意


 三日目の朝を迎えた。

 

 俺はいつものようにシャワーを浴びて、熱々のコーヒーを飲みながら朝ごはんを食べていた。そして余裕を持って学校へ出発した。


 いつものように授業を受け、放課後になった。

 向郷会長との約束は三日後の放課後に生徒会室まで来いとのことだった。

 俺は放課後になった瞬間にすぐさま生徒会室へ向かった。


「はあ……緊張する」


 俺が生徒会室の前で立っていたら後ろから男の声がした。


「あれ、君はこんなところでなにをやっているんだい?」

「あ! いえ、俺は決して怪しい者なんかじゃ……」


 俺はびっくりしていかにも怪しい人のような素振りを見せてしまった。

 後ろを振り向くと、長身の眼鏡をかけたイケメンが立っていた。


 すると長身の男は優しい声で、


「生徒会になにか用かな? よければ僕が聞くよ」

「いえ、俺は生徒会長に呼ばれてて……」


「そうだったんだ! なら中で待っているといいよ。すぐにお茶を入れるね」


 俺は言葉に流されるまま生徒会室に入った。

 どうやらまだ会長は来ていないようだった。


「粗茶ですが」

「い、いえお構いなく」


 とても礼儀正しい人だ。

 近くで見るとよりイケメンに見えた。


「そういえば自己紹介がまだだったね。僕は國松 彰吾(くにまつ しょうご)、二年で生徒会副会長をしているんだ。宜しくね」

「金山剣人です。宜しくお願いします」


 そのイケメンな男子生徒は副会長だった。


 容姿端麗で礼儀も良い好青年という感じでこの生徒会役員としてこれほど適任な人はいないだろうというレベルだった。


(俺はこんな人と肩を並べて仕事しなきゃならないのか)


 こう思っているとばたんと扉が開いて、


「おう。もうきていたのか。國松も一緒か」


 向郷会長が入ってきた。


「お久しぶりです。会長」

「久しぶりだな國松。研究はどうだった?」

「まあぼちぼちって感じです」

「あの……研究ってなんですか?」


 俺が向郷会長に聞く。


「國松はここの学園生でありながら、研究者でもあるんだ」

「け、研究者!?」


 驚いた俺に國松さんが、


「まだまだ駆け出しの研究者だけどね」


(現役高校生で研究者ってどんなステータスだよ!)


 さすがエリート学園の生徒会。普通ではなかった。

 俺は気になって質問をしてみた。


「國松副会長はどのような研究をされているんですか?」

「僕は地理学の研究を主にしているんだ。地層とか地殻とかの調査とかね。この地下施設でしかできない研究もあるから楽しいよ」

「すごいですね。同じ高校生とは思えないです」


 すると向郷会長が、


「普段はこんな感じの頼りがいのない冴えない男だがな。研究になると人が変わる」

「あはは。中々ひどい言われ様ですね」


 國松さんが苦笑いをする。


 その二人の姿を見て、サバサバしている会長とほんわかしている副会長だからこそ調和がとれているのかなと思った。


 すると会長があの話を切り出してきた。


「ところで、金山。例の話の目処は立ったのか?」

「はい。今日はそれを伝えに来ました」

「そうか。それでどうするんだ?」


 俺はあの時からずっと考えていた。

 今の俺にとって最善な行動を。


 俺はなぜここにいるのか? ここは何のための場所なのか。

 俺はとにかく真実が知りたかった。


 考えた結果、この学園を知るためには結論は一つしかなかった。


「はい。ぜひお願いします! 俺を生徒会に入れてください!」


 すると会長は真剣な顔つきで問い返した。


「それがお前の答えなんだな?」

「はい。そうです」


 すると、会長は少しだけ笑みを浮かべてこう言った。


「わかった。お前をこの生徒会メンバーに加えよう」


 そういうと國松さんも祝福してくれた。


「ようこそ、生徒会へ! 歓迎するよ。金山君」

「お前にはこれから我が生徒会の書記として働いてもらう。シンプルな仕事が多いが、責任感を持ってやらなければならない仕事ばかりだ。心しておけよ」

「はい! 頑張ります!」


 今日この日、金山剣人は生徒会に入った。

 

 全てはこの学園の本性を知るために……

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