第二話 春隣③

昇降口を出て那智と二人で歩きながら話していたが、門のところまで着く頃には話題も尽きてしまっていた。

いつもは那智のバスを待つために門の前で少し話すのだが、今日はすんなりと別れるように思われた。その時だった。


「花火大会って行く?」


那智がいきなり話を切り出した。私が周りを見回すと、今週末に行われる花火大会のポスターが目に入った。


「一緒に行く相手がいないんだよね」


本当は例年通り中学からの親友と行くつもりだったのだが、今年は彼氏と行くから、と断られてしまった。

花火大会に参加する理由が、花より団子ならぬ花火より屋台な、食い意地が張っている一方で人目を気にする私は是非参加したかったのだが、一人で行くのも躊躇われた。


「じゃあ、一緒に行かない?」


こうして私は、那智と花火大会に行くことになったのである。これが、後々の大惨事に繋がるとも知らずに・・・・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る