第17話 過虐③

「まずなぁ、お前、なんで自分がいじめられたかわかる?」

さっきとは別人の三島に戸惑う。

けどきっと私が何かのきっかけで怒らせてしまったんだと思った。だから、なるべく優しい声で答える。

「んと、ごめん、わかんないや」

「はは...わかんねぇの?お前がなんでいじめられてるか、それは俺がお前を気に食わないからだよ」

「え?」

「俺がお前を虐めるように仕向けたんだよ」

「ど....ういう.....こと?」

「俺、お前みたいな、人の目ばっか気にしてるやつ大嫌いなんだよ。しかも顔がいいからって偉そうにしやがって。勉強もスポーツなんも出来ねぇくせに調子乗んなよ?」

わかんない.....わかんないよ.....

「ほんっとお前きもいよな。だから、俺がクラスメート達に指示していじめを始めたの。俺ってさ、結構童顔だし親しみやすいんだよね。だからみんな自分の弱みとかすぐ言っちゃうの。バカだよなぁほんと。」

わかんない....わかんない.....


「わかんないよ!!!!」


「は?何が?」

「私のこと、好きじゃなかったの?」

「そんなの嘘に決まってんじゃん。でも、お前、顔とスタイルだけはいいから、俺の奴隷になれよ。優しくしてやるから」

違う。こんなの違う。私はこんな人知らない

「あなたは三島君じゃない。三島君はどこ!?返して!返してよぉ」


「俺は、三島 景だが。とゆうかお前、みんないじめている中俺だけがお前に話しかけても周りから何も言われなかったことを不自然に感じなかったのか?」


「あっ.....」

言われてみればそうだ。三島はみんなから好かれているから。そんな単純なことなはずが無い。

「なんで.....なんでぇ..........」

このいじめの黒幕を三島にすると辻褄が合うことが沢山あった。

きっと三島が私をはめていたんだろう。

涙が止まらなかった。

「あーあ、もう全部話しちまった。つまんねぇの。」

と三島は公園を出ようと私とすれ違う。

そしてすれ違いざまに


「明日から覚悟しとけよ」


そうはっきりと聞こえた。


────────────────────


次の日から本格的ないじめが始まった。いや、今までのはいじめなんてものじゃなかったんだろう。水をかけられたりとにかくここでは言えないような、いじめに関連するもの、ほとんどをやられた。


いつも三島が指揮をとっていた。


でももうあまりあの頃のことは覚えていない。人間、本当に嫌な記憶は脳が忘れようとするのかもしれない。

ただ、最後にレイプ紛いのことをされそうになって必死になって家に帰ったことは覚えている。未遂に終わったが。

そしてその日から、学校には行かなくなり、自分の悪い所を徹底的に見直していった。


そして、辿り着いた結論は『学校のなかで一番の存在になる』というものだった。私は何もかも中途半端過ぎたのだ。そんな私だからこそ、いじめられた。

曖昧な定義ではあるが、私には確固たる一番の理想像があった。


どんな手を使ってでも1番になる。そう思って臨生学園高校に入学し、努力した。









だが、この少女は、自分が秋咲にしようとしたことが三島が自分にした事と同じであることをまだ気づいていない。


────────────────────



こんにちは。嵩いの李です。皆さん、いつも読んでくださって、本当にありがとうございます。

レビューやいいね、コメントして下さりますと、とても喜びますし、モチベーションがすごく上がります。特にレビューして下さるとすごくハイテンションになって裸で踊り狂います。質問等もお待ちしております。

毎日投稿を心がけておりますが、嵩いの李は現役高校三年生受験生なので、やむを得ず投稿できない日もあります。何卒、御理解お願いします。

これからも『ラブコメ主人公は爪隠す』をよろしくお願いします。

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