番外編 if 鈴奈と雪

一部次回のストーリーに沿ってますがネタです(*/□\*)

――――――――――――――――――――

早朝に蓮と公園で会っていつの間にか寝て

て目が覚めたら自分の部屋のベッドだった。

物凄く悔しかった。

寝てる間に見た夢だったけど蓮を押し倒して蓮も目を瞑って待ってくれててもう少しでキスできそうだったんだから。


したい気持ちはあるけど、蓮に恋愛感情がないし、まだ駄目って気持ちと恥ずかしいって気持ちで逃げそう。


だからって現実の方は逃げるつもりはない。

恋愛感情持たせて私に惚れてもらって付き合って―――


「新郎、あなたはここにいる新婦を、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?」


「誓います」


「新婦、あなたはここにいる新郎を、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓いますか?」


「はい、誓います」


「では、誓いのキスを―――」



えへへ、えへへへ。飛躍しすぎだよねぇ。大学行って同棲生活もしてみたいし…


「ひゃわ!」


「おかえり雪ちゃん」


「びっくりしたぁ。水樹さん背中に氷を入れないでくださいよ」


「いやぁだって呼び掛けても全然反応ないからさ、妄想の中にいるなと思ってどう引き戻そうか考えてたらニヤニヤしだしたから」


「それで氷入れるのが良くわかりません」


そう返すと水樹さんはクスクスと笑う。凄い楽しそうに。

今私は早朝の分を、ううん、それ以上を取ろうと思って春咲家に訪れた。

普段なら二階のすぐ隣が蓮の部屋だからそこから入るんだけど、あ、部屋から直接行くのは蓮が部屋にいるときだけだよ。


でも、蓮はいなかった。

一階にいるのかと思って普通に玄関から尋ねた。

でも蓮はでかけたらしくていなかった。

だから帰ることにしたわけだけど水樹さんが「せっかく来たんだからお茶くらい飲んでいったら」って言ってくれたから、お言葉に甘えて、今リビングでお茶をいただいているってわけ。


「水樹さん、蓮が何処に行ったか本当に知らないの?」


「ほんとぉに知らない。その時掃除してたからね、聞きそびれたのよ。気を使って、いってきますだけ言って行っちゃった。もぉ!私の子なのにしっかりしてるよ本当にぃ~」


「そ、そうですか」


本当に水樹さんの親バカ発言はいつくるか分からないから困る。

でも、そっか。

まあ、普通に聞けば蓮なら教えてくれるかもしれない…けど、蓮だって一人になりたいときくらいある。

でも、昨日告白してから蓮への気持ちが抑えられないくて今凄く会いたくて仕方がない。

恋敵だけどそれ以前に親友である江菜に聞いてみよっかな。

今は蓮の彼女だし一緒にいる可能性は高い。私はとりあえず聞いてみることにした――



《雪》ねぇ江菜。蓮何処に行ったか知らない

。水樹さんに聞いても行き先知らないって。

困りスタンプ


《江菜》ええ、知ってます。

ドヤ顔スタンプ―――


ここにきて簡単に教えてくれるかちょっと不安になってメッセージを返すのを忘れていた時、一枚の写真が送られてきた。

その写真は私が目を見開くものがあった。


「うにゃああああ!」


「雪ちゃん!どうしたの!?」


「私もしたい~」


「?ちょっと見て良いかな?」


私は画面を水樹さんの方に向けて写真を見せた。


「ほぉ、蓮地やるねぇ」


何か感心してるよ。

私は羨ましい。

その写真は蓮と江菜がほぼゼロ距離でお互いが飲み物をシェアしてるものだった。

伝わるか分からないけど威嚇の意味を込めてメッセージを飛ばした。―――


《雪》うにゃああああ!江菜今何処なの?

行って私も交ざるぅぅぅ。



《江菜》教えろと言われて教える人はいないわ雪。

ドヤ顔スタンプ2


《雪》絶対探してやるぅぅぅ!鈴奈と協力して行ってやる!


《江菜》気を付けて来てくださいね―――


その余裕直ぐに無くさせてやるから。


◇◇◇


雪がまず向かったのは二階にいるはずの鈴奈の部屋。

階段をドタドタと音を出して駆け上る。

鈴奈のようなドジは踏まずに上り終えて迷いなく鈴奈の部屋の前まで到着し、バンッと勢いよく扉を開けた。


その直前まで気持ち良く寝ていた鈴奈はその音にビクッと反射的に反応して何事かと思って飛び起きた。


「雪さん!?な、何ですか?」


「鈴奈、蓮と江菜探すよ」


「どういう事ですか?まさか、お兄ちゃんと江菜さんに何かあったの!?」


何かを雪の雰囲気で察した鈴奈は体を起こして聞いた。

雪は説明として先程の写真を鈴奈に見せた。


「ふやぁぁぁぁぁぁ!」


雪と同じ反応だった。

しかし、それだけだった。


「分かったよね鈴奈。さぁ行くよ。負けてられないからね」


「…え?…私は行きませんよ。なので頑張ってください」


何処と無く素っ気ない態度な鈴奈はベッドにうつ伏せになってベッドの小さな棚に立て掛けている小説を手にとって読み始めた。


鈴奈ならばあんな写真を見せられれば嫉妬して即座に行こうと言い出すと予想していた。

だが、予想とは違い鈴奈は驚く反応を見せはしたがそのあとはどうでも良いみたいな対応に雪は棒立ちを余儀無くすることになった。


「え!鈴奈本当に行かなくて良いの?」


「はい。お兄ちゃん達は一応恋人同士ですよ。驚きはしましたけど。それにあれくらいやらないとお兄ちゃんの恋愛感情生まれないと思いますし」


「でも、この間のデートは追跡したんでしょ?」


「あれは江菜さんがお兄ちゃんと付き合うに足り得るかどうか確かめるために追跡しただけ…時々羨ましいとは思ったけど」


「最後なんて言ったの?」


「あの日まともに出来なかったから行かせてあげたいって言ったんです!」


「そ、そうだね。うん…確かに」


必死すぎる言い方だったが、鈴奈の言葉に納得し、探しに行くことをやめることにした雪は鈴奈の部屋の本棚から一冊の漫画を手に取りベッドにもたれかかった。


「あの何で部屋から出ずくつろいでるんですか?」


鈴奈は明らかに部屋からでてほしいという嫌そうな表情で雪を見ている。


「暇だからだよ」


「だからって私の部屋で漫画とってくつろがないでください」


「ふぅん、じゃあ蓮の部屋に行って漫画借りて部屋でくつろぐ…」


態とらしい言い方で部屋を後にしようと雪は立ち上る。それを阻止しようと鈴奈は雪の服を掴んだ。


「分かりました、私の部屋でくつろいでください」


態と口に出して部屋に留まる事を許可させようとしているのは鈴奈も分かっていた。

告白する前の雪なら何も言わず部屋に行くことを鈴奈は許しただろう。

だが、雪は告白して箍が外れたように先程蓮地と江菜のデートに交ざろうとした程だ。

今の雪を部屋に入れれば何をするか分からない。そう思い鈴奈は雪を自分の部屋に滞在させる事にした。

せざる終えなかった。


それから暫く部屋の主である鈴奈はベッドの上で、雪はベッドにもたれかかって、特にお互い何を話す事もなく漫画を読んでいた。

だが、そんな沈黙の空間は長く続かないものだ。


「……………雪さん、何か話してください」


そんな沈黙に先にしびれを切らして口を開いたのは鈴奈だった。


「うーん……鈴奈の漫画って兄妹物だと思ってたけど以外にジャンル豊富だよね」


「他の兄妹に興味がないので」


嘘である。兄妹物のストーリーは物凄く好物だ。

兄妹物の漫画に小説、特にアニメはDVDにダビング、購入するほどに全般好きである。

只、見る度、読む度に羨ましく、恨めしく、思う場面があると実行したくなるのだそうだ。


朝抱きついて服を着ていない件(嘘)、実はベッドで寝ている間に読んだ漫画に描かれてあったものだったりする。


では、その兄妹モノの実物は何処にあるのかというと、ベッドの下に組み立て式の収納箱が二つ備わっており、片方の収納箱は外出着、もう片方は部屋着がしまっている。


どちらも一見何の変哲もない服のしまってある収納箱だが、実は普段は見えない奥の部分に(家族ですら知らない)秘密の収納スペースが作られている。収納幅を狭くして、上に薄い下地用の板をはめ込んでいて、自分の方へスライドさせると秘密スペースが開く仕組みになっている。

そこに兄妹恋愛物の漫画、小説、アニメが収められているのだ。


只、読むときは大抵兄成分が足りないときでなのだ。

今日は朝に十分抱きついたらしいので今読んでいるのは表にでている漫画だ。


「…話題が一瞬で消えましたけど、他に話題無いんですか?」


「消したの鈴奈だよね!!……蓮、今江菜と何してるんだろう」


「………少なくともイチャイチャしてはいないですね」


「相手はあの蓮だからね。あの写真もあっさり了承してるんだろうし。楽しくはやってるんだろうなぁ」


「…でも羨ましいです」


この時鈴奈は、まだ日程は決まっていないが、昨日の約束で二人きりで何処かに遊びに行く時、思う存分甘えようと決めた。


「やっぱり探し行く?」


「いえ、このままで。…でも、」


「でも?」


「あ、……いえ何でも」


「無理だよ気になったから。教えて」


「何でも口に出すのはよくないと思いますけど」


「…じゃあ、私の口を止めてみなよ」


雪は本を置くと鈴奈にのそりのそりと近づいていく。

鈴奈は後退っていく。

直ぐに壁まで追い詰められ逃げ場がない鈴奈を雪はホールドして、鈴奈をくすぐり始めた。


「あひゃ!そこは…あは、あはは…やめ、て……くすぐっ…たはははは――!」


「ほれほれ、早く言わないと永遠くすぐりの刑だぞ」


「うう…べ…別に…た、たい、したこと…は!…あは…わ、私だって」


鈴奈は目の前に見えた雪の耳を反撃のチャンスと思い、なぞるように舐めた。


「ひゃ!そこ、駄目……耳は…」


体をビクッとさせてくすぐりが止まった。

その間に鈴奈は耳をなぞり舐めたり、ペロッとしたりしながら、背筋をスーッと下から上へ絶妙な力加減でなぞる。


堪えようと雪は体を縮こませるが、堪えきれずに体がビクッビクッと痙攣するように反応した。


「あ…ん…!」


そして、堪えきれずに雪は変な声を洩らしまった。

同時に、鈴奈に変なスイッチが入った。


「はぁ…はぁ…もう、鈴奈…やめて、耳と背筋が弱い…か、ら」


雪は鈴奈が恍惚とした表情で自分を見ていることに気付いた瞬間、寒気がした。


「雪さん」


「な、何?…ふぁ…ぁ」


「ふふ、いつも元気100パーな雪さんの意外な面、発見」


「ちょっ…~~~~っ!!」


「ここはどうですか?」


「あ…や…~っ!…ら、らめてぇ~しゅじゅなぁ」


「ふふ、無理です…何か今雪さんを弄りたくて仕方ないんです」


「そ、あん」


「ヤバい癖になりそうです!」


雪が鈴奈から解放されたのはそれから3時間後だったらしい。

同時に、鈴奈は何かに完全に目覚めたそうだ。

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