第9話 対面!彼女と妹

 休憩を兼ねてモール内のデセールという喫茶店に入りました。


「いらっしゃいませ。お二人様でしょうか?」


 丁寧に頭を下げるウェイターさんに席まで案内されながら店内を見渡すとお客の方の殆どが女性の方でした。


 店内からはクラシック音楽が流れていて落ち着いた雰囲気のある内装です。

 案内された席に着くと蓮地さんは直ぐにメニュー表を開きました。

 メニューには色とりどりのスイーツ名と写真が付けられていました。

 暫く迷った中で、私はオペラに決めました。

 蓮地さんはメニューを呪文のように唱えながら悩んでいます。


「江菜さん決まりました?」


「はい」


 蓮地さんはウェイターの方を呼び、ピーチ・メルバとフレーバーティーの桃を選びました。

 私はチョコレートケーキ系に緑茶や抹茶が合うとウェイターさんに勧められたので抹茶にしました。


「お待たせいたしました。ピーチ・メルバと桃のフレーバーティー、オペラと抹茶になります」


 早速一口いただくとオペラのチョコレートはテンパリングがよくて滑らかな舌触りで抹茶とも合い美味しいです。

 これは是非食べていただきたいです。


「蓮地さん一口いかがですか?」


「いただきます」


「では、あーん」


「あー、ん?江菜さん?」


 ……不服です。

 一切恥じらいがなくて不服です。

 恋心を抱いた時、恥ずかしがってくださるのでしょうか。


「…少しくらい恥ずかしがってもバチは当たりませんのに」


「あぁ、その……すいません」


 つい口に出てしまいました。

 ですが、抵抗皆無、羞恥皆無の蓮地さんがいけないのですよ。


「いつか、恥ずかしがっていただきますよ」


「あはは…」


「えい!」


「む!…美味しいです」


 喜んでいただけて何よりです。

 …何か、私が作った感のあるセリフですね。


「お返しにあーんを」


「あ、えっと私は…」


 チラッと向けてしまった先はメルバが乗ったスプーン。そして、それは先程蓮地さんが口にされていたもの。蓮地さん、視線を辿り察しました。

 それより辿らないでください。


「間接ですか?」


「もうそこはキスまで言ってくださった方が楽です」


「僕には無理矢理しておいて江菜さんは間接某で駄目なんですか?」


「意地悪」


「すいません。あーん」


「あ、あーん」


 桃の自然な甘味と香り、木苺のピュレの酸味が優しくてフレーバーティーも良く合い美味しかったです。



 さて、食べ終わりましたしそろそろ


「蓮地さん、その、お手洗いに」


「はい、気を付けてくださいね」


「はい」


 一度店内を後にして駅前から感じていた視線と気配の方に呼びかけました。


「どなたか存じませんが、後を追うのは終わりにしましょう」


「……気づいてたんですか?」


 見た目は中学生程の金髪の女の子。金髪ほ女の子は手を頭に乗せて髪を握ると髪がスルッと落ちて出てきたのは見覚えのある黒髪。


「鈴奈さん」


 金髪は似合わないと思います。


 ◇◇◇


 ほんの少し前


「いやぁお二人さん楽しそうだねぇ」


「ねぇきーちゃん楽しんでない?」


 わたしは今お兄ちゃんと葉上さんのデートをきーちゃんと離れた席に座って監視している最中。

 見える場所に座れたのは幸運。

 お兄ちゃん美味しいそうにスイーツを堪能してる。


「わぉ。彼女さん大胆。にしてもあーんに抵抗一切ないねお兄さん」


 それはまあ時々私があーんってしてるからね。ちゃんと成果は出てるわけだ。

 あれ?あっ、ああああああ!今更だ!そういえばお兄ちゃん最近私にも抵抗を見せてない。


「…なーちゃんどうしたの?」


「何でも…あっ、お兄ちゃんにあーんを。私まだなのに〜」


 まざりたい…けど、お兄ちゃんに嫌われることなくても兄離れ期間延期が怖い。

 ここは我慢。


「意外。なーちゃん、ねだりまくってると思ってたけど」


「ねだりまくっても困らせるだけだもん。一回したらやめられないだろうし」


「これからも忍耐せよ。それにしてもこういうのなんか探偵みたいで楽しい。真実はいつでも一つ」


 こういう気楽さで適当に見えるけど結構真面目なきーちゃん。実はそれで女の子にモテててる。

 何故なら女子中だから。


「本当にきーちゃんはいつもポジティブ精神マックスだね」


「なーちゃんに楽しもうぜとは言わないけどせめて気楽に見た方が二人を視野を広して見れるかもよ」


 きーちゃんの言ったことは当たらずも遠からずで、的を射ていると思った。

 確かに付き合いを認めないの一点張りで視野を狭めていたかもしれないと冷静になった。

お兄ちゃんも楽しくやってる。

 でも、もし雪さんが葉上さんと同じ事を考えて付き合うとなってたとしてもこうはいかなかったかもと不思議とそう思った。


「きーちゃん」


「何?」


「何か頼もうよ。見てたらお腹空いてきちゃった」


 お兄ちゃんも江菜さんも、そして周りの人のスイーツどれも見た目が綺麗で美味しそうで勿体ない。

 食べてみたい。でも、頼もうと思ってもここどれも値段が高い。帰るのを考えると、飲み物を頼むくらいのお金しか今ない。使ったら帰れなくなる。


「私は飲み物だけでいい」


「奢るぜ。実は昼用にママがお金くれたんだよ」


 ちょっとここに悪い子がいますよぉ。

 でもでも、スイーツ食べたい。


 けど、きーちゃんのお母さんに悪いし二人の事も見ておかないといけないし。

 と悩んでいる時


「なーちゃん!彼女さん出てくよ」


「え?」


 パッと振り返ると江菜さんが店から出ていった。

 二人になるチャンスを伺っていた私はきーちゃんにお兄ちゃんの方を任せて店内を出て人混みに紛れながら江菜さんをと思ったら

 後をつけたいた事は江菜さんにバレていたので素直に被ってたカツラを取った。

 少し戸惑う表情を見せたけどそれ以上は何もなかった。


「鈴奈さん」


「何ですか」


「金髪は似合いませんよ」


「これはただの変装です!」


 真面目に言ってくると思ったら似合わないと言われた。

 少しムカついたけど今はどうでもいい事だ。


「場所、移動しませんか」


「わかりました」


 何故と疑問に思うこともなく江菜さんはついてくる。

 状況と場面的に話があるという事に気がついたもおかしくない。

 そして、私達は喫茶店の直ぐ隣にあるフードコートエリアにある席につきました。


「お話があるんですよね」


「…江菜さん、本当にお兄ちゃんが好きなんですよね」


「好きですよ」


「本当に?」


「本当です」


「でも私には江菜さんが乗っていた車が引きそうになった猫を助けたという間接的な事だけで惚れるとは思えません」


「そうですね。そう感じてもおかしくありません。……私自身そう思っていました」


 でないと中学の時、お兄ちゃんの行動を知ろうとなんてしない。

 お兄ちゃんが恋愛相談をしていた事は私も知ってた。知った時は凄いって思ったし人の恋を助ける事を三年間ずっとやってる理由を私は誤解を少してたけど。

 自分の恋愛だけ絶食な事も知ってた。


「自分の恋愛に興味がない。そんな事を告げられたら諦める人の方が多いはずです。でも江菜さんは受け入れた。それが疑問でならないんです」


 もし私が何も知らずに好きだと言ったあと恋愛に興味がないなんて言われたら「君に興味がない」と言われてる気がして折れてしまうかもしれない。

 だから聞きたいことを言った。

 遠回しにするのは苦手な方だと思う。それにストレートに言った方が得策だと思ったから。


「私は蓮地さんが好きです。まだ私の事を異性としては見てくれていないのも百も承知です。この恋はきっと楽しいことばかりではありません。苦しい時もあると思います。そして、恐らく私よりも蓮地さんの方が一番ご理解していることかと思います」


 答えとは少しずれた話だけど。お兄ちゃんだから私も受け入れられた。他の人ならこうはいかないと思う。そも一ミリも無いけどね。

 だから覚悟の伝わってくる言葉がそういうことを聞きたいのではないと言葉を詰まらせ反論させない。

 だから少し質問を変えた。


「もし、このままお兄ちゃんに恋愛感情がうまれなかったら」


 正直少し意地の悪い事を言ってる。けど、それだけの覚悟か知りたい。


「諦めません」


「ならと言われたら」


 そこで諦めればその程度、諦めなくとも茨の道。

 でも諦めるという選択肢はお兄ちゃんには多分ない。だって


「仰られませんよ」


「なぜですか?」


「それは鈴奈さんもわかっているのでは?」


 そう。お兄ちゃんは恋愛相談を諦めたことはないはず。見てきた訳じゃないけど恋愛相談中の時に家に帰宅するお兄ちゃんの表情は嬉しそう。

 悲しくする顔も何度かあったけど、死んだような目を見たことがないから諦めたことはないはず諦めたなら次はしないと思うし今こうしてこの人と付き合う事をしなかったと思う。

 この人はそれを理解して信用してるということだ。


 でもさっきまで動揺が無い声色は口を開いた時揺らがないと思っていた瞳と共に細くなっていく。

 悟った。次に話す事は惚れた理由の中で重要な私が知りたい部分の本質だと。


「宣言もしました。それに蓮地さんに告げたいことがいえ告げなければならないことがあるのです。

 それについて鈴奈さんにも謝罪しなければなりません。私は―」


 知りたいことだったはずの答えではあった。けどそれは衝撃的で、忘れようと思ってもお兄ちゃん達の関係が続いている間は忘れられないと悟った。

 お兄ちゃんでも教えるつもりは元々無かったけどこれは教えられる事じゃない。

 これは江菜さんから言わなければいけないものだ。


「…一応納得はします。ただし、お兄ちゃんを本当に苦しめるような時があれば私は許しません」


「分かってます。それにしても鈴奈さんは本当に蓮地が好きなんですね」


「と、当然です」


 泣きながら何を今更な事を。


 私はどうすればいいか分からなくなった。

 でも、今は見守るしかできないのかもしれないことだけは分かる。

 だからといってお兄ちゃんとの距離は変えないのが妹。


 でもまだまだお兄ちゃんの気持ちは私の方が分かってる事が判明する事になる。

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