LEVIATHAN~Sodalis~

黄帝

8月X日

本文

 喪くしてから気付いた

 つまらない大切な日々



 いつもどおり気怠い、午後最初の授業。

 「・・・の記述を通して絶対王政を支持したのに対し・・・」


 眠い・・・

 昼休み明けはいつもこうだ。

 授業には何の興味もない。

 でも、必修だし、出席にうるさいし、いつも出るには出ていても座って過ごしているだけ。


 「・・・を発表することで、民衆には抵抗権が・・・」

 「・・・」

 黒板の上にある時計を見る。

 授業が終わるまで、まだあと10分以上ある。


 「・・・」

 右に視線を逸らして、窓の外を見るとトラックを走る人達の姿があった。

 一番暑い時間だというのに大変だ。

 座ってボーっとできるだけ、体育の授業より楽なのだろう。


 「・・・」

 窓と反対側に視線を動かすと、同じように気の抜けた様子の顔がいくつも目に入ってきた。

 首がガクンと傾いてハッとする人さえいる。


 顔を真っ直ぐに戻して、黒板を見るようにしながら、実はどこも見ないようにしていたら、また意識が飛び飛びになっていく。

 眠い・・・


 「!」

 覚めると同時に瞼が開く。

 遠くに白っぽく薄ぼんやりとした壁みたいなものが見える。


 ここは・・・

 一瞬混乱し、すぐに気付く。

 昨日眠る前に見たのと同じ、コンクリートの天井だ。


 気怠い授業という何でもない日常だったものは、夢。

 毎日コンクリートの天井という目の前の異常な景色は、現実。

 今は明け方前くらい?


 でも時計は見ない。

 どうせ朝が来たところで、平凡な日は始まったりしない。


 もう何人がいなくなっただろう・・・

 一度開いた瞼をもう一度閉じる。


 そして冀う。

 せめて夢でまた、あんなつまらない日に・・・

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