〘最高出力設定〙(Nooooo‼)ダメ×人×間×コン×テス×ト×V★2×to the Triu3ph

gaction9969

最終章:ダメ息の花だけ束ねた風景

#082:懊悩かっ(あるいは、木星旅団/ワカクサイト/999.999)

「……これまでに行われたって言ってもぉん、二回しかないんだけどぉ……試合傾向としては、次の『第二戦』は、『格闘』がフィーチャーされることとなると思われるわぁん」


 機械を介してさえも、粘り絡みついてくるようなその声色は、相対する私の顔面を遠慮なくなぶってくるのだけれど。


 「格闘」。久しく忘れていたその要素に、ああ、そう言や、予選はそればっかりっちゃあばっかりだった、と私は遥か昔のことにも思えるあの乱痴気を思い出して、それだけで胸焼けしそうになる。


 その反動か揺り戻しかは知らないけれど、さっきの「決勝第一戦」はオーソドックスなDEPの撃ち合いに終始したわけで、何だろう、この極端さは。


「『ダメと格闘の融合』。それが運営の目指すとこらしぃんだけどぉ、まあ、まだその二つの要素を絡ませるってとこまでは至ってないのよねぇん。つまりまだ試行錯誤状態の中で、この『女流謳将おうしょう戦』は行われているってわけよぉん」


 私としては、双方無理にくっつけようとすることの意味が未だにわかんないんだけど。


 それよりも、これまでの事を思い出したら、急激に体と脳に疲れがめしり、と巻き付くように襲ってきたので、私はベッドの上で上体をそらしつつ、両腕を後ろに回して突っ張り、うん、と首回りと肩甲骨をほぐしてみる。


「だが、そこに起こったあの『内乱』だ。『正規元老』……と称するが、主催者の初摩ハツマ アヤは今頃泡食ってるだろう。よって次戦……大枠をひっくり返すことは無いだろうが、何らか自分たちに有利と思われる細かい仕掛けを打ってくることは間違いないはず」


 優雅にその細い腕を組みながら、カワミナミ君がそう、私にその流麗な顔を向けて来る。


 まあ、私らがあれこれ考えてみても詮無いことなのだろう。それよりも私の体が今日一日のはっちゃきめっちゃきで大分ガタが来ていることの方が問題だ。


 おまけに頼みの綱の「リボルビック=チャネラー」(技名)も、もうリスク高すぎる代物ということが薄々判明してしまったわけで。


 さっきの「エウロパⅩⅡトゥエルブ」は論外として……いや、あんな虚言製造マシーン、次出てきたらほんと終わるし。でも他の面子も……ねぇ。


 「ガニメデⅩⅧエイティーン」の傲岸不遜唯我独立って感じも、「カリストⅩⅩⅣテニフォー」の私リアル充実してますよ的な古いタイプのキャリアくささも、あまりギャラリーに刺さってた感は無かった。勢いで行った、ウケた、みたいなとこがある。


 じゃあ天才子役ょぅι゛ょワカコちゃんこと「イオシックス」に頑張ってもらおうかとも思うけど、制御できないほどの天真爛漫さを出されたら、逆に収拾が難しそう。


 となると、残るは「今」の私を含む、「アマルテアⅩⅩⅩサーリィ」「ヒマリアⅩⅩⅩⅥサリセクス」のお姉さま方に頼るしかない? でもそれって素の私と同じか、かなりの近さでない? 爆裂DEPが撃てるかは、自信ない。


 というかこれらの名前必要だったかな? 逆に言いづらいことを今になって感じる。いや今更。


 いやいや。


 そんな感じで上滑る思考に浸りながら、ジョリさんとカワミナミ君のやり取りを鼓膜一重で聞き流している私だが。


 ……何とか「内乱」とやらに乗じて、傍観者的なスタンスでしれーっと勝ち進むことは出来ないもんか、そんな他力思考に陥りかけている。

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