第6話0006★黒き鼠の王は決断する



 ほんに、平和的に話し合いで欲しかったのだがなぁ………


 このままでは、飛翔族の姫を手に入れることはかなわぬ


 あの頑固者の鳳皇ほうおうラー・シン・ビャクレイ相手では

 穏便な婚姻でその血筋を手にするのは

 無理だと判った


 だから、もうこの方法では諦めよう


 やはり我には、戦で手に入れる方が合っている


 あの国の者達が、全て欲の薄い

 お前達王族や貴族達ばかりではない

 というコトを、その身で知るがよいわ


 くっくくくく………知らぬなら知らしめてやろう

 そう、どんなに高潔な種族にでも

 欲の深い者達は居るのだというコトを………


 茶色の羽を持つ商人達ならば

 我の囁きに引っ掛かるだろう


 飛翔族の王侯貴族を含む全てを捕らえたなら


 王族や上位貴族の姫は

 我や我の息子達に与えよう


 そして、我に忠実な王族や神官達には

 下級貴族の姫を分け与えるか…………


 武功を立てた者には

 その褒美として

 茶色い羽根の一族の女達を与えよう


 飛翔族の者は

 あの茶色い羽根の商人達でさえ


 我らよりも遥かに長い寿命と

 《魔力》を持つのだから…………


 あの国の領土は、王家の直轄地にして

 この大陸中に覇を唱えん


 さて、どのように、あやつら………

 茶色い羽根の商人どもを

 たきつけようか…………


 くっくくくく…………

 ゆるりと陥落の時を楽しもうぞ

 

 やっとの思いで、ジャアハード・ムハーリ・ハーリィア黒き鼠の王を追い返した、鳳皇ほうおうラー・シン・ビャクレイは、ただただ、迷惑だと思っていた。


 その国王ジャアハード・ムハーリ・ハーリィア黒き鼠の王が、茶羽根族(ちゃばねぞく)を甘言でもって篭絡し、侵略してくるとは、夢にも思っていなかった。



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