第33話 天国と地獄
次の日の朝、俺とセレスが集合場所の駅に着くと、既に
「どうもおはようございまーす!!」
セレスの存在に気づいた
……完全に浮かれているな、あれは。
「前にお会いした時も思ったんですけど、セレスさんって凄いオシャレですよね~」
「ありがとうございます。ですが、前の服も今の服もマサヤのお母様が買って下さったんですよ」
「へえー、そうなんですか」
「なんでも、この上着はカシュクールブラウスと呼ぶらしいですよ」
「……はあー、なるほどー」
電車で移動している最中も、
その図太さにちょっと感心したが、目的の駅に到着したのにも気づいていなかったから、セレスとの会話に浮かれていて周りの状況が見えなかっただけかもしれない。
× × ×
練習場所に到着すると、
「結構歩いたけど、こんな所で練習してたのか」
「そりゃ、人目につきたくなかったからな」
「まあそうだよな。……にしても結構荒れてるな」
「そりゃ練習してる時に色々あったからな……」
土壁には走った時にぶつかってできた人型の穴があちこちにあるし、必殺シュートの余波で地面が荒れていて、おまけにクレーターまである始末。せめてこれ以上は被害を広げないようにしよう……。
昨日までの練習では流れ弾がセレスに当たらないようにするため、セレスにはシールドの外にいてもらった。
今となってはその心配も無くなったので、今日はセレスもシールドの中に入ってもらうつもりだ。というか、セレスがいないと心配でならないことが……。
「セレス、
もちろんセレスが
「ええ、防御魔法が効いていますし、仮に怪我を負っても即死さえしなければ私が回復魔法を掛けて完全に治しますので」
「じゃあ聞くけど、即死する可能性は本当に無いんだよな?」
「はい、私の見立てでは大丈夫なはずです」
何故だろう、防御魔法での実績がちゃんとあるのに、セレスの見立てが不安でならない。
「大丈夫だから心配すんなって! それよりもまずはどうするんだ?」
セレスに良いところを見せたいのか、危機感もなく楽観的な発言をする
「最初は安全のためにできるだけ距離を取ってから練習して、問題なければ少しずつ近づいていこう。じゃあセレス、シールドを頼むよ。……できるだけ広めで」
いくら回復できるといっても、
× × ×
「なあ、いくら何でも間隔を開け過ぎじゃないのか?」
「エネルギー光線に当たると、ダメージがシャレにならないんだよ。だから最初は慎重に行きたいんだ」
現在、俺と
昨日はこれより短い距離でも普通の威力にできたのだが、いざ人に向けて投げるとなるとプレッシャーでどうしても及び腰になった。
「じゃ、じゃあ、いくぞ」
緊張しながらも全力でボールを投げると、平凡な勢いでボールが飛んでいき
よし、ひとまず上手くいったな。
俺は少し安心してホッと息をつく。
「……? 心配そうに言うから身構えてたけど、別にどうってことないじゃないか」
「そう見えるように練習したからな。できるようになるまで本当に苦労したんだぜ」
とはいえ
少し自信が付いたがまだ油断はできない。距離はそのままにして何度か同様にボールを投げてみる。
「なあ、いいかげん距離を詰めてもいいんじゃないか? これだけやって何ともないんだから、もう大丈夫だろ」
「確かにな。じゃあ、少し前に出るから」
距離が縮んで少し不安になったが、シュートは無事に成功した。
「全然問題ないじゃねえか! 今度はもっと距離を詰めようぜ」
「ちょ、ちょっと待て。もう1回試してからにしてくれ」
用心のために距離を縮めないでボールを投げたのだが――。
「こんな調子でやってたら日が暮れちまうだろ!!」
「
いきなり
「ほら!! こうしても何とも……ぎゃあーーーー!!!!」
「か、
ボールを取ろうとした瞬間、ドゴォと鈍い音が上がり悲鳴と共に
「カ、カズキさーーん!!」
慌てたセレスが
え? ちょっと待て。セレスが集中を解いたら……。
「あーー!! シールドがーーーー!!!!」
セレスが集中を解いたことでシールドが消えてしまい、
お、おい。あの高さから地面にぶつかったら無事じゃ済まないんじゃないのか!?
「セ、セレス。何とか
「い、いえ、防御魔法は重ね掛けをしても持続時間が延びるだけなんです! ど、どうしたら……」
俺とセレスがオロオロしている間にも、
こうなったら俺が受けとめる……でも野球のフライボールだってまともに捕れる自信が無いのにできるのか!?
そ、そうだ!!
「
叫びながら
地面まであと数メートルのところで
「ぐえっ!!」
俺のみぞおちに
いてて……これは地面にぶつかるよりも本当にマシになったんだろうか。
そうだ、肝心の
「
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