第6話 ひのきのぼう

 俺は武器屋で店主に衝撃の一言を告げられていた。


 「いやあカジノで大儲けだそうで、しかし残念ながら武器はすべて売り切れでございまして、残っているのはひのきのぼうだけですね」


 ひのきのぼうとか某国民RPGの最初の武器じゃねーか。最弱って聞いたぞこら。


 「それ以外ないの?」


 「ないんです。すみません」


 俺は失望した。思わず膝から下が崩れ落ちた。


 『ひのきのぼう、ナイトさん(笑)にお似合いですよ。買ってみたらいいじゃないですか』


 くそ馬鹿にしやがって。もういいこの際ひのきのぼうで冒険してやる。


 「いくらだ?」


 「100ゴールドです」


 安っ⁉ 100円かよ。100円の武器が役に立つとは思えないんだが。ついでに消費税存在しないのかな? ラックスキル999だから存在しないし安いのかな?


 「買うわ」


 「お買い上げありがとうございます」


 こうして俺はひのきのぼうを手に入れた。


 試しにひのきのぼうで床を殴ってみたら、ひのきのぼうは折れなかった。まあ床も無傷ですがね。


 これからどうしたらいい女神。


 『そうですね冒険者ギルドにでも行ってみればいいんじゃないですか。暇潰し程度に』


 モンスターとは戦いたくねえよ。怖いもん。


 『はあ~呆れたチキン野郎ですね。ローザちゃんが泣いてしまいますよ。ここは頑張るべきですよナイトさん(笑)』


 いきなりの悪口やめてくれない。心に深い深い傷をおったわ。チキン野郎なんて前世でも言われたことねえわ。


 「ローザ冒険者ギルド行ってみるか?」


 「ナイト様が行く場所に私も付いて行きます。全力でサポートさせてもらいます」


 おお女神と違い頼もしい。可愛いなローザは。いい子で誠実な美少女だ。


 こうして俺は冒険者ギルドに向かって歩みを進めた。レッツゴー。


 冒険者ギルドに到着すると人々で賑わっていた。


 おおこれがラノベやゲームなどでよく見る冒険者ギルドか。まさか現実に足を踏み入れることになるとは思わなかったな。


 「ようこそお客様、初見ですか?」


 「あ、ああ」


 「ではここの冒険者ギルドの説明を簡単にさせてもらいますね」


 冒険者ギルドで働いているバニーガール姿の巨乳の女性が説明してくれる。ローザよりややでかい胸だ。


 簡単に説明された俺は凡人の頭で何とか冒険者ギルドの仕組みを理解する。


 要約すると冒険者ギルドにはランク制らしい。


 Sランク

 Aランク

 Bランク

 Cランク

 Dランク

 Eランク

 Fランク


 七つの階級が存在する。ランクが上がるにつれ報酬も跳ね上がるようだ。


 『凡人のナイトさん(笑)にはFランクがおすすめですね。だってチート持ってないんですし』


 うるせえな分かってるよ。でもラックスキル999は凄いだろ。女神の手違いとはいえ俺の唯一無二の武器だぞ。


 『悔しいです。凡人のナイトさん(笑)にラックスキル999を与えてしまったことに。でもでも楽しそうなんでこれはこれでよしとします』


 諦め早⁉ お前本当に女神かよ。


 「ローザ受注してみたいクエストはあるか? あったら遠慮せず言ってくれ」


 「私はナイト様が選んだクエストなら何でも大丈夫です」


 ああ~癒される。なんて可愛い少女なんだローザは。じゃあ最初は薬草集めでも始めますか。


 こうして俺達は初めてのクエストFランク『薬草集め』を受注した。


 行くぞ薬草集めレッツゴー。

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