第4話 初ログインです。まずはシステム周りの確認ですよ。


「おぉ? 宿屋始まりなんだ?」


 ぐるりと見回すと年季の入った木造の部屋だとわかった。

 ベッドに横たわっていたらしく、上体を起こすとギシリと床が鳴った。


「窓際にベッドって不用心じゃない?」


 そんなことを口に出しつつ立ち上がる。

 ついでにいうと窓は曇りガラスが嵌っていた。

 引き戸タイプじゃなくて持ち上げて開けるタイプみたい。


「開けなくていいか」


 部屋にはこれといってめぼしいモノはなく、中央に四角いテーブルと椅子四脚。

 テーブルの上にランプが置いてあるけど、アルコールなのかガスなのかはわからん。

 他は衣装掛けの棒ぐらい。棚の類はなし。

 ベッドもとりあえず監察してみるけど、木製で綿が入ってる感じの敷き布団と薄い布の掛け布団があるだけ。


「で、私の格好は?」


 視線を下にずらせば、簡素な下着姿。

 ぽよん、むち、むちっとした体が目に入る。


「とりあえずなんか装備して、色々設定いじるか」


 椅子に座って視界の確認。

 視界の右下に歯車のアイコンが見えるからとりあえずタップ。

 システムウィンドウが無事開いた。

 ちゃんとログアウトも機能してるっぽいのでなにより。


 とにもかくにもゲームで最初にやることはこれと決まっている。

 システムウィンドウが表示されないとか事故以外のなにものでもないから。

 とりあえず確認できたのでシステムウィンドウは閉じる。


「ステータスオープン」


 このゲームは音声入力に対応しているのは確認済。

 目の前にステータスが表示されたホログラムウィンドウがちゃんと現れている。


 ―― キャラクター ―― ―――――――

|名前:エコ Lv:1  |武器:    |

|性別:女 種族:ドワーフ|―――――――

|種族特性:技工の遺伝子 |頭: 耳飾: |

|――――――――――――|胴: 耳飾: |

|HP:100 MP:10|腰: 腕飾: |

|ATK:10      |手: 腕飾: |

|MATK:10     |足: 首飾: |

|DEF:10      |―――――――

|MDEF:10     |頭: 貌:  |

|――――――――――――|胴: 腰:  |

|STR:1 VIT:1 |手: 足:  |

|INT:1 SPI:1 |下着:    |

|DEX:1 AGI:1 |肌着:    |

|――――――――――――|―――――――

|アビリティポイント:0 |スキル    |

|スキルポイント:0   |       |

|1000G       |       |

 ―――――――――――― ―――――――


「そっかーなんも装備してない状態かぁ」


 初期装備とかのゲーム開始時に付与されるアイテム群は全部インベントリに収納されているっぽい。

 ので、インベントリを確認。


「回復薬十個、ニュービーセーバー、襤褸の貫頭衣。以上? え? 少なくない? βテスト特典とかないの?」


 この時の私は気がつかなかったのだけれど、インベントリじゃなくてプレゼントボックスにちゃんと特典が振り込まれていた。

 気がついたのはホントだいぶ後だけれど。


「しゃぁない。とりあえず装備っと。あ、襤褸の貫頭衣って防具じゃなくてただの衣装アイテムなのね。肌着枠なんだ」


 ポチッと装備した私の姿は、どっかの浮浪児じみていた。


「これは・・・・・・近いうちに別の服が欲しい」


 灰色のでっかい布に頭を出す穴を開けて、腰の部分を紐で結んだだけという本当の意味での貫頭衣だったのだ。

 初期装備これは女の子としてちょっと勘弁して欲しい。

 脇からパンツ見えちゃうし。


「ニュービーセーバーはっと」


 どう見ても軍刀ですね。しかも打刀と太刀の間ぐらいの微妙な長さ。


「ま、私のスタイルは抜刀術じゃないし、いけるかな」


 それと、腰のベルトで固定するタイプじゃなくて鞘に肩掛け紐がついてるタイプだった。


「あとは~設定いじって~」


 ぱっぱといろんな項目をいじる。

 これをしとかないと後でトラブルとかに巻き込まれたりするからちゃんとやらにゃ。


「はい終了。クエストウィンドウとかないんかな」


 と口に出したらウィンドウが開いた。


「お、チュートリアルクエストあるじゃん。町のお店の店主さんの名前を尋ねよう? なるほど。導入としてはいいね」


 さて、この町はどんなかな?

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