第2話 なぜ気づかなかったんだ

「いらっしゃいませー、お預かり致します。」


「…またお越しくださいませ〜」



 ふぅ、やっと帰れる。僕は昨日新しくバイトを始めることを決心したが、いまだ進展はなく、今日もレジ打ちバイトを終えた。バイト終わりはもう覇気がない。新しいバイトを散々検索したが、見つからなかった。根性ない僕は、もうデイズニィーに行くのは無理かもしれないとあきらめ始めていた。本当に根性ないな、僕。


「夜食買って帰るか」


 スーパーでバイトしているため、帰りは大体スーパーで買い物して帰る。メロンパンとコーラにしようかな、早く帰ろう。夜の閑散期をむかえたレジでささっと会計を済ませ、出口に向かった。ダルそうに歩く、僕。


「お金、欲しいなあ〜…」


 はぁーっとため息をつきながら、肩を落とす。バイトの疲れもあって完全に気持ちが落ち込んでいた。その時、


 キラキラキラ


 視界のすみっこで何かが光った(気がした)。目をやると、そこには求人雑誌が置いてある棚があった。そうか、スーパーの出口付近には、そういう雑誌を置く棚があったじゃないか。いつも見ているはずなのに、見慣れた景色のはずなのに、なぜ気づかなかった、僕!僕は思わず駆け寄った。


 そしてまた新しい事実に気付く。なんと、0円!なんてことだ。雨風に晒されてめくると少々パリパリと音がするが、ひとまずここに2種類あるので、2つ持って帰ることにした。よし、やる気が湧いてきたぞー。ホコリがかかっていたので、払ってからリュックに入れた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る