3Dead『ゾンビ化』

クラスの皆と教師が廊下に出ると数人のゾンビがそこにはいた。


クラスの皆は話しあった。




「どうやって噛まれる?」


「えっと? さあ?」




と噛まれ方について悩んだ。


すると




「やれやれ情けない、仕方ない、僕が手本を見せてあげるよ」




と言って1人の男子生徒が前へ出た。




「お前は! バスケ部のエース! しんどう たけ!」




彼はバスケ部エース新藤 武雄、学校のイケメンランキング堂々2位、そしてバスケで好成績を収めるなどの偉業を成し遂げているのだ。


そんな彼も真っ当な判断が出来ず絶望


望の意見に乗ったのであった。




「この僕が先に噛まれてやるよ」




と言って新藤は廊下をいつも通りのスピードで歩きながらゾンビに近づいた。




「ほら? 噛んでごらん、御嬢さん」




新藤は1人でふらふらして歩いている女子ゾンビに手を差し伸べた。


それはまるで女性に手を差し伸べる紳士のように


すると女子ゾンビは




「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」




そしてそのまま新藤の手に噛みついた。




上カメ


「ああ!!」


横カメ


「ああ!!」


斜めカメ


「ああ!!」




新藤は噛まれた痛みで少し怯んだ。




「おいなんだ!! その噛まれ方の演出!!」


「噛まれるだけなのにカッコよさを出すんじゃないよ!!」




とクラスの皆はいちいちカッコいい新藤に文句を言った。


だが噛まれて動かなくなった振動を見て1人の生徒は気になり




「お……おい? 大丈夫か?」




と新藤に呼びかけると


新藤はそのまま振り返って。




「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」




新藤もゾンビになった。


それを見て1人の男子生徒が




「おい! 皆見たか!! 噛まれた瞬間にゾンビ化したぞ! つまりあまり苦しむことなくゾンビになれるってことが分かったじゃあねえか!!」




と一人の男子生徒の表情が明るくなった。


それを聞いたクラスの皆は




「え! マジで! マジやべえ!! これはもうゾンビになるしかないな!!」


「私もゾンビになる!! もう不安もない!!」


「先に!! 先に噛まれたい!!」




とクラスの生徒たちの目に希望の光が宿った。




「しゃああああ!! 来いやあああああああああああああああああああああ!!」




とクラス全体がやる気になった。


すると1人の女子がもう1人の女子に




「ねえ、けい……私……実は新藤君のこと好きなんだよね! きゃ!! 言っちゃった!」


「ええええええ!! りょう! マジでえええ!! こんな時に告白とか超ウザいんですけどおおお!!」




と言い合っていた。


すると涼子は




「ああ! 何よ! あんたには関係ないでしょ!」


「だったら言わずに勝手に噛まれて来いよ! ほら行けよ!」




と言って圭子は涼子を押した。


涼子は




「ああ行くわよ! あんたが親友だと思ったから言ったのに! 何よ! 嫉妬! あんたなんか大っ嫌い!! 新藤くううううううううん! あたしを噛んでえええええ!!」




と言ってそのまま言ってしまった。


けいは寂しそうに




「バカ……私の気持ちも知らないで……」




と頬を赤く染めながら圭子は走って行ってしまう涼子を見つめていた。


それを見ていたクラスの皆は圭子を見て




「まさかの百合乙女!」


「嫌今そんなことはどうでもいい!!」




とツッコみをついいれてしまう。




「グシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」




新藤ゾンビは呻きながら廊下を走って来た。


涼子はワクワクしながら近づいたが




「アレ?」




新藤ゾンビはそのまま涼の隣を通り過ぎて行ってしまった。


そして




「え……え……」




困惑する圭子に近づき


新藤ゾンビはそのまま圭子の肩に噛みついた。




「いやああああああああああああああああ!! 私が噛まれたいのは涼子だけなのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」




と悲鳴を上げた。




「え! 噛まれる人そんなに重要!!」


「こいつらにとっては重要なんじゃないの?」




とクラスメイトの会話がした。




「てめえ!! この雌豚が!! 何私の新藤君のファーストイート貰ってんだよ!!」




とブチギレた。




「ファーストイート!! 何だよそれ!!」


「ファーストキスじゃあねえんだぞ!! てか食べるではなく噛みつきなのでは!!」




クラスメイト達のツッコみは止まれなかった。


この二人は一体何を言っているんだという空気がクラス一同に流れていく




「この泥棒猫が!! ぜってええ!! 許さねえからな!!」


「泥棒猫って!! 完全にゾンビ映画では言われない言葉だぞ!!」


「ああ! なんか完全に恋愛の修羅場を見ている感覚に陥ってきた。これゾンビ感染何だよな……」




と睨みながら圭子を責める涼子を見てクラスメイト達は疑問に思った。


そして




「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」




そのまま圭子もゾンビになり




ガブウウウ!




「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!! 何てめえが噛んでん……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」




圭子に噛みつかれ涼子もゾンビになった。


そしてクラスの皆はお構いなしに




「おお……なかなかいいペースでゾンビになってるぞ……」


「次! 俺な!!」




とドンドンと皆ゾンビになる抵抗が消えていった。


そして1人の男子がゾンビになろうと前に出ようとすると


メガネをかけたインテリ風の男子が通せんぼする。




「お前は! クラス委員長のたけなか!! お前どういうつもりだ!! どけえ!! 次は俺がゾンビになるんだ!!」




と言って文句を言った。


すると竹中は




「君たちこそ!! 何を考えているんだ!! ちゃんとルールを守るんだ!! 順番通りにゾンビになるんだ!!」




と言ってきた。


それを聞いてクラスメイトは




「はあ!! ふざけんじゃねえぞ! 何だよそれ!! てめえここでもルール厳守かよ!! 勝手なローカルルール決めんじゃあねえぞ!! そんなの今こんな状態になって意味あんのかよ!!」


「そうよ! そうよ!」


「誰がゾンビになっても変わんねえぞ!!」


「しゃしゃんじゃあねえぞ!」




と罵詈雑言が飛んだ。


しかし竹中は全く動じないで




「最後だからそこちゃんとルールを守るんだ!! これは人間の最後の務めなんだ!! それを守らなければ僕らは人間の尊厳を守ることが出来るんだ!!」




と言って最後に人間の尊厳を守ろうとしていた。




「いや! 別に今はそんなのどうでもいいよ!!」


「ゾンビになるんだから今更尊厳とか言われてもねえ……」


「ああ、大切なのは分かるけどでもねえ……」




と言って全く共感していなかった。


そんな中望は




「おい!! 俺なんて言いだしっぺなのに未だに教室から出れていないんだけど!! 普通ここは俺が次にゾンビになるのが普通なのでは!!」




とクラスメイトを覚悟を決める為だけに巻き込んだことを棚に上げていちゃもんをつけた。


がそんなことを誰も聞いておらず竹中への文句が溢れていた。


すると




ズボオオン!!




竹中のお腹に何かが突き刺さっていた。




「うぐう!」




血を吐いて竹中は自分の腹を見た。


するとぬるっとした何か棒状のものがクネクネと動いていた。


後ろを見るとそこには場違いにもクリーチャーみたいなゾンビがいた。




「グルルルルル」




とその棒状のものはどうやらそのクリーチャーの舌のようだった。


そして




ズサン!!




と竹中のお腹から舌を引き抜いた。


そしてそのまま竹中が崩れ去るように倒れて




「まさか……この僕が……ローカルルールを……破るなんて……」




と言ってそのまま動かなくなった。


それを聞いてクラスメイトが




「おい!! 何だその名言のような死に方!!」


「しかも格好いいのかすらも結構微妙だぞ!! それでいいのか! 竹中!!」




と声を掛けた。


だが別のクラスメイトが




「おい! 今はそんなことを気にしている場合じゃないぞ!! 何だあのクリーチャーは!!」


「ああ、まさかあんなクリーチャーまでいるなんて……」




と唖然としながら皆唖然とした。


そして




「マジかよおおおおおおおおおおお!! さいっっこうじゃあねえかああ!! 俺らなんてどうせそこらの一般ゾンビに殺されてゾンビになるのが定石だと思ってたのに!! やべえ!! 興奮して来たああ!!」


「ああ! まさか! こんな!!」


「俺が先だ!! 俺が先なんだ!!」




と言って竹中の言った順番を無視して1人の男子が走った。


だが




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




と先ほど死んだ竹中が突然その男子を掴んでそのまま




ガブウウ!!




と噛みついた。




「うわあああああああ!! 竹中!! お前ええええ!! 俺はあのくりア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




言い終わる前にゾンビになった。


だがそんなこと関係なしに皆のテンションが爆上がりだった。


そしてそのまま皆そのクリーチャー型のゾンビに向かって走って行った。


そのおかげで出れる隙が出来ると思い




「よし!! 俺も!!」




と言って教室から出ようと望も走った。





ピシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!




と近くにいた女子が教室のドアを閉めた。


そのせいで腕を振り上げた手の部分がドアに挟まり望は




「があああああああああああああああああだああああああああああああああがああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」




とその場で手を押えながら蹲った。




「俺!! 次俺えええ!!」




と言って男子がそのクリーチャー型ゾンビに近づいた


すると




ズパアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!




と舌で男子はそのまま上半身と下半身を別れさせられ。




「ぐばああ!」




と血を吐きそのまま声も上げずに




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




と上半身だけがゾンビになった。


それを見てクラスメイト達は




「なるほど、どうやらゾンビになるには映画のように脳が必要のようだな、了解した!!」




と1人の生徒が言った。


すると他にいた大量のゾンビが1人の女子生徒を押し倒した。


そしてその女子は




「や……優しくしてね……」




と言ってそのまま貪られてゾンビ化した。


それを見ていたちょっとギャルっぽい女子が




「なるほど……もしかしたらゾンビ化って初めてを男に取られる痛みと似てるのかも……」




とおかしなことを言いだした。


それを聞いた女子たちはドン引きながら




「ええ、なに言ってるのお~……やべええ」


「いやあ、私たちは経験ないからちょっと……」




それを聞いてその女子は




「いやあ、あれって結構中に鈍痛が響くよ? 噛まれるのって中でかなり響くと思うから似てると思うんだよねえ……そう考えると意外と捨てた事にもなるんじゃない? 本来入る事の無い場所に入るんだから……」




と言ってそれを聞いて冷静でない女子たちは聞いて




「なるほど……それは盲点だった」


「ああ、経験せずに終わると思ったが噛まれるってことはそういうことなのかもしれない」


「てか噛まれてるけど痛くないの?」


「え? あああああ!! いつの間ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」




とその女子もゾンビになった。


そして近くにいた女子たちも




「きゃあ!!」




大量の男子ゾンビに1人押し倒された。




「この……このブスと言われるづけた。ふんざわ けいが……こんなにイケメン男子たちに押し倒されるなんて、こんなハーレムを形成できるなんて……まるで少女漫画みたい……」




グシャングシャングシャン!!




「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛激しすぎるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」




頬を赤くしながら嬉しそうに噛まれ続けていった。




他の女子たちも大量のゾンビたちに噛まれて次々とゾンビ化していった。




「ははは、最後の私が残るなんて……普通は生徒の見本として最初になるべきなのだろうけど……まあいいさ……我が妻よ……娘よ……さようなら」




そしてそのまま加藤教師も噛まれていった。




だがゾンビになっていなかったのは加藤教師だけではなかった。




「糞おお……あの野郎が……俺のこと忘れてドア閉めやがって……いでええよおおおお」




望はやっと呻いていたところ何とか立ち上がることが出来た。


そして目の前を見ると生きている生徒も教師もすでにおらず皆ゾンビ化していた。


それを見て




「……結局俺が最後かよ……まあいい、これで気兼ねなくゾンビ化できる!!」




と少しガッカリしたが気を取り直して目の前のゾンビに向き合った。


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