島太郎 反撃



 引きこもり生活が始まり 五年の年月が過ぎた頃です。

 それは突然やってきました。




「お坊っちゃま!

 大変でございます。どうかドアをお開けください!

 お坊っちゃま、お願いでございます!」



 ドアがけたたましく叩かれました。


 ドアを開けると、そこには青ざめた顔のじいやさんがいました。



「お坊っちゃま、落ち着いてお聞きください。お父様が、出張先で事故にあわれ 亡くなられたとのことです」


 父親は、経営する会社が海外に進出したことを受けて出張し、その先で事故に遇い 命を落としたのでした。



 …いよいよ この時が来たか、俺を馬鹿にしていた奴らめ、思い知るらせてやる…… 俺はこれからは、自由に生きられるんだ……


 島太郎はひそかにほくそ笑んだのでした。


 大会社をいくつも経営し、学園をも経営する島太郎の父親は 土地の名士中の名士ではありましたが、唯一の親族の 島太郎の強い意思で、葬儀は ついに営まれることは ありませんでした。


 もちろん、会社や学園の幹部たちは 大反対でした。

 しかし、遺産として会社や学園を受け継いだ島太郎の 強い意思は変わりませんでした。



 今では、全て島太郎の思いのままです。


 島太郎は 幹部連中を集め 『これから』について説明を行います。



 まずは 会社や学園の全ての顧問弁護士を解任すると発表しました。



 そして新しく 島太郎個人の顧問弁護士を専任しました。


 この弁護士こそ、島太郎がこれから行おうとする 法律行為の手助けをするため 『気晴らし』として島太郎が街へ出掛けた時に 密会していた人物だったのです。



 

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