淫銃学園の禍 ~ Lebensborn Heiligtum ~

武論斗

プロローグ

クロクラい、クルしいクライクルらい、殘酷なクルーエル叫びクライを……」



 ――危機クライシス

 彼女は二度死ぬ――


 嗚呼ああ、そうさ。俺がるんだ。それしかないさ。

 だって、そうだろ?

 俺以外のいったい誰が……

 でも、さ。生きているんだ。嗚呼、俺の中で。

 いや、――

 ……その“ナカ”に。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 皇紀2700年代初頭、世界は特異點爆發とくいてんばくはつSingularityシンギュラリティ Explosionエクスプロージョン)の厄災やくさいに包まれた。

 人工知能は尋常じんじょうならざる暴走を、神話しんわは信じがたくもれ出し、白晝夢はくちゅうむ白日はくじつもと現實げんじつに、物理法則はみだりにみだれ、歷史れきし穿うが迂闊うかつな上書きをいられた。

 くさり狂ったくさりから苦しまぎれにくびきのがれた百鬼夜行ひゃっきやぎょうは人々の苦樂くらくいさに誘われ集まり、吹きまりとなっていさかいのくさびを打ち込む。

 りとて、人々も愚かなままではいられない。

 對處たいしょしなければならない、有樣ありさまに。らいつかねばならない、慘狀さんじょうに。



 そして、――


 嗚呼、


 ――作られた。


 其れが、の“學園がくえん”。


 ――レベンスボルン・ハイリヒトゥーム。


 聖命せいめいの泉、と呼ばれる同盟國どうめいこくで作られた形式スタイル敎育機關ギムナジウム

 人類じんるいが人類として生きながらえ、其の尊嚴そんげんを守るために。

 ひそかに、めやかに、蕭條しめやかに、息をひそめ、牙をみがき、 峻嚴シビアに、嚴格ストイックに、虎視眈々こしたんたんと。


 今、こそ!


 の“樂園らくえん”を取りもどす……


 ……きっと。

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