解説

大伴坂上郎女の歌を五首、ご紹介しました。



「大伴(おおとも)」というのは名字で、「坂上(さかのうえ)」は地名、「郎女」(いらつめ)は、若い女の人をさして言うようです。

大伴さん家の、坂上に住んでるお嬢さん、ってことかな。


万葉集には84首収められていて女性では最多。

甘い恋の歌も多いです。

きっと可愛い人だったんだろうなあ。

晩年は大伴家をがっちり支えた、やり手ウーマンだったらしいですけど。




来むと言ふも来ぬ時あるを来じと言ふを来むとは待たじ来じと言ふものを


は、来るという字がいっぱいで、早口言葉みたいな感じ。


文法的なことを言うと


来む(こん)→(来よう)意思

来ぬ(こぬ)→(来ない)打消し

来じ(こじ)→(来ないつもり)打消し意思。(「じ」は「む」の打消しバージョン)

2回目の 来む(こん)→(来るだろう)推量


訳:

「来る」て言うときだって、来ないときもあるのに、

「来ない」って言ってるんだから、わたし待たない!

「来ない」って言ってるのに。



最後の「ものを」は、

順接「来ないって言っているんだから(待ちませんっ。プリプリ)

というのと、


逆説「来ないって言っているのに……(でも待ってる。ショボン)」


と、二通りにとれるようです。

ショボン説のほうが、私は可愛いと思うんですけど。


まあ文法よりむずかしいのはオンナゴコロでしょうね!(まとめた。)


次回は、

酔えば酔うほどうまくなる(?)大伴旅人の歌をとりあげます。


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