情景モンタージュ

流れる草波の中

私は涙を零していた

それはなにか 感情の昂りではなく(悲しみのためでも喜びのためでもなく)

ただ美しい情景のためだけに


涙滴の内に情景が流れている

セーターを脱ぐ君

向かいに座るコートを着たままの君カフェ・オ・レを啜る

夏の階段を上る君の細い影シルエット

リュックを背負い直す 前を歩くあの子

喧嘩している親友二人 たまに目線がこっちを向く

煙突の上で踊る一団のシルエット

右手に白梅左手に紅梅の満開の並木

今はもう何もない土の山

真っ赤な夕焼けと橙色の夕焼けに緑色の夕陽が差し込む

世界が緑色に塗り直され

草波が流れ

僕の残像がBB弾を拾い上げ笑った

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