どっぷりノスタルジー

夕焼けの真っ赤な空と思にある微かな記憶。
髪の長い女の子、ギザギザの丸くて金色のペンダント。
夕焼け空を見る度に必ず脳裏に浮かぶその光景は、主人公イツキにとってとても大切な記憶であるように思われた。

いつものように夕焼け空にその記憶を見て、いつものように夕焼け空に手を伸ばすイツキ。
だが二十五回目の誕生日に「いつものように」ではない出来事が。
燕尾服に身を包んだ謎の老人がイツキに見せたのは『あの』ペンダントだった……。
老人を追ってイツキは子供の頃の記憶を確かめに行き、そこで顔を見せない誰かの声を聴く。

そこかしこにちりばめられたノスタルジックな小物たち。
レトロな建物にアンティーク調の家具、ペンダント、オルゴール、置時計。
夕方の公園とタイプカプセル。

謎の老人の案内に導かれ、過ぎ去った日々をもう一度辿るように、一歩一歩ストーリーが積み重ねられて行きます。
ノスタルジーにどっぷり浸りたい読者の方にお勧めしたい物語です。